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日本円の価値は半減する?黒田日銀総裁の「利上げ放棄」任期満了待ち作戦で“トルコリラ”の二の舞も=今市太郎

原材料や運賃の値上がりなど、日本でもインフレが始まっています。それでも黒田日銀総裁にはそうは見えていない様子で、利上げ議論を完全否定しました。日銀はこの状況でも金融緩和を続けるのでしょうか。そうなると日本も現在のトルコのような絶望的な状況に追い込まれる可能性があります。すなわち、円の価値の崩落です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

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「2%物価目標」は達成されない?

先週末、ロイターが日銀の利上げ議論観測記事を出してから、海外の投機筋が驚くほどそれに乗ってドル円を売りあがる状況となりました。

そのため、先日の日銀政策決定会合で黒田総裁は利上げ議論を完全否定。ドル円が上昇し、外国人ショーターはことごとく焼き消されるという、かなり悲惨な相場展開となりました。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

黒田総裁は、現状では例の「2%物価目標」が即達成される見込みはまったくないことを強調していますが、岸田首相は、政府と日本銀行の共同声明について衆院本会議で問われ、「日銀には2%物価目標の実現に向けて努力することを期待している」などと能天気な発言を繰り出しています。

FXでトレードして利益を出す分には、ドル円が上昇しても下落しても、それについていけば応分の利益が出るわけですから、本邦にインフレが来ようがスタグフレーションが来ようが、トレードには支障ありません。

しかし、本来インフレファイターとして機能すべき日銀が、金融抑圧と財政ファイナンスという裏ミッションをコンプリートするためだけにインフレ状況を一切視野に入れないというのも、相当に問題な中央銀行の姿勢に見えてくるところです。

昨年末のトルコ中銀の破滅的政策決定を反面教師とすべきだが…

昨年、我々は為替市場でトルコ中銀の利下げ政策決定から、自国通貨であるトルコリラの価値がいきなり半減するという、前代未聞の事態に直面することとなりました。

これはトルコ中銀というよりは、その背後にいるエルドアン大統領の強い思し召しから起きたもので、年率36%という凄まじい物価上昇の最中に政策金利を逆に下げれば、いったいどういう事態が国を襲うのかということを、はからずも目の当たりにすることとなってしまったわけです。

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トルコリラはものの半日もしないうちに、とうとう対ドル、対円で半減するという猛烈な価値の下落に陥り、株式市場からも債券市場からも、多くの資金が安全資産へ逃避する場面に出くわしました。

Next: 任期満了で黒田さんは逃げ切りか。残された日本はひどい目に…



黒田日銀総裁は日本版エルドアン?

まあ、日銀の対応はそこまでひどい話ではありませんし、今さら利下げするなどということは、今後の政策の選択肢に出てこないのは明白でしょう。

しかし、インフレが到来しても利上げは一切考えずに、現状維持で出口も考えずに押し通すとなれば、箇条書きにすれば日銀もトルコ中銀と大して変わらないことが見えてきます。

下手をすれば、日銀黒田こそ日本のエルドアンであると揶揄される時間が到来することも、十分に考えられる状況です。

黒田さんが任期満了で逃げ切っても、残されたこの国はひどい目に…

長く金融市場に関わってきた人たちは、FRBをはじめとする中央銀行が政権とは独立した中立的政策判断を実行できる機関であると、妙に神格化して評価しがちです。

しかし、ここ数年のFRBやECBの動き、なにより政権とすでに合体しているかのように見える日銀などは、今後インフレや、さらにそれが悪化したスタグフレーションに直面することで、大きく政策判断を間違え、この国を奈落の底に突き落とすリスクがあることを、意識しなくてはならないようです。

黒田総裁は、すでに回顧録を執筆中と言われています。

とにかく23年3月の任期終了まで利上げを避けて逃げ切ることを考えているようですが、そう都合のいいように行くのかどうか。見ものになってきています。

日経平均の「下駄履き」部分が剥がれ落ちる?

なにより黒田氏が退任しても、日本経済と社会は延々と続くことは間違いのない事実。

緩和終了で国債も買い入れられず、国債費が激増、人工値付け相場で恐らく5,000円から7,000円近く下駄を履いた日経平均が、その下駄ばき部分を剥落させるようなことになれば、アベノミクスなどと名づけられた政策も、結局なんの意味もなかったことで、その役割を終焉させることになりそうです。

新しい資本主義とは、こうした日銀の政策崩壊の後始末のことにならないことを祈りたい気分です。

深く考えずにテクニカルだけで上だ下だとトレードしていれば気楽なものですが、FXから市場と経済、社会を俯瞰して見ていますと、この国が空恐ろしいところに辛うじて佇んでいることがわかり、背筋が寒くなる日々が続きます。

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2022年1月配信分
  • 黒田総裁が日本のエルドアンと呼ばれる絶望的な日は到来するのか?(1/21)
  • 1月20日ロンドンタイムショートコメント(1/20)
  • ドル円は債券金利上昇ではなく米株の下落に追随しそうな気配(1/20)
  • 1月19日ロンドンタイムショートコメント(1/19)
  • 高まるUK・ボリスジョンソン辞任リスク(1/19)
  • 1月18日ロンドンタイムショートコメント(1/18)
  • 日銀はおいそれと利上げをできる状況にない(1/18)
  • 1月17日ロンドンタイムショートコメント(1/17)
  • 1月第三週相場分析(1/17)
  • 1月14日ロンドンタイムショートコメント(1/14)
  • 1月ドル円相場はほぼシーズナルサイクル通りの動きか(1/14)
  • 1月13日ロンドンタイムショートコメント(1/13)
  • 米債金利上昇とドル円のきわめて微妙な関係(1/13)
  • 1月12日ロンドンタイムショートコメント(1/12)
  • カザフスタンの政変で露見しはじめたバイデンのファミリービジネス(1/12)
  • 1月11日ロンドンタイムショートコメント(1/11)
  • 本日深夜0時からのパウエルFRB議長再任指名承認公聴会に厳重注意(1/11)
  • 1月10日ロンドンタイムショートコメント(1/10)
  • 1月第二週相場分析(1/10)
  • 1月7日ロンドンタイムショートコメント(1/7)
  • FOMC議事録開示でようやく火がついた米債利回り上昇~ 株がさらに下落した場合本当にFRBは利上げできるのか(1/7)
  • 1月6日ロンドンタイムショートコメント(1/6)
  • トヨタが米国自動車販売でとうとう首位~まさか為替で痛い報復を受けたりしないよね(1/6)
  • 1月5日ロンドンタイムショートコメント(1/5)
  • あっさり116円を上抜けたドル円~ここからは政治が絡む動きが顕在化か(1/5)
  • 1月4日ロンドンタイムショートコメント(1/4)
  • ドル円過去10年の1月は7割が陰線引け~果たして今月は?(1/4)
  • 1月3日ロンドンタイムショートコメント(1/3)
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image by:World Economic Forum Wikimedia Commons [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

今市太郎の戦略的FX投資』(2022年1月21日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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