古典文学『枕草子』を英語で読む。「いとをかし」は何という?

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日本で誰もが知っている有名な随筆といえば、日本の古典文学、清少納言の「枕草子」があります。もし、この古典を英語で読んだらどんな感じになるのでしょう?英語のスペシャリストで、無料メルマガ「カリスマ英語ナレーターユッキーがお届けする!週間ラジオ英会話♪」の著者ユッキーさんが、この名作の一部の英訳を解説。「いとをかし」を英語で何というでしょう?(音声はこちらからお聞きいただけます)

 

古典を英語で読む。「いとをかし」を英語でいうと?

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久しぶりに読みたくなって買いました、「枕草子」。


文体もとても読みやすく、清少納言のストレートな感性が現代語で生き生きと書かれています。

生き物や自然についての描写から、「はずかしいもの」「そそっかしい人」「こころときめきするもの」感情や印象別に書かれたものまで。

1000年以上昔も今も、変わらないものは変わらないんだなぁ。

みんな同じこと考えるんだなぁ〜と思わせてくれる随筆です。

もちろん外国語訳もされていて、英語翻訳版は『The Pillow Book』と言います。そのままですね!

イギリス人作家Ivan Morrisの訳が有名です。

『枕草子』といえば、【をかし】。*日本文学上における美的理念の一つ

「春はあけぼの」で始まる四季の美しさの中にもでてきますね。

特に秋の部分では【をかし】と【あはれ】の両方が使われています。

英語では何と訳されているのでしょう?

夏は夜。[…略…]雨など降るもをかし

In summer[…略…]and even when it rains, how beautiful it is!

秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。

In autumn the evenings, when the glittering sun sinks close to the edge of the hills and the crows fly back to their nests in threes and fours and twos: more charming still is a file of wild geese, like specks in the distant sky. Then the sun has set, one’s heart is moved by the sound of the wind and the hum of the insects.

引用:『THE PILLOW BOOK OF SEI SHONAGON TRANSLATED AND EDITED BY IVAN MORRIS』PENGUIN BOOKS

秋のパートでは【をかし】が【charming】で訳されていましたが、【あはれ】を表す言葉はパラグラフの中にはないんですね。

【をかし】と【あはれ】が一緒にされた感じで「もっとcharmingなのは〜」と訳されています。

夏の部分では【をかし】が【beautiful】になっています。

【をかし】や【あはれ】を一語で表す英単語はなく、文脈やお話の流れの中で最も適当なものが充てられています。

他の部分で出て来る【をかし】【あはれ】も、どんな風に英語にされているのか探してみようかなと思います

 

*公式ブログの中で、ユッキー先生が作品の読み上げを紹介しています。音声はこちらからご確認いただけます。

記事提供:「ユッキー先生のえいごの時間」(公式ブログ)

 

カリスマ英語ナレーターユッキーがお届けする!週間ラジオ英会話♪

著者/ユッキー
英語教材プロデューサー、ナレーター、英語解説者。留学なしで日本にいながら磨ける英語、楽しめる英語を日々探求中。すぐに使える英会話フレーズから話題の英語学習法まで、日本人が日本で学べる英語を“聴いているだけで癒される”音声や動画でお届けします。公式ブログ「ユッキー先生のえいごの時間」にて、英語の学習方法などのコンテンツを配信中。

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