「お電子マネー」「おビール」は間違い?奥深く難しい敬語の世界

shigobi20170922
 

お顔、お名前、ご意見、お利息などなど、相手に対して敬意の意を込めて付ける「お・ご」は最も身近な敬語と言えますが、お電子マネー、おトイレなどは誤りではないのでしょうか。今回の無料メルマガ『仕事美人のメール作法』では、著者の神垣あゆみさんがそんな疑問をあっさり解消、さらに「れる」「られる」の注意点についても記しています。

お電子マネー

お電子マネー「XXXX」へのクレジットカードチャージにおけるポイント付与に関するお知らせ

上記の文例は、クレジットカード会社からのお知らせとして実際にメールで受けとったものです。「お金」「お札」「おつり」など、金銭を示す言葉に、美化語の「お」が付くケースはありますが、金銭に代わるものとし普及している「電子マネーにまでは必要でしょうか

相手に関するものに、尊敬の意を込めて付けるお・ご」があります。

  • 相手の体や持ち物:お顔、お名前、お住まい
  • 相手の動作:お買い上げ、お手柄、ご意見
  • 相手に関わること:お徳用、お利息、ご預金

「お電子マネー」という表記も「お客様の電子マネー」という意で相手(=客)への敬意を表すために使われているのかもしれませんが、言葉として違和感があります。したがって

電子マネー「XXXX」へのクレジットカードチャージにおけるポイント付与に関するお知らせ

として、相手(メールの受け取り手)に失礼にはならないと考えます。

余談ですが「おビール」「おトイレ」など外来語に「お」を付けた言葉も散見します。外来語にもは付かないのが原則です。

いらっしゃりました

当日は、50名以上の方が会場にいらっしゃりました。

上記の文で気になるのは、文末の「いらっしゃりました」です。「来る」の尊敬語は「いらっしゃる」ですが、それを過去形にすると「いらっしゃりました」ではなく「いらっしゃいました」です。したがって、上記の文例は

当日は、50名以上の方が会場にいらっしゃいました。

「来る」の尊敬語「いらっしゃる」にさらに尊敬の「られる」を付けて「いらっしゃられる」とするのは二重敬語となり、NGです。「言う」の尊敬語「おっしゃる」を「おっしゃられる」とするのも同様に二重敬語です。「おっしゃる」の過去形は「おっしゃった」で、「おっしゃられました」とするのも間違いです。

響きが丁寧だからと、すでに敬語になっていることばに「れる」「られるを安易に使わないように気をつけましょう。

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