NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は秀吉軍の来寇に備えて北条家側が行った準備について。城の強化、食料の備蓄、弾薬の調達はもちろんのこと、「政策」を領内に文書で通達し、領民たちの士気もアップさせていたとか。さっそく見ていきましょう!
今回のワンポイント解説(6月5日)
今回のワンポイントは、秀吉の来寇に備えた北条家側の準備について。前々回説明したように天正14年以降、北条家では何度か、秀吉軍の来寇が避けられないものと見て、防戦の準備をしている。
まず、領国全体での支城配置を見直して、秀吉軍をうまく迎撃できるようにシフトを敷き、戦略的に重要な城を大幅に強化した。小田原城や岩付城に惣構が造られたのも、氏照の本拠が滝山城から八王子城へと移転したのも、この時のことだ。もちろん、城内へ食料を運び込んだり、鉄砲の弾薬を大量に確保したり、といった備蓄も進めている。
さらに、領民のうちの成人男子を帳簿に記載させるとともに、もよりの城に集めて軍事教練を受けさせてしている。こうした政策を、文書によって領内一円に通達するところはいかにも北条家らしく、ある意味で非常に近代的といえる。そうした領民に、「武者っぽく仕度して来い」と文書で命じていることから、東国の大名は戦国の終わり頃になっても、農民兵を主体にした軍隊で戦っていた、とか主張する人があとを絶たないのだけれど、それは全くの間違いだ。領民を動員するのは、未曾有の大戦争に備えて不足しがちな兵力を補うためであって、精鋭部隊はちゃんと別にいるのである。
北条家がこの時期、領内に出した動員関係の文書を見てゆくと、「御国御用」「天下之御弓箭」 のような表現が目立つ。国家存亡の危機だから領民たちも御国のために働け、というわけで、何だか大戦中の日本や、某北の国みたいだ。実際、弾薬を鋳造するため、寺院に梵鐘を供出させた例すらある。まあ、このあたりの話を詳しく知りたい人は、僕の『戦国の軍隊』(学研パブリッシング 2012)や、新刊の『復元イラストで見る「東国の城」の進化と歴史』(河出書房新社)を読んでね。 (西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
ハンコ待ちの文書の束。氏直の戦いは既に始まっている…!(みかめ)
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組
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2016年6月12日(日) 11:00~15:00 東京ビッグサイト
・その2
第一部:小田原城のウラサンポ。解説:西股総生
第二部:居酒屋「北條水軍」にて、西股先生を囲んで北条トーク。
第三部:先生の解説付きで大河を観よう!
2016年6月26日(日)14:00〜
・その3
『西股総生氏トークイベント《第1部》「戦国軍事考証から見る城と合戦」』&『西股総生氏トークイベント《第2部》「対談形式 戦国軍事考証VS歴女」』
第1部「戦国軍事考証から見る城と合戦」 西股総生による講座。
第2部「戦国軍事考証 vs 歴女」 西股総生×磯部深雪×みかめゆきよみで「あのドラマ」を語ります。
2016年7月9日(土)14:00~17:00 新宿クラブツーリズム(アイランドウィングビル)
コース番号 第1部【C2021-912】
コース番号 第2部【C2022-906】
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今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
『真田丸』22話。意外な話かもしれないが、今回のテーマは「成長」だと思う。国主として重みを増す源三郎、今日の政治に長けてくる源次郎の成長、なんとくなく秀次。そして、成長しない氏政が完全に追いつめられていく様子が描かれる。豊臣新秩序という荒波の中で。#真田丸
— 地雷魚『越天の空』イカロス出版より発売中 (@Jiraygyo) 2016年6月5日
しかしこんなにじっくり小田原征伐を描いた大河が今まであっただろうか。それだけでも本当に感慨深い #真田丸
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年6月5日
「ここは真田の軍議でござる!」
忠勝を一喝した信幸、忠勝も嬉しそうだったけれど真田の衆も皆嬉しそうだった…次代の当主としての器を垣間見て、喜ばぬはずがないものね… #真田丸— ぬえ (@yosinotennin) 2016年6月5日
#真田丸
暇課長 pic.twitter.com/rzdnh47Jj8— (´・ω・`)らんらん♪ (@aurcus_ranbuta) 2016年6月5日
第21回「戦端」。関白、茶藝ティータイム。聚楽第の中庭、前から南国感やばいなとは思ってたけど、やっぱりパーティ会場向きだな…。 #真田丸 #丸絵
物置に潜む昌幸が、干し肉(猪?)モグモグしながら裁判傍聴しようとしてるの、ほんと好き。 pic.twitter.com/rrBTyXOk3V— 高枝景水@若旅コミック乱連載中 (@namazudou) 2016年6月5日
おお! 秀次の鮮やかな裁定。やれば出来るじゃないか、カッコいいぞ。と思ったけれど、それはあくまでここでの評議の結果においてのみであって、(北条を上洛させたいという)秀吉側第一の思惑を汲めていないという点において、やっぱり秀次は(秀吉や三成から見て)無能扱いなんだな。 #真田丸
— しみず さるひこ (@bub_shimizu) 2016年6月5日
狸と思いきや、「必死に戦っている若者を見たら手を差し伸べてやるのが年寄り」とほほ笑む。これだ、曲者つわもので情に厚い。そしてめんどくさい。本田正信はまことの三河武士。#真田丸
— ぬえ (@yosinotennin) 2016年6月5日
いま、北条家と真田家が口論を繰り広げていますが、江戸時代、江戸城内の北条・真田両藩の屋敷は対面にありました。喧嘩とかしなかったんでしょうか? #真田丸 pic.twitter.com/pLqkSd40W9
— すんすけ(松平俊介) (@tyuusyo) 2016年6月5日
被告:真田信繁「ヒゲの代理で」
原告:江雪斎 「汁かけの代理で」
証人:本多正信「神君の代理で」
裁判長:秀次 「サルの代理で」
とうとう全員が代理となった沼田裁定 #真田丸— ういんがー【休業中】 (@wingar0001) 2016年6月5日
片桐且元「せっかく徹夜(?)で作った資料…」(´;ω;`)
#真田丸 pic.twitter.com/G8pIUFrFeJ
— しめじ (@shimeji_b) 2016年6月5日
#真田丸 #丸絵
先週から真田丸は北条家を中心に展開をしておりますが「戦国時代は、北条で始まり北条で終わる」と言う説もあるので、年表でまとめてみました😊‼️
こうして改めて見ると北条スゴい😅そして、案外当たっているかもしれませんね笑 pic.twitter.com/JICFH3FwsM— こんでん (@hiroju55) 2016年6月5日
今まで褒めることが無かった本田忠勝が真田の兄ちゃんを褒めることによって、彼が成長したことを解りやすく表現していたのが凄く良かった #真田丸
— ZEN (@ZEN1107) 2016年6月5日
新井浩文さんのトークショーで山本耕史さんが三成を演じるとき
「目線と体を動かないようにしている 」
「静止画でいいのではとたまに思う」
て言ってて真田丸見たら静止画は言い過ぎだけど本当にあんま動かない感動#真田丸— まさ吉 (@i3kk3a) 2016年6月5日
真田丸今回は本多正信がよかった。信繁への助け舟を出しつつ家名が汚れることを防いだファインプレー。そしてきっちり信繁のためと思わせて恩を売るところも忘れない。役者が一枚上手だった #真田丸
— 呉紋@おっさん (@gomonz) 2016年6月5日
北条「沼田は我々のもの」
真田「いや沼田は我々が自力で奪い取ったもの」
徳川「北条どのはご自由に奪い取りなされ」神奈川「町田は神奈川のもの」
町田「いや町田はもともと東京のもの」
東京「神奈川どのはご自由に」#真田丸— はつゆき (@HatsuyukiBlue) 2016年6月5日