現実味を帯びてきた北朝鮮への先制攻撃。手を下すのは米国か中国か

 

世界中に衝撃を与えた金正男氏暗殺事件。その前日には弾道ミサイル発射実験を強行するなど、北朝鮮の暴走が目に余る事態となっています。こうした動きを受けてトランプ新政権は、北朝鮮高官のビザを拒否するなど厳しい姿勢を見せていますが、これをもって「アメリカは北朝鮮に対して軍事オプション行使をちらつかせている段階」とするのは評論家の黄文雄さん。さらに氏は自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、そうはさせじとする中国が、米国より先に北朝鮮に侵攻する可能性も否定できず、朝鮮半島はこれまで以上に目が離せない状況となっている、との見方を示しています。

【朝鮮半島】北朝鮮を武力攻撃するのは米国か中国か

金正男氏殺害、「正恩氏が指示した組織的テロ」 韓国情報当局

金正日総書記の長男、金正男がマレーシアの空港で暗殺されて約2週間が経過しましたが、いまだ真相解明には至っていません。しかし、韓国情報部は2月27日日、異母弟の金正恩が指令を下したと断定しました。

一説には、中国とパイプのあった2人の叔父である張成沢が金正男に資金提供をし、中国の庇護下に置いて、いつでも金正恩との首のすげかえができるようにしていたため、そのことを察知した金正恩が2013年12月に張成沢を処刑し、そして今回、金正男の殺害に成功したとも言われています。ちなみに脱北者によれば、張成沢に連座して処刑された者は1,000人近いとも言われています。

北朝鮮がしきりに核実験や弾道ミサイル発射実験を繰り返すのは、言うまでもなくアメリカに核保有国であることを認めさせ、アメリカを交渉の場に引きずり出して、金正恩体制の存続を約束させることにあります。

そのためには、自分のかわりに交渉相手となるような人物は排除しなくてはなりません。金正恩にとって、中国が金正男を保護しているということは、「いずれ自分のかわりに北朝鮮のトップにすげるという意図が中国にあると見ていたはずです。

北朝鮮に対する国際的批判が高まり、中国の無策にも批判が集まっています。金正男が生きているかぎり、中国に亡命政府がつくられ米中との交渉の窓口になってしまう可能性もあります。だからどうしても金正男を排除しなければならなかったということだったのでしょう。

今回の件で中国は、金正男を守ることはできませんでした。そのためか、中国では金正男暗殺の報道は結構控えめです。もっとも、中国が金正男を見捨てたという見方もあります。張成沢がいなくなったことで、北朝鮮とのパイプが消え、金正男の利用価値が薄れたため、切り捨てたという話もあります。

いずれにせよ、金正男がいくら「政治に興味がない」と公言し、弟に対して命乞いしていても、それでも毒殺の運命から逃れられなかったというのは、多くの日本人が「不憫」だと思うことでしょう。しかし、それは中華の国では逃れられない宿命」でもあります。

歴史から見ても、統一新羅から高麗朝まで、朝鮮半島の国王の2人に1人は天命を全うすることができませんでした。中華帝国の天子たる皇帝にしても3人に1人が非業の死を遂げています。

南朝の宋の劉一族は、殺し合いの末にとうとう一族の皇位継承者がいなくなってしまいました。最後の王子は「なぜ不幸にして皇家に生まれたのか」とまで嘆いていました。また、明の最後の皇帝である崇禎帝は、李自成の反乱軍に追われ、自殺する前に娘を殺す際、「なぜ君は不幸にして皇家に生まれたのか」と泣きながら語りました。

今回の金正男の暗殺は、そうした中華(小中華)の国の王家に生まれたことの悲劇だと思わざるをえません。

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