イギリスで安倍バッシング。英国メディアが逆ギレで総理を痛烈批判

 

安倍首相が受けた痛烈な批判

安倍首相もゴールデンウィークにイギリスを訪問したが、世論としては無風。むしろメディアから痛烈な批判を浴びている。「EUからイギリスが離脱することにより、通貨が大暴落するなどの影響が懸念されるため離脱しない方がよい」という一般論の常識的な話をしたのだが、地元メディアの報道には「イギリス国内がこの問題でピリピリしている時に知ったかぶりで発言するな」というメッセージが含まれているように感じられる。

地元紙のデイリー・テレグラフ紙は、「日本経済は困難に直面し、深く停滞している。ゆえに安倍首相のEU離脱論に耳を傾ける必要はあるのだろうか?」(5月6日付け:原題 Japan’s economy is tanking. So why should the UK listen to Shinzo Abe on Brexit?)と報じ、本文中では「経済政策で3本の矢を放ったが、いずれの矢も的外れだった」という記載もしている(原文:Mr Abe has launched a three-pronged attack consisting of “three arrows”: one arrow for monetary policy, one for government spending, and another for reforms of the economy. But his arrows appear to have landed wide of the mark.)。イギリス国内で誇りを持って議論している時に、余計な口出しをしてほしくないというのが本音であろう。

イギリスがEUを離脱するリスクは?

ここで、客観的に分析してみたいが、イギリスが実際にEUを離脱した場合のリスクはいくつかある。離脱した場合の主な道としては3通りあると想定される。

  1. ノルウェー型
    EUに加盟せず独立している国。漁業、林業など様々な産業がある。損失規模がEU加盟継続に比べ2030年までにGDP比で3~4%増加
  2. カナダ型
    カナダはイギリス系の国で同GDP比で4~7%増加。これも決して得ではない。
  3. 世界貿易機構(WTO)加盟に基づく共通ルール構築型
    同GDP比で5~9%増加。規模の拡大に伴い、徐々に経済損失規模が大きくなっている。

ノルウェー、カナダはイギリスと比較しても経済・人口規模とも小さいため、同一に考えてはならない。上記の経済分析においてイギリスがEUを離脱した場合に経済損失は必ず生じるため、離脱しない方がよいといえる。かつここではEUからの距離が離れれば離れるほど経済損失が大きくなり、離脱を考え直すべきだと提案している。

イギリスを取り巻く環境が起因

それにもかかわらずイギリスがEU離脱を考える理由としては主に2つある。

  1. 移民の急増
    2004年にEUに新たに加盟したポーランドなど東欧諸国からイギリスへ流入した移民が急増している。リーマンショック以降雇用低迷が深刻となり、低賃金で働く移民が雇用を奪っているとの不満が国内に蔓延している。さらにEU域内での人、通貨、物流の自由が徐々に無くなるのではというEUへの懐疑論も出ている。
  2. ユーロ危機対応
    イギリスはユーロに加盟していないにも関わらず、ユーロ危機対応に巻き込まれた。
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