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2023年春までに起こる「相場を揺るがす」3つの出来事とは?年明け早々の米株下落・円高に要警戒=今市太郎

今回は過去にも実施して好評をいただいた「2023年の私的妄想的相場予想」として、春の桜が咲くころまでに本当に起こりそうな3つのテーマについて解説したいと思います。(『 今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』今市太郎)

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※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年12月26日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。

2023年相場予想その1:春どころか年始から2月にかけて危ない米株相場

1つ目に挙げたいのは、米株の大幅下落です。 このメルマガ このメルマガ ではすでに何度もご紹介しているアナログチャート分析では、2022年年末段階でのS&P500のチャート形状が一段と2008年のそれに近くなっており、年末27日から30日まではなんとかクリスマスラリーで持ちこたえても、年初早々2月にかけて激しく下落する可能性が出てきています。

「過去の相場と同じことなど2度と起こらない」と見向きもしない方が多いのも事実ですが、実は市場でこの手の分析をもっとも行っているのはAIで、口には出さないけれどももっとも心配しているのはそちらの向きだと言われ始めています。

リーマン・ショック以降、市場には暴落に備えてサーキットブレーカーが実装されていますから、1日に3,000ドル下がるといったことはありません。しかしながら、下がりだしたらずるずると下落して、2月辺りまで止まらなくなる可能性がありそうです。

<2009年1月は年初からたった2週間で6円超のドル円下落>

2009年年初の相場を調べてみますと、あれよあれよという間に3割近く下落したS&P500と同時期、ドル円は新年早々94.67円の高値をつけたものの、10日営業日あまり(実質2週間)で88.50円まで下落。価格水準が低かったので値幅は6円超となりましたが、下落率では一気に7%以上の下落となっています。

その後はいったん止まってレンジの上下動をくりかえしますが、年度末に再上昇するまでは低位のレベルを保つこととなりました。

足もとの相場でいえば、133円で年始を迎えることができればいきなり123.600円レベルまで下落
する勘定になりますし、もう少し下のレベルで年越しをした場合には一気に120円割れを起こすことさえありえそうな予想になってきています。

現状ではこれに加えて日銀の政策変更が大きく取り沙汰されており、今回のYCCの上限変更だけでは済まないのではないか?という悲観的な見通しも示現しはじめています。

この予想をどこまで信用するかはまさに読者の皆さま次第ですが、どこの馬の骨かもよくわからないFX YouTuberがノリで予想する先行き見通しよりは、相当多くの投資家が現実のものとなることを心配していることだけは確かでしょう。

冒頭で「私的妄想的」と一応責任回避のひとことを入れていますが、個人的には果たしてそういう相場が本当に到来するかどうか、大注目している状況です。

さあ皆さまはこの予想、どう判断されるでしょうか。リアルな投資はもちろん自己責任でお願いします。

Next: 日銀のサプライズはまだ続く?ドル円急落に要警戒



2023年相場予想その2:日銀の政策失敗で金利上昇・債券下落へ

さて、「私的妄想的相場予想2023~春までに本当に起こりそうな3つのテーマ」その2は、日銀の政策についての問題です。

12月20日、日銀黒田総裁の意表を突いた政策変更がありました。この日銀の大がかりな政策変更が市場との対話もナシにいきなり示現したと認識される方も多いようです。

しかし、実はYCCがいくら上限に達して無制限の買い増しをしても、制御ができなくなった。もっと率直に言えば投機筋の売り浴びせにこらえきれなくなったという重要な現実から止む無く発生しているもので、戦略変更などという生易しい状況ではないことが市場でも露見しはじめています。

日銀は、既発債のすでに5割を超えるもの(とりわけ10年債)については7割以上を保有しているにもかかわらず、YCCの上限を上げざるを得なくなっているわけですから、イールドカーブコントロールなどという大それたオペレーションが実はもうすでに制御できない状況に陥っていることが見えてくる状況です。

しかし一部の経済紙には、日銀が今度は20年債に上限を設定して無制限の買入れをするといった観測も出ており、実はぜんぜん懲りていない可能性も見えはじめています。

まあYCCの実施を成功と公言しているのは日銀だけですから、他にベンチマークとなるものはなく、ここまで土俵際に来てしまうと「窮鼠猫を噛む」がごとく、やれることは全部やって玉砕する危険性が高まりそうです。

<ここからは何の金融緩和の巻き戻しをしても金利上昇・債券下落に陥る>

このイールドカーブコントロールは2016年9月にプラスマイナス0.1%に設定され、当初は下方向に走らないことも考慮されていましたが、その後、時が経つにつれて設定上限は高くなり、2018年7月にはプラスマイナス0.20%となりました。

さらに2021年3月にはプラスマイナス0.25%となり、今回は1年9か月ぶりにその上限を高めざるを得なくなっています。

しかも上げ幅はこの6年で最大のものとなっていますから、市場の突き上げがいかに激しいものであるかは一目瞭然で、ここからさらなる長期債で同じ無制限買いオペによる金利の上限設定などを行えば、決壊時の傷みがさらに大きくなることは容易に想像のつく状況です。

実は20年債の金利制御に手を付ける前に、10年債の上限制御が完全にコントロール不能になる可能性もあり、ごく早い段階でさらに上限をいじらざるを得なくなれば国債価格はさらに下落、金利は上昇で、日銀の保有国債の時価総額は減少、含み損は大きく拡大し、下手をすればこれだけで資本金を超える債務超過状態に陥るリスクも高まることになります。

いまのところ黒田総裁がいうようにまだ利上げではなくYCCの上限金利を弄っている段階でこのざまですから、日銀が正式にFF金利の利上げをせざるを得なくなった場合、国債価格はさらに激しく下落することになるでしょうし、まして保有国債を売却するなどというQTに言及した途端に国債は暴落しかねない状況が待ち構えているといえます。

<1月の日銀会合でまたサプライズも?>

さすがに黒田退任まではもう何も政策変更はないという楽観的な見方をする向きが多いのは事実ですが、一部のアナリストはすでに1月の政策決定会合でも緩和巻き戻しにあたる政策変更を持ち出してくるのではないか?といった予測をし始めています。

果たして、ドル円がどの水準でこうしたことが起こるのか次第ですが、まさかの昨年年初来安値
である113円を簡単に下抜けるという状況に追い込まれることも想定しておくべきのようです。

これも春先までどころか豆まきの前に突然に起きるリスクがありそうで、果たして妄想的相場予想などという言葉でやり過ごせるかどうかが大きな注目点です。

Next: 金価格が大幅上昇?中国とロシアの金購入を加速させている



<単なる投機筋の日本国債売り浴びせからくるのではない円高襲来か>

国債の金利が大幅に上昇するというのは、実は為替にも想像を絶する動きになって現れることが予想されます。

まず長期の低金利で海外で運用せざるを得なかった機関投資家などの資金が大きく国内回帰する可能性があります。

既存のJGBを保有する向きにとっては価格が下落して含み損が拡大することになりますが、新規に国債購入する向きは大幅に獲得金利が上昇するうえに外為でヘッジする必要もなくなることから、運用リスクが劇的に変化することになります。

また円キャリートレードを行ってきた海外投機筋が一斉にこれを解消してくる可能性は極めて高く、1998年のLTCM破綻後に起きた凄まじい円高のような事態が起きることはあらかじめ覚悟しておく必要がありそうです。

2023年はもうすぐそこですが、相場の動きが大きく転換することも視野に入れた取引をしていく必要がありそうです。

2023年相場予想その3:金価格の大幅上昇

テーマの3つ目ですが、ずばり金価格の大幅上昇を予想したいと思います。

ドル建ての金先物価格はFXトレーダーでも非常に興味をもって見ている方と必ずしもそうでは無い方に分かれると思いますが、状況はここ数か月で大幅に変化しようとしています。

それが中国とロシアの金購入の動きで、まず中国は完全に外貨準備でドル買いから金買いにシフトしはじめています。ウクライナ戦争で激しい西側諸国からの制裁を受けているロシアも同様でややもすれば基軸通貨としての米ドルをぶち壊さんばかりの動きにではじめていることが見えています。

この2つの国は最終的に金本位制に戻るのではないかとさえ言われ始めていますから、ここからさらに金の現物が買われる市場が続きそうで、このことがこれまで以上に相場を持ち上げる可能性に注目したいところです。

最近の金相場の動きを見ますと――

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  • 私的妄想的相場予想2023~春までに本当に起こりそうな3つのテーマ その3(12/28)
  • 12月27日ロンドンタイムショートコメント(12/27)
  • 私的妄想的相場予想2023~春までに本当に起こりそうな3つのテーマ その2(12/27)
  • いまさら10年前の政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)を読んでみた~この結果が黒田のやりすぎ緩和なのは一目瞭然(12/26)
  • 私的妄想的相場予想2023~春までに本当に起こりそうな3つのテーマ その1(12/26)
  • 12月23日ロンドンタイムショートコメント(12/23)
  • 早くも市場に飛び出しはじめた日銀異次元緩和の巻き戻し ~しかし株と債券でQTをはじめれば市場は飛んでもないことに(12/23)
  • 12月22日ロンドンタイムショートコメント(12/22)
  • 日銀黒田発言は意味不明というのが海外の反応(12/22)
  • 12月21日ロンドンタイムショートコメント(12/21)
  • 日銀の長期金利許容上限0.5%に引上げは完全なYCC敗北宣言(12/21)
  • 12月20日ロンドンタイムショートコメント(12/20)
  • 年末なのでドル円の1年間の価格分析をしてみましょう(12/20)
  • 12月19日ロンドンタイムショートコメント(12/19)
  • 日本の防衛費いきなり1.5倍の特盛化は為替に影響を与えないのか?(12/19)
  • 12月16日ロンドンタイムショートコメント(12/16)
  • ここからの市場の課題はリセッションに備えること(12/16)
  • 12月15日ロンドンタイムショートコメント(12/15)
  • SBFの逮捕で見えてきたとんでもポンジスキーム~これ政財界・既存金融市場に問題が広がる可能性も(12/15)
  • 12月14日ロンドンタイムショートコメント(12/14)
  • ソフトバンクGいまさらMBOなんて本当にできるのか?(12/14)
  • 12月13日ロンドンタイムショートコメント(12/13)
  • 習近平中東にじり寄りで米ドルの基軸通貨からの転落は想定より早くなる可能性について(12/13)
  • 12月12日ロンドンタイム拡大版(12/12)
  • 岸田首相の財源なき防衛費倍増強硬で起きる悲劇の可能性~国債格下げなら市場はとんでもないことに(12/12)
  • 12月9日ロンドンタイム特別版(12/9)
  • 米債市場でいよいよ顕在化するリセッショントレード(12/9)
  • 12月8日ロンドンタイムショートコメント(12/8)
  • 相場の先行きがすっかり読み込めなくなった市場の迷い(12/8)
  • 12月7日ロンドンタイムショートコメント(12/7)
  • BISが開示した驚愕の四半期レポート~これ金融市場は大丈夫なのか?(12/7)
  • 12月6日ロンドンタイムショートコメント(12/6)
  • 日銀の莫大な含み損がでるのはこれからという凄まじく厳しい状況が露見(12/6)
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  • 本邦メガバンクの外債投資の含み損が半端ない状況に(12/2)
  • 12月1日ロンドンタイムショートコメント(12/1)
  • 12月相場に波乱は起きるのか?(12/1)

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  • 市場が殆ど気にしないFRBのQT ~しかし確実に進み影響が出るのは必至の状況(11/30)
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image by: metamorworks / Shutterstock.com

今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』(2022年12月26日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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