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「チャートなど役に立たない」天才スタインハルトの名言と投資手法=山田健彦

天才投資家マイケル・スタインハルトの名言と投資スタイルを紹介します。彼は徹底したファンダメンタリストで、チャートは役に立たないと言い切っています。(『資産1億円への道』山田健彦)

大局を掴んだ短期売買。マイケル・スタインハルトの着眼点に学ぶ

平均年間利益率約30%、天才の意外な生い立ち

マイケル・スタインハルト氏は、1941年に米国で貧しいユダヤ移民の子として生まれました。スタインハルトが1歳の時に両親は離婚。父親は宝石商を営んでいましたが、博打好きで、本業の宝石ビジネスでも儲けるための手段は選ばず、盗品なども積極的に扱い、マフィアとも取引があったと言われています。一時期は投獄もされていました。

スタインハルト自身は、13歳の時から企業分析やチャート分析を勉強し始めました。きっかけは、ある銘柄の株式「200株」を父親からもらったことでした。その後、しばらくして実際に投資を開始しました。

彼は頭脳明晰だったようで、高校は16歳で卒業し、1960年にペンシルバニア大学ウォートン校を飛び級で卒業したときはわずか19歳だったそうです。卒業後は、ウォール街にある投資信託会社でアナリストとして働き始めます。

その後、ビジネス誌の記者として働いた後、証券会社に転職しています。そこでは農機具と消費材のアナリストをしていました。

そして1967年、26歳の若さで「スタインハルト・ファイン・バーコビッツ」という自分の会社を立ち上げます。

スタインハルトは27年近く投資家として活躍し、平均年間利益率約30%を達成しています。

もっとも、スタインハルトの投資は毎年毎年30%のリターンを生んでいたというわけではありません。ブラックマンデーのときには、市場から手痛い仕打ちを受け、年間の利益を数日でほぼ全額失ったこともあったようです。

スタインハルト、珠玉の名言

スタインハルトは、市場に関するいろいろな名言を残しています。

数え切れない決断と失敗が、年月を経て私を賢い投資家に育ててくれた。

成功の事例に決まったパターンはない。2~3銘柄でうまくいった数年間もあれば、市場の流れにうまく乗った数年間もある。債券で稼いだ時期もある。決まったパターンはないという事実にこそ重要な意味がある。

成功のための方法を定式化できると思ったら大間違いだ。勝利の方程式は、すぐに変わる。ある期間定式化した方法がうまくいくと、その後には避け難い大きな失敗が待ちうけている。

良いトレードとは、自分のアイディアを追い続けていく信念と、間違いを認める柔軟性の間の微妙なバランスで成り立っている。

確信と謙虚のバランスは、幅広い経験と失敗から学ぶもの。反対側で売買している人間にも見通しがある。

なぜ彼は売るのだろう。自分の知らない何を知っているのだろう。常にそう自問すること。

そうすれば、あなたは自分自身にも他人にも正直になれるに違いない。

これらのことを、たびたび述懐しています。

Next: 一見、矛盾を孕んでいるスタインハルトの投資スタイルとは?



投資家から慈善家へ

1981年は、スタインハルトにとって運命を変える1年でした。あるとき、FBIから電話が入り、「資本家を狙うテロリストグループの暗殺リストにあなたの名前が載っている」というのです。

この件をきっかけに彼は、成功人の命自分の使命人生の目的などについて深く考え始めます。

幸運にもテロリストから命を狙われることはなかったのですが、それ以降、マーケットでのトレードの成功以外に充実感をもたらすこと、慈善事業の追求に人生をかけ始めたそうです。

金持ちをさらに富ませるより、人生にはもっと崇高なことがあると思うようになった。金持ちを儲けさせることは罪とは思わないが、そのまま天国へ行けるような行為とも思えない。

と述べています。

スタインハルトは1995年に54歳でトレーダーを引退しましたが、2004年11月にマーケットに戻ってきて、ウィズダムツリーの取締役に就任して復帰しました。現在はウィズダムツリーの取締役会長ならびに筆頭株主として、同社の経営に携わっています。ウィズダムツリーは、ETFに特化したファンド運用会社です。

一見、矛盾を孕むスタインハルトの投資スタイル

ファンダメンタル重視、逆張り、短期勝負。分野は、株式、債券、オプション、為替など何でもあり。しかも一定方向の相場の大きな流れに乗るというスタイルです。

ファンダメンタル重視で短期勝負というのは少し矛盾していますが、彼の場合は、長期の見通しに基づいた短期売買ということです。

また、空売りも手がけていました。

機関投資家が好み、その熱狂的な人気に支えられた銘柄を、ファンダメンタル分析で割高だと判断したら、空売りするようにしている。

と言っています。

手法ですが、彼はまず、来る相場の大局を見ます。これはちょうど、我々がここしばらくは原油価格の低迷が続くだろうとか、日本においてはインフレはまだまだ先だろうという、大雑把なレベルでの予想です。

このような方法で相場に対する着想を積み重ねていき、その後に個別銘柄へと進んでいきます。

また、彼は徹底的なファンダメンタリストです。チャートは役に立たないとも言い切っています。

ストップロス注文は使わない。売買ルールもない。ブレイクも見ていない。そもそもチャートは使っていない。チャートを見ても何にもならない。

ちょっと驚きですね。この続きはまた次回お話しします。
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資産1億円への道』(2017年6月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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