日本でサブウェイが苦戦している最大の理由は「価格の高さ」にあると考えられます。サブウェイのサンドイッチの単品価格は300~580円程度で、ドリンクSサイズとポテトSサイズをセットにする場合は320円を追加する必要があり、合計すると620~900円にもなります。ファーストフードチェーンでは高額の部類に入るでしょう。
サンドイッチとしての価格の高さもあります。日本は欧米と違い、「サンドイッチ」というとコンビニで売っている低価格のサンドイッチを思い浮かべる人が少なくないと考えられます。そういった認識の人はサブウェイを「サンドイッチなのに高い」と思うはずです。
ハンバーガーであれば近年はグルメバーガーが話題になるなど高価格帯のものでも需要があります。しかし、サンドイッチにはそれがないため、低価格のコンビニサンドイッチやマクドナルドのハンバーガーなどと比較されてしまうのです。
13年末に、過去に販売したローストビーフを使用した商品で食品衛生法に違反した調理をしていたことが発覚したことも影響していると考えられます。健康被害はありませんでしたが、少なからずイメージが悪化したのではないでしょうか。
こうしてサブウェイは日本で苦戦し続けているのですが、そのためか、日本サブウェイの完全親会社だったサントリーホールディングス(HD)は日本サブウェイの過半の株式を手放しています。
日本では、サントリーHDが1991年に米サブウェイから日本におけるサブウェイのフランチャイズ(FC)権を取得し、完全子会社の日本サブウェイを通じて運営してきました。しかし、16年3月末でFC契約が終了することから、サントリーHDはFC権を返上し、65%の株式をオランダにある本社、サブウェイインターナショナルグループに売却したのです。
サントリーHDとしては、今後の成長が見込めない日本サブウェイに見切りをつけたのでしょう。ただ、サントリーHDは引き続き35%を保有し、一定の関与は続けています。
そのサントリーHDはハンバーガーチェーン「ファーストキッチン」の株式も16年6月に売却しています。投資ファンドのロングリーチグループが、ハンバーガー店「ウェンディーズ」を展開するウェンディーズ・ジャパンに増資し、その資金でファーストキッチンの全株式を取得しています。
現在、ファーストキッチンの店舗数は125店(ウェンディーズとのコラボ店を含む)となっています。ファーストキッチンではハンバーガーやフライドポテトといった一般的なハンバーガーチェーンにあるオーソドックスなメニューを扱うほか、競合ではあまり見られない斬新なメニューも取り揃えています。
たとえば、カルボナーラなどのパスタ、クラムチャウダーなどのスープ、フランスパンの中をくり抜いてスープを入れた「スープパン」、焦がしバター醤油味ポテトなどの「フレーバーポテト」、フライドチキン、サラダ、白玉クリームあんみつなどのデザートなども扱っています。
こうしたメニューは特に女性に人気で、そのためハンバーガーチェーンでは珍しく、顧客の女性比率が高いことで知られています。