習近平の神格化でますます虐げられる、中国9億人の貧困層

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先日開催された共産党2中全会に於いて、「習近平思想」の憲法への明記を決めた中国。現役指導者の名が憲法に記されるのは毛沢東以来とのことで、習近平国家主席は「中国建国の父」と肩を並べたことになります。しかし、台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガで、習氏が毛沢東と並ぶ実績があるとは誰も思っておらず、またそれを一番わかっている習氏自身は自らの神格化に躍起であると指摘。さらにそのために虐げられている貧困層の人々についても記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年1月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め1月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

中国上映禁止の映画が示す習近平の神格化で虐げられる貧困層の人々

2017年10月に開催された中国共産党第19回大会で、習近平総書記は、自身の名前を冠した思想を「行動指針」として党規約に盛り込む改正案を承認させましたが、それに続き、今年1月に開催された第19期中央委員会第2回全体会議において、その「習近平思想が憲法にも明記されることが決定しました。

「習近平思想」 個人崇拝の復活が懸念される

党規約に「習思想」が明記された際には、毛沢東トウ小平に次ぐ権威を確立したと言われましたが、憲法に現役思想者の思想が盛り込まれるのは、毛沢東以来です。

つまり、改革開放によって中国経済の高度成長を成し遂げた鄧小平を抜き去り、建国の父と並んだということになります。残るは天安門広場に自身の肖像画を掲げることが「習近平の夢」なのでしょう。

しかし、いくら憲法に自らの思想を盛り込ませたとはいえ、毛沢東や鄧小平に並ぶ実績があるとは、誰も思っていません。そのために習近平政権が強化しているのが、自身の神格化と汚職追放言論統制による恐怖政治」です。

中国はかつて、毛沢東の独裁が多くの悲劇を引き起こしました。時代が違うとはいえ、習近平の独裁が進み、習近平が世界で中国の力を誇示すればするほど、そのしわ寄せは確実に貧困層の人々にいっています

たとえば中国は世界で最も高齢化が進む国であり、すでに65歳以上の人口は1億5000万人もいるとされています。また、2030年には60歳以上の人口は4億人を超えるとされています。

そんななかで、毎日1300人毎年50万人の老人が失踪しその10%がそのまま死亡しているといいます。その背景には経済の低迷や家族形態の変化などさまざまですが、大きいのは社会保障の欠如でしょう。

悲惨極まりない中国人の老後、失踪死亡が多発

これは一例ですが、中国社会の貧困層の生活は、日本人には想像もつなかいほどひどく、人間の尊厳など全くないケースもよくあります。その人達が、習近平の権力誇示のために社会的経済的にさらに虐げられているわけです。

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