覇権国の誇りを忘れるな
イギリスは独自路線を取るというメリットと離脱のリスクを天秤にかけているが、私は経済の議論だけで離脱を考えていいのかと思う。イギリスはアメリカの台頭までは世界をリードしてきた覇権国である。世界をマネージメントした経験も持っている。南アフリカなどのアフリカの国々、インド、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど世界に多くの植民地を持ちイギリス帝国を築いたことで、多くの情報を保有している国でもある。
学問ではオックスフォード、ケンブリッジがあり、多くの学者がここで学んでいるように誇りをもった国でもある。そういう国が単なる経済の問題でEU離脱を考えてよいのかという側面があると思う。
今後の行方に注目
イギリスがヨーロッパを支えている部分もある中で、近年ドイツが中心になってきたことが悔しく、複雑な心情になっていることもあるのだろう。昔はイギリスとフランスが支えていたのが、フランスとドイツに変わった。サッチャー元首相は生前ものすごく怒っていたこともあった。
誇りが、独立か、EUを引き続き支えるのか。今後大きな岐路に立たされると思うが、6月23日に投票が実施される。これはみものだと思う。
※デイリー・テレグラフ紙の記事リンク
● Japan’s economy is tanking. So why should the UK listen to Shinzo Abe on Brexit?
(TBSラジオ「日本全国8時です」5月17日音源の要約です)
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『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』
ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。
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