なぜ中国が「森友学園問題」を政治利用しようとするのか?

 

次から次へと問題が噴出し、一部の人たちは食傷気味になりつつある「森友問題」。しかし、「目の上のたんこぶ」とも言える安倍総理を失脚させる絶好のチャンスとばかりに、中国ではこの問題を連日のように報道しているようです。これを受け、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんは、「森友問題などで騒いでいる場合ではないと、日本国民が目を覚ますべき」と忠告しています。

【中国】森友問題を利用したい中国の思惑が外れる

森友学園問題、中国でねじれ報道──「極右教育」籠池氏側に立つ?

森友学園で行われていたことがメディアで登場するたびに、中国にとっては格好の攻撃材料だと思っていましたが、案の定、CCTVでも報道されるほどの扱いで中国では連日報道されています。内容としては、「安倍政権極右勢力との癒着を批判するようなものであり、安倍政権の本性ここにありといった感じです。

安倍卷入右翼学校丑闻事件

籠池氏の証人喚問前にも、中国の外交部の華報道官は定例会見で森友学園問題に言及し、「日本にはいつまでも歴史を正視して反省するのをいやがる勢力がいて、侵略戦争を起こした罪を認めず軍国主義への道を再び歩もうとしている。こういった勢力は教育機関を通して青少年に軍国主義思想を植え付けようとしている」などと日本批判を繰り広げました。

日本“森友学园”给幼童“洗脑” 外交部回应

森友学園は戦前の教育勅語を使って児童を洗脳し軍歌を教えているとして、痛烈に批判しているのです。まあ、実際日本でもそうした奇抜な映像がメディアで取り上げられて話題になっているのだから、中国が放っておくわけがありません。ただ、中国が注目しているのはそれだけではありません。冒頭で紹介したコラムでもあるように、籠池氏の証人喚問後の中国の報道に変化が現れました。日本同様、それまで盛んに騒いでいた森本学園の教育内容と土地売買問題以上に、中国でも安倍首相夫人の寄付金問題を取り上げるようになったのです。

日本:安倍深陷森友学园丑闻  笼池——安倍夫人亲手给我百万日元

証人喚問の中で言及された安倍昭恵夫人に関する部分だけを編集して、昭恵夫人の100万円の寄付を強調しています。とはいえ、仮に寄付をしていたとしても、これは違法ではありません。日本の報道もどうかと思いますが、いかにも首相が何らか後ろ暗い「関与」をしていたという印象をつけたいのでしょう。

もともと安倍晋三総理大臣を煙たがっている中国ですから、このスキャンダルで失脚してくれれば万々歳です。とはいえ、中国では政治家が寄付をするなどということは非常に稀なことです。政治家は賄賂を受け取って不正蓄財をすることが中国では当たり前ですから、この話はあまり盛り上がっていないようです。

日本では、今や状況は籠池氏対昭恵夫人といった様相を見せていて、いまだに事態が収束する感じはありません。土地購入に関しても、籠池氏は証人喚問で政治的介入があったことを認めましたが、どこまで本当のことを言っているかはよくわかりません。森友学園事件が起こって以来安倍総理の支持率は急落していますが、それでも50%以上の支持率を保っています。

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