中国の現実。少子化で子供に捨てられる老人が「1億人」の衝撃

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少子高齢化が問題となって久しい日本ですが、お隣中国では現在、子供に面倒を見てもらえず孤独に暮らす老人が1億人以上存在するなど、深刻度は我が国の比ではないようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、中国の「421社会」と呼ばれる現象を紹介、日本社会に対しても早急の少子化対策が必要だと警鐘を鳴らしています。

中国「421社会」の実態

昨年、「クローズアップ現代+」で放映された中国の高齢社会の現状です。中国の人口構成を象徴する言葉が「421社会」すなわち、4人の老人祖父母と2人の夫婦を1人の子どもが支えるというものです。

少し前は、大切な一人っ子を両親2人と、そのそれぞれの親(祖父母)4人が、大切にお金を掛けて育てる…というように取り上げられていましたが、高齢化とともにこれが逆になるのです。

そして、中国では最近、「未富先老」ということばをよく聞きます。「国が豊かになる前に先に老いる」、つまり、経済成長の果実を手にする前に高齢社会を迎えるという意味です。

そして、2015年に一人っ子政策は廃止されましたが、2人目は産まないという夫婦が多いといいます。37年続いた一人っ子政策の廃止によって、少子化には歯止めがかかると見られていました。

予想に反して出生率が上がらない理由の1つが、教育コストの高騰だといいます。一人っ子政策の中で、子ども一人に集中して投資するようになったことで教育競争に発展し、都市部では、大学卒業までに4,000万円以上が必要ともいわれています。もう1つの理由が、女性の晩婚化です。一人っ子の女の子は集中投資によって高度な教育を受けますから、女性の高学歴化、社会進出が進む一方、結婚に消極的な人が増えているのです。

年金などの社会保障が十分ではない中国では、不動産が老後の資金の大事なよりどころですが、多額の教育資金を掛けて育てた子どもが、親の面倒を見ないどころか、親の財産を奪おうとし、高齢者を追い詰める例も少なくないと言います。

子どもから面倒を見てもらえず孤独に暮らす高齢者は「空巣老人」と呼ばれ、中国には1億人以上いるといいます。彼らは、これまでの制度の犠牲者だといわれます。

不動産価格は信じられないぐらい高くなっていて、表面上は資産が増えたかのようですが、それにつられて、すべてのものの価格が高騰しています。それなのに、社会保障がまだ不完全なため、医療費、教育等に高額のお金が掛かります。

景気が減速し、雇用が厳しい状況になると、矛盾が一気に噴き出します。厳しい状況になると、親孝行、子どもが親の面倒を見るといった中国の伝統的なモラルが影響を受け始めているのです。

家族をたいせつにする文化ではあるけれど、核家族化が進み、子どもが仕事で忙し過ぎて親に会えない、子どもの教育費だけで精一杯、というような現状があり、孤独を感じる高齢者が増えています

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