セブン追撃。焦るローソンの銀行参入でATM「手数料」戦争勃発

Lawson_Haramachikitahara_Shop
 

2016年11月、コンビニ大手ローソンは、銀行業に参入するための準備会社を設立したと発表しました。すでにセブンイレブン、イオングループなどが参入している「コンビニ銀行」の戦場に、あえて今ローソンが勝負を挑んだ意図は何でしょうか? 無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、ローソンの参入で「下克上」となったコンビニATM戦争の現状を鋭く分析しています。

ローソンの今さらながらの銀行参入でATM戦争が勃発

佐藤昌司です。昨年の11月25日、ローソンは銀行業参入のための準備会社を設立しました。流通業による銀行業参入は、セブン&アイ・ホールディングス、イオンに続く3社目になる見込みです。なぜ今、ローソンは銀行業に参入するのでしょうか。

ローソンはセブンイレブンと同じように全国の店舗にATMを設置しています。セブンイレブンと違うのは、ローソンは銀行としてではなく運営会社としてATMを店舗に構えていることです。ローソンのATMは、銀行42社が出資するローソン・エイティエム・ネットワークスLANsが運営しています。そのため、手数料収益が一部に限られ、また、ローソン独自のサービス提供が難しいというデメリットを抱えていました。

2015年度末のセブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン銀行のATM設置台数は22472台でLANsの11201台の2倍以上あります。また、2015年度の単体純利益はセブン銀行の261億円に対して、LANsは38億円にすぎません。6倍以上の開きがあります。1台あたりの純利益もLANsはセブン銀行に水をあけられています。先行するセブン銀行は自前の銀行のため、大きな収益を確保することができています。

ちなみに、セブン銀行の損益計算書を確認すると、収益のほとんどをATMの手数料で稼いでいることがわかります。消費者がATMを利用するたびに金融機関などからセブン銀行に手数料が支払われる仕組みです。2015年度のセブン銀行のATM受入手数料は全体の経常収益の93.0%を占めています。貸出を主体として収益を上げる一般的な銀行像とは一線を画しているのがわかります。

print
いま読まれてます

  • セブン追撃。焦るローソンの銀行参入でATM「手数料」戦争勃発
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け