【パナマ文書】日本政府がタックスヘイブン対策に消極的な理由

 

いまのところ、日本人や日本の企業の名前は出てきていないが、実はICIJには「オフショアリークス・データベース」という別のサイトがある。2013年に、タックスヘイブンを利用している企業や個人を世界規模で調査、公表し、それをデータベースとして、検索できるようにしている。

国名リストのなかから「japan」を選択し、キーワードを入れずにsearchボタンを押すと、アルファベット順に個人名や企業名が縦一列にずらりと並ぶ。「ABE Atsushi」「ABE Daisuke」とのっけから「アベ」の名前が出てくるが、安倍首相とは無関係のようだ。

日本を代表する企業の名も見ることができる。「Mitsubishi Corporation」(三菱商事)。これをクリックすると、オフショアにある関連会社らしい法人名が2つ出てきた。

同社の直近の有価証券報告書によると、そのうちの1つ「ENERGI MEGA PRATAMA INC」は英領バージン諸島のロードタウンに所在し、三菱商事が25%、5,200万ドル(約57億円)を出資する連結対象の関連会社であることがわかる。同社は2001年に設立されインドネシアの石油・ガス開発プロジェクトを行っている会社だが、会社登記地は、はるか遠く離れたカリブ海の英領バージン諸島というわけである。

同じ英国領のケイマン諸島と並び、ほとんど税金を徴収されないタックスヘイブンの代表格といえるのがバージン諸島だ。ENERGI社はその利益に課税されず、配当を受け取る三菱商事もまた、日本の「外国子会社配当益金不算入制度」により、配当金の95%が益金不算入にしてもらえるのだ。関連会社の発行済株式の25%以上を保有していればこの制度の対象となる。

こうして多国籍企業は合法的に税金逃れをしているが、その分、国庫に入るべきカネが少なくなっている

タックスヘイブンは、単に金持ちの節税対策に使われているという生やさしいものではない。世界の金融資産の半分以上が、そのように呼ばれる国々の秘密主義の銀行に集まり、世界のマーケットとの間を行き来しているのである。

莫大な利益をあげている多国籍企業や金融資本家が、タックスヘイブンにつくった会社を利用してさまざまな取引スキームをひねり出し、税率の高い本社の利益を税率の低い現地法人に移して貯めてゆく。これが基本的な税逃れの仕組みだ。そして、コントロールのきかないマネーが蓄積され、やがて巨利を求めて暴走
すると、バブルを生み、当然の帰結として崩壊し、世界を経済危機に陥れる

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