人件費の高騰に悩むラウンドワンが、V字回復した「皮肉な理由」

tempo20170522
 

「少子化」と「アルバイト・パートの人件費上昇」というダブルパンチで苦しい状況に追い込まれているアミューズメント業界ですが、なぜかここに来て「ラウンドワン」の業績がV字回復しています。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、そのあまりに「皮肉な理由」を分析・紹介しています。

ラウンドワンの業績がV字回復した意外な理由とは

屋内レジャー施設を運営するラウンドワンの業績が回復しています。2017年3月期の連結決算は、売上高が前年比5.1%増の877億円、本業のもうけを示す営業利益4.9%増の66億円です。

売上高は2012年3月期に895億円にまで成長するも、翌2013年3月期は859億円に落ち込み、2016年3月期には835億円にまで低下しました。しかしここにきてV字を描く形で回復しています。営業利益は下げ止まりした形です。

tempo20170522-01

ところで、ラウンドワンの業績で面白い現象が起きています。アルバイト・パートの時給上昇で人件費が上昇し経営を圧迫しているものの、一方で時給上昇が売上高を押し上げている面もあるからです。

ラウンドワンの施設運営における人件費の売上高に占める割合は上昇傾向を示しています。2008年3月期は16.5%でしたが、その後は上昇傾向を示し、2016年3月期には22.1%にまで上昇しています。17年3月期はまだ判明していませんが、おそらく高い数値になると予想されます。

人件費の上昇が同社の経営を圧迫し、営業利益率低下の要因になっていました。人件費上昇の要因の一つは、アルバイト・パートの時給の上昇にあります。特に2014年あたりから募集時の平均時給が急上昇し、人件費を押し上げる要因となっていました。

人材採用に関する総合サービスを提供するリクルートジョブズの「アルバイト・パート募集時平均時給調査(三大都市圏・全体)」によると、2009年8月から2014年頃までの募集時時給は概ね940円台で推移し落ち着いていましたが、その後は急激に上昇しています。2014年1月は948円でしたが、2015年1月は959円、2016年1月は978円、2017年1月は993円となっています。現在も上昇局面の途上にあることがわかります。

tempo20170522-02

アルバイト・パートの時給上昇は企業にとって一般的に好ましいことではありません。ただ、ラウンドワンにとってはプラスに働いている面もあります

print
いま読まれてます

  • 人件費の高騰に悩むラウンドワンが、V字回復した「皮肉な理由」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け