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米国S&P500はいつまで下がり続ける?過去の弱気相場13回の底打ちまでかかった平均は「○カ月」=まーしー

2022年6月3週目に発表された米国経済指標は、投資家やアナリストを絶望させる数値が並びました。米国景気は悪化する方向に向かうことは避けられないことでしょう。それを予測しS&P500も弱気相場入りを示す20%以上の下落となりました。
(『まーしーによる米国株投資で億のほそ道』)

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※本記事は有料メルマガ『『まーしーによる米国株投資で億のほそ道』2022年6月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:まーしー@米国株投資家
大人気Twitter「まーしー@米国株投資家」の発信者。Twitterフォロワー数は53,000人。著書である「33歳で年収300万円台でも 米国株投資で爆速1億円 」で米国株投資人気に火をつける。有料メルマガ『まーしーによる米国株投資で億のほそ道』では、個別株投資家向けの爆益狙いの投資情報を現在進行系で配信中。

再加速したCPI

米労働省が10日、消費者物価指数(CPI)を発表しました。市場では4月がインフレのピークだとの「淡い」期待がありましたが、幻想は打ち砕かれました。5月のCPIは前月比で1%上昇しました。前月比で、です。また、前年同月比上昇率は8.6%と、約40年ぶりの高い伸びを記録しました。

内訳をみると、CPIを大きく押し上げたのはガソリン価格です。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは、前月比0.6%と小幅な伸びとなりました。前年同月比のコアCPI上昇率は6%で2~4月より鈍化しています。

また、同日発表のあった米ミシガン大学による6月の消費者信頼感指数(速報値)は50.2と、過去最低を更新しました。いずれも、ガソリン価格が過去最高水準に上昇する中インフレ懸念が高まったことが原因です。

政治的な動機を一時棚にあげてでも、政権・議会は一刻も早く原油へのアクセスを改善するべきです。

消費行動はモノからサービスへ転換

他にも、モノからサービスへの消費行動の転換が見えています。旅行や外出などの活動を再開する一方で、家庭用品の購入意欲は後退しているもようです。

例えば、小売り大手ターゲット<TGT>は過剰在庫を処分するために値引きを余儀なくされるとの見通しを示しました。同業他社も多くの在庫を抱えている点を踏まえると、モノの価格はまもなく値下がりする可能性があります。

この事実はインフレ鈍化に繋がるはずですので、歓迎したいです。

米商務省が15日発表した5月の小売売上高がまさに現在の流れを示しています。前月比0.3%減少と、エコノミストの事前予想0.2%増を大幅に下回りました。小売売上高の減少は、消費者の支出がモノからサービスへと徐々に回帰していることも反映しています。小売売上高の大部分はモノが占めており、インフレ調整をしていないからです。

CPI統計にアナリストが絶望した理由

しかしながら、自動車業界は依然として高止まりしている点には留意しておきたいです。半導体の供給問題は改善しつつあるようですが、5月の新車・中古車価格は依然として前年同月比13.7%上昇しています。これはコアCPI上昇率の約1.4ポイントを占めています。

10日のCPI統計はこれ以上ないほど懸念される内容だったと投資家やアナリストは指摘しています。総合インフレ率は予想を裏切られ、40年ぶりの高水準を記録しました。また物価上昇圧力は、かねて半導体関連、航空券などに集中しており、一時的だと言われていました。しかし、今回の発表ではあらゆる分野に波及していることが確認されており、特定の項目がインフレの要因だと言えなくなりました。

Next: S&P500は直近高値から20%以上の下落。遂に弱気相場入りへ



S&P500は遂に弱気相場入り

13日の米株式市場でS&P500は3.9%安となり、1月3日の過去最高値からの下落率が21.8%に達したため、2020年3月以来の弱気相場入りが確認されました。直近高値から少なくとも20%下がると弱気相場だと広く認識されています。物価高騰やFRBによるタカ派姿勢、景気後退の懸念が株価の下押しに繋がっています。

また、同日には米2年債の利回りが10年債利回りを上回り、4月以来の逆イールド(長短金利の逆転)が発生しました。逆イールドの発生はリセッション入りを示唆する重要な指標の一つです。

歴史が証明する投資家へのさらなる痛み

歴史を振り返ってみると、投資家には今以上の痛みが待っているかもしれません。ロイターの記事では、CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストバル氏の分析に基づき、1946年以降の弱気相場局面は13回あって、平均下落率は32.7%、2007~2009年の金融危機時には57%近くも急落しているとのことです。

さらに、株価が底を打つまでにかかる期間は平均で1年余り、その後以前の高値を回復するまでに平均で約2年も必要になるとのことです。しかしながら、高値に戻るまでの期間は13回の弱気相場それぞれでかなり異なり、早ければ3カ月、遅いと69カ月とバラツキもある模様です。

強気でいられるセクターはどこ?

インベスコのストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏は「FRBが何らかの方向転換をするまで株式市場の好転はないだろう」と指摘しています。FRBは現在タカ派的姿勢を強めていますが、それが和らぐまで時間がかかると予想しています。

ベーカー・アベニュー・アセット・マネジメントのストラテジスト、キング・リップ氏は「市場が底を打たない理由は、まだ多くの不確実性が残っているからだろう。そのため、極めて不安定な動きが続くと思われる」と述べています。

しかしながら、これまでに記事にしているように、セクター別では依然強気でいられる分野はあります。エネルギーは原油価格上昇につれて大きく値上がりしています。他にも公益などいわゆるディフェンシブ銘柄は市場全般より売られていません。一方で下げがきついのは、ハイテクをはじめとする成長株です。金利が上昇するにつれ、今後はさらに売られることになるかもしれません。

覆された「期待インフレ」の安定が「実績値」を抑える説

期待インフレの上昇

ニューヨーク連銀が13日に発表した調査によると、米消費者の1年先のインフレ期待が中央値で前月から0.3%ポイント上昇し6.6%となりました。3年先のインフレ期待は横ばいの3.9%でした。

1年先のインフレ期待の内訳は、ガソリン価格が5.5%に上昇する一方、住宅価格は5.8%に鈍化しました。

家計支出の伸びも中央値で9%と、1%ポイント上昇し過去最高となりました。

長期のインフレ期待が2008年以来の高水準を記録したことで、期待インフレが安定しているため、実績インフレ率の上昇を抑えられるとの説も疑わしくなりました。

期待インフレの上昇は、実際のインフレを形成してしまう自己実現的な側面があるとFRBは考えています。

FRBの0.75ポイントの利上げ

米連邦準備制度理事会(FRB)は15日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.75ポイント引き上げて1.5~1.75%とすることを決めました。さらに、年内はここ数十年で最も速いペースで利上げを継続する姿勢を示唆しました。

前回5月の会合を含め、これまで多くのFRB当局者から今回の利上げ幅が0.5ポイントになるとのガイダンスが示されていましたが、先のインフレ続伸発表を受け、結果的に予想を上回る利上げ幅となりました。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「この規模の措置が普通になるとは思っていない」と説明としましたが、7月に予定する次回のFOMCでも、現在の状況を踏まえると「50bpか75bpの利上げの可能性が高くなると思われる」と語りました。

経済成長を「意図的に」減速させる金利政策

あわせて発表された政策見通しでは、18人のメンバー全員が、年末時点のFF金利を少なくとも3%と予想しました。年末時点の予想中央値は約3.375%と、今後4会合で1.75ポイントの引き上げを見込んでいます。3月時点では大半のメンバーが、年末までに少なくとも1.875%に達すると予想していました。

また、23年末時点の金利予想は3月時点の2.75%から3.75%程度に切り上がりました。24年には若干低下するとみています。

22年と23年の国内総生産(GDP)成長率見通し中央値は各1.7%程度と、3月時点の予想である2.8%、2.2%から引き下げられました。失業率については、5月の3.6%から、22年末に3.7%、24年に4.1%まで上昇するとの見通しが示されました。

これらの当局者の経済見通しからは、多くのメンバーが経済成長を「意図的に」減速させる水準まで金利を引き上げる必要があると考えているかもしれません。ちなみに、FRBが中立金利と推定しているのは約2.5%ですので、いよいよ政策によって景気を冷まそうと本腰を入れたとみることができます。

他にも、インフレ率の見通しはエネルギーと食品を除いたコアの個人消費支出(PCE)物価指数の前年同期比上昇率は4.3%と、前回見通しの4.1%から上昇しました。4月のコアPCE物価指数は前年同月比4.9%上昇しました。

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image by:FrankHH / Shutterstock.com

まーしーによる米国株投資で億のほそ道』(2022年6月18日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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