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レイ・ダリオが警告する「戦争フェーズ」突入。この先10年は最悪のリターンが続くか=今市太郎

世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエーツ」の創業者レイ・ダリオ氏が、世の中はとうとう「革命と戦争」のフェーズに突入したと指摘しています。株式の利益などはやはり平和の収益で、とくに足もとのように核攻撃で相互に甚大な被害が出るような状況下では、もはや金融市場で利益を得ること自体がまったく難しいであろうことを痛感させられるところです。(『 今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』今市太郎)

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レイ・ダリオが警告「世の中は戦争フェーズに入った」

レイ・ダリオといえば今年9月末、自ら創業し世界最大のヘッジファンドにまで育て上げた「ブリッジウォーター・アソシエーツ」の経営権を取締役会に譲渡し、第一線から退いたことで話題になりました。

そのダリオが11月に入って、随時投稿をしているLinkedInにて、世の中はとうとう「革命と戦争」という彼の言う「第6フェーズ」に突入したと指摘したことから、市場でも大きな関心を集め始めています。

もともと2020年頃からレイ・ダリオは、LinkedInに「The Typical Big Cycle Behind Empires’ Rises and Declines(帝国に背後に佇む典型的なビッグサイクル)」について投稿をはじめ、2021年11月には『Principles for Dealing with the Changing World Order: Why Nations Succeed and Fail』という本にまとめあげて出版しています。

内容は、過去500年にも及ぶ壮大な帝国と呼ばれた国の経済・社会ステージをコンピュータを駆使して分析したもの。歴史学者ではない金融業界のヘッジファンドの第一線で活躍してきたレイ・ダリオがまとめたことに驚きを感じさせられます。

つまり個人的な歴史観に基づくものではなく、かなり客観性のあるデータドリブン、ファクトベースの内容である点が注目されるものです。

7つのフェーズのうち、6番目の「革命と戦争」フェーズに突入か

レイ・ダリオがまとめた帝国のサイクルは、7つのフェーズから構成されています。

まず第1フェーズでは「新しい世界秩序」が形成され、その後の第2フェーズではそれをもとに「繁栄と信用創造」が拡大する時代が結構長く続くことになります。

その後の第3フェーズでは「債務バブル」が到来して富は偏在化、貧富の差は大きく拡大を始めます。

そして第4フェーズでは「債務破綻と景気後退」が顕在化し、経済のサイクルは完全に下向き方向に走り始めるといいます。第5フェーズでは政府が「紙幣の大増刷」と無理やりの信用創造にまい進することになります。

ここ14年ほどのFRBや日銀の動きはまさにこの人工的な世界であったわけですが、レイ・ダリオはとうとう世界がその次の「革命と戦争」のフェーズに突入しようとしていると指摘を始めているのです。

この戦争フェーズが終了すると「債務処理と政治的な再構築」という第7フェーズが訪れ、ほどなくしてまた新たな世界秩序の構築に向けて元のサイクルに戻るとしています。

Next: レイ・ダリオの言う「戦争」とは何か?恩恵を受けるのは…



戦争とはどういうことを示唆しているのか

レイ・ダリオは国家間の戦争について、5つの定義をしています。

「貿易/経済戦争」「技術戦争」「資本戦争」「地政学的戦争」「軍事戦争」ということで、ステージが進むほど本格的に弾が飛び交うリアルな戦争に突入することを示唆しています。

具体的な戦争の火種としては、ロシア・ウクライナ・NATO戦争、米国と中国の台湾紛争、イランの内外の紛争、北朝鮮の緊張が挙げられています。

こうした要因は並行して動いているだけに、複数が同時期に火を噴く可能性も十分に考えられるところ。

足もとではNATOを巻き込むウクライナ・ロシアの地政学的戦争への拡大から、米国さえも巻き込む軍事戦争が非常に危惧されます。

また習近平による絶対的体制が確立した中国が台湾に侵攻し、最終的に日本が巻き込まれる形での米中戦争に発展することもかなり心配です。

戦争になって利益が確保できるのは、戦勝国の一部の為政者だけ

日頃戦争の勃発という話については何となくリスクは感じているものの、リアルな金融投資活動でどのように考慮すべきかを検討している向きは、プロを含めてかなり限られているのが現状でしょう。

ただ、レイ・ダリオはこうも指摘しています。1900年から世界の主要10大国の資産の実際のリターンを調べてみると、新しい事実が浮上することになっているのです。

レイ・ダリオの調査の対象となったのは、英国、米国、中国、ドイツ、フランス、ロシア、オーストリア・ハンガリー、イタリア、オランダ、日本で過去2回の世界大戦では戦勝国になったところも敗戦国になったところも含まれています。

ただ10か国のうち7か国では、富が少なくとも一度は事実上一掃され、富が一掃されなかった国でも資産収益が本質的に財政的に破壊されたひどい数十年を経験することになるというのです。

実際のLinkedInの文書は、以下からご覧になれます。
https://www.linkedin.com/today/author/raydalio

株式の利益などはやはり平和の収益で、とくに足もとのように核攻撃で相互に甚大な被害が出るような状況下では、もはや金融市場で利益を得ること自体がまったく難しいであろうことを痛感させられるところです。

Next: 「戦争」状態の相場で私たちはどう振る舞うべきか?



「戦争」状態の相場で私たちはどう振る舞うべきか?

レイ・ダリオは、こうした戦争フェーズで我々にどうしろというような具体的な示唆は与えていません。しかし、そういう状況で果たしてどう振る舞うことが重要なのかは、今のうちによく考えておく必要です。

これが軍事アナリストの予想ならさもありなんと言ったところですが、世界最大のヘッジファンドで、つい最近までCEOを務めてきた人間の見立てであることは、決して無視できるものではありません。

我々は引き続き投資の先行きを熟考せざるを得ない時間帯に突入してしまったようです。

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image by:Web Summit at Wikimedia Commons [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』(2022年11月9日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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