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政府日銀と投機筋の対立激化、ドル円150円の抵抗ラインで投機筋はどう仕掛ける?為替介入ギブアップなら最悪の展開に=今市太郎

先週金曜と今週月曜の2回の為替介入の結果、はからずも150円というのが1つの防衛ラインのように市場に理解されてしまいました。しかも、投機筋を完全に敵視し、それと対峙することを鮮明に口にしていることから、ここからは本格的な投機筋と当局の対立構造が深刻化することが考えられます。(『 今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』今市太郎)

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※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年10月26日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。

円相場は乱高下…いつまで介入を続けるつもり?

先週21日深夜と週明け24日朝オセアニアタイムの度重なる介入のお陰で、ドル円はとうとう上にも下にも行けずに149円アラウンドを1日中細かく上下動して時間を潰すという猛烈な膠着相場に陥っています(編注:原稿執筆時点2022年10月26日8:00)。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

ある意味で本邦金融当局の狙い通りでほとんど上にも行かれない状況で、そのうち大きく垂れてくることも想定できる相場となっています。

ただこうした状況に持ち込むために、いったいいくらカネを使ったのか?と考えると、お世辞にもバリューフォーマネーとは言い難いところ。

さらには米国の金利はまだまだ上昇しようとする過程なのに、本邦はただ緩和継続というコントラストがさらに強まる状況下。

そのなかで、いったいいつまで介入を続けるつもりなのか?非常に気になるところとなってきています。

財務省のターゲットは150円死守がはからずも露見する事態に

財務省・日銀は、あくまで「投機筋による過度なドル円の上昇を抑止するために介入を行う」としてきており、実際に1日に2円以上相場が動いたときに介入を行っているのは事実です。

しかし、先週金曜と今週月曜の2回の介入の結果、はからずも150円というのが1つの防衛ラインのように市場に理解されてしまいました。

しかも、投機筋を完全に敵視し、それと対峙することを鮮明に口にしていることから、ここからは本格的な投機筋と当局の対立構造が深刻化することが考えられます。

Next: 投機筋と当局の対峙激化は相場に凄まじい影響を及ぼすリスクに



投機筋と当局の対峙激化は相場に凄まじい影響を及ぼすリスクに

さながら1992年のジョージ・ソロスのファンド勢とBOEの激しい価格水準順守の攻防が思い出されるところ。しかし、いくら日本の金融当局が介入原資は無限大と豪語しても、さすがに使える上限はある状況です。

一方、投機筋もレバレッジをかければ400兆円以上の原資を投入可能と言った見方もありますので、本当にこうした一定の為替水準を睨んだ介入とそれを突破しようとする動きが深刻化した場合には、かなり悲惨な相場が示現する可能性があります。

とくに今週は28日にまたしても日銀政策決定会合が開催されますから、黒田総裁の会見で2~3年は利上げなどしないという話が再確認されたところで、また相場は飛び上がるリスクが高まります。

思い返してみれば、前回の介入もFOMCを経て日銀会合後に行われています。

ですから、ここからも黒田発言がある度に相場が跳ねて、それを財務省が介入で抑えてかかるという茶番劇を延々と繰り返すのかどうかに相当な注目が集まります。

財務省がまさかの介入ギブアップなどという事態になれば最悪の展開に

本来はイールドカーブコントロールの上限金利を0.1%でも弄れば、簡単に円安が解消もしくは上昇抑止になるものと思われます。

しかし、それをやらない。いや、「できない」のが日銀の現状です。

それを是正するために、いったいどこまで真剣に財務省が介入を続けるのかは、今年年末に向けて非常に大きな問題になりそうです。

覆面介入ということで、米国のイエレン財務長官もすっとぼけて見せたのかも知れませんが、全体のトーンとしては、介入はいつでもいくらでもしてくださいというほど好意的な印象は「ない」のが実情です。

Next: 米国にとっても日銀介入はプラス?個人投資家はどう対応すべきか



日銀はどこまで投機筋とやりあうのか?

ただ、ひとつ米国にとってプラスになっているのは、日銀がドル売りをすることで市場にドルが供給され、米国債券市場の流動性も確保されていること。

そのことから、結果的に中間選挙前に株価の下落を抑えるというかなり遠まわしな効果を発揮している状況で、これも選挙が終わればそれまでの話になりそうです。

近年主要国でここまで大規模な為替介入をやっているのは日本だけなので自然と市場の注目を浴びるわけですが、とくに投機筋と対峙した場合、本当にどこまで本気でやりあうのかが非常に気になるところ。

個人投資家としては、それにいかに巻き込まれずに漁夫の利を確保できるかに集中していきたい時間帯です。

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  • 10月26日ロンドンタイムショートコメント(10/26)
  • 財務省日銀と投機筋の対立激化に注意 ~ドル円150円が抵抗ラインで投機筋の仕掛けが気になるところ(10/26)
  • 10月25日ロンドンタイムショートコメント(10/25)
  • 本邦財務省の為替介入イエレン聞いてないってよ と言うお話(10/25)
  • 黒田日銀の緩和政策はMMT理論の実証実験の失敗フェーズにある ~誰も言わないので私が敢えて言いましょう(10/25)
  • 10月24日ロンドンタイムショートコメント(10/24)
  • 10月第四週相場分析特別編・21日財務省為替介入ドキュメント(10/24)
  • 10月21日ロンドンタイムショートコメント(10/21)
  • とうとう150円超となったドル円相場の年末までの基本シナリオを考える(10/21)
  • 10月20日ロンドンタイムショートコメント(10/20)
  • ドル円の上昇が相場の中心テーマではなくなりつつある印象(10/20)
  • 10月19日ロンドンタイムショートコメント(10/19)
  • ドル円は147円を割り込まないかぎりこのまま上昇の可能性(10/19)
  • 10月18日ロンドンタイムショートコメント(10/18)
  • 英国の年金で話題になったLDIはどこに問題があるのか(10/18)
  • 10月17日ロンドンタイムショートコメント(10/17)
  • 10月第三週相場分析(10/17)
  • 10月14日ロンドンタイムショートコメント(10/14)
  • 9月の本邦財務省の為替介入水準を大幅に超えてきたドル円~果たして米国財務省と何が握れているのか?(10/14)
  • 10月13日ロンドンタイムショートコメント(10/13)
  • ドル円の1トレンド寿命は9週間弱 ~来週がこのトレンドの週末の可能性も(10/13)
  • 10月12日ロンドンタイムショートコメント(10/12)
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  • 10月10日ロンドンタイムショートコメント(10/10)
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  • 中銀政策依存症相場は短い時間足でもトレンドが出た時だけついていくで乗り切る(10/7)
  • 10月6日ロンドンタイムショートコメント(10/6)
  • BOEの反転緩和政策を見て示現した中央銀行挫折期待相場~市場はまたパウエルの厳しい利上げ断念を期待して楽観相場を展開中(10/6)
  • 10月5日ロンドンタイムショートコメント(10/5)
  • 介入警戒領域が145.500円レベルにアップしたドル円~しかしこれは本当に介入効果があったといえるのか(10/5)
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  • 10月3日ロンドンタイムショートコメント(10/3)
  • 10月第1週相場分析(10/3)
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今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』(2022年10月26日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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