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2018年の相場を予想しつつ「今年っぽいポートフォリオ」を考えてみた=田中徹郎

年頭恒例の「2018年型ポートフォリオを考える」をお届けします。今回は、大まかに以下3つのパートからできています。

  1. 今年の重要ポイントと地域別経済の予測
  2. 各種相場の流れと投資スタンス
  3. 2018年型推奨ポートフォリオ

たぶん今年も長くなると思いますので、例年の通り(1)は読み飛ばしていただき、(2)と(3)だけお読みいただいても大丈夫なように書きます。でも、(1)をお読みいただいたほうが、よりわかりやすくなると思います。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
(株)銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

先進国も新興国も成長拡大か。やや積極性を高めたポートフォリオ

2018年相場の重要ポイントと地域別経済の予測

まず、今年の世界経済を考えるうえで重要な要素をいくつか挙げたいと思います。

<(1)アメリカ経済>

2月にFRB議長が、イエレンさんからパウエルさんに代わります。

パウエル新議長の考え方やバックグラウンドについて、僕は詳しく調べたわけではないのですが、指名したのは大統領のトランプさんです。

いままでのトランプさんの言動をみるに、少なくとも(同氏の任期中に)アメリカ経済にとって、マイナスになるような考えを持った議長を指名するとは思えません。つまりパウエル次期議長はハト派でかつ調整型ということです。

そのような観点でみれば、2月に発足するFRBの新体制は、イエレン議長による緩やかな利上げを踏襲するばかりではなく、より経済に対して融和的…つまり利上げのピッチを遅くする可能性があると思います。

今のところ年内3回の利上げがメインのシナリオですが、経済の拡大や物価の上昇速度によっては、年2回にとどまる可能性もあるでしょう。それがパウエル新議長を指名したトランプさんの意図です。

このようなアメリカの金融政策もありますし、今年はいよいよトランプ大統領の目玉政策である大幅な法人減税が実行される見通しです、これは全上場企業の税引き後利益を6%~10%程度押し上げると予想されています。

他にも在外子会社からの配当金に対する課税を撤廃しますから、そのお金がアメリカ国内に戻り、例えばM&Aやニュービジネスの立ち上げ、設備投資などに使われるかもしれません。

株価に関してはすでにこの効果(すなわち6~10%程度の増益効果)を織り込んでいると思いますが、減税の効果は単年度で終わるものではありません、意外と息の長い相場の材料になるかもしれません。

このようなアメリカの金融政策、税制の変更は世界経済にとっても朗報です。

<(2)日本の金融政策>

ありがたいことに(米国以外で)最も好影響を受けるのは日本ではないでしょうか。

アメリカに進出している企業は減税の直接的な効果を得ることができますし、アメリカにおける需要の増加は、同国への輸出が多い我が国製造業にとって大きなプラスになるでしょう。

それ以外に日本独自の好材料もあります。

1つは失業率の低下による賃金の上昇の可能性です。経済はそこそこいいのに賃金の上昇はなかなか上がらない…。このような状況が長らく続きましたが、昨年の後半あたりから、少しずつ状況に変化がみられるようになってきました。宅配業界やコンビニ、飲食業、建設業などでは人手不足が顕著で、いよいよ人件費が上がり始めました。

AIで代替できる金融機関業務や、ロボット化が進む工場のラインなどでは逆に余剰感があるようですが、産業全体で見れば少しずつ人手不足感が台頭してきたといってよいでしょう。

今年はこの流れがさらに顕著になり、

賃金の上昇 → 消費の拡大 → 物価の上昇 → 企業業績の拡大 → 賃金の上昇…

という、プラスのサイクルが強まってくるのではないでしょうか。

このサイクルは物価にも好影響を与え、いよいよ長らくの懸念だった、デフレからの脱却が明確になってくると思います。まだまだ2%インフレは程遠いでしょうが、春頃には1%台に乗せてくるかもしれません。このような流れは株価にとってもプラスです。

日本の上場企業のPERはすでに15倍台と適正水準ですから、今後は企業業績の拡大がストレートに株価上昇に結び付くでしょう。仮に2019年3月度(2018年4月から2019年3月)の企業業績が10%拡大なら、株価も10%上昇ということです。

Next: 地域別経済の予測~2018年の懸念事項/中国経済はどうなる?



<(3)中国経済>

お隣の中国はどうでしょう。確かに中国経済は減速中ですが、お利口な中国は、かつてのようにムチャなインフラ投資で経済を持ち上げることはなく、今年も年率(公称)6.5%程度の成長に収まるよう、うまく経済を制御してゆくことになるでしょう。

僕は最近、中国経済が(僕が以前予想していた崩壊もなく)順調に拡大を続けるというシナリオも持つようになりました。

いまのところ共産党という統治機構が思いのほかうまく機能しており、システムの劣化さえなければ、向こう十数年、場合によっては数十年も同党が目標とするガイドラインにそって、減速しながらも成長を続けるというのが僕の新しい想定です。

もちろん統治システムはいずれ劣化するもので、例外はありません。特に選挙を経ずに選別された統治機構など、さほど長持ちするとは思えません。

でも今の中国を見れば、例えばアメリカやヨーロッパ、日本など選挙を経た統治機構を保有する国々と比べ、必ずしも問題が大きいようには思えないのです。少なくとも向こう十数年、場合によっては数十年という時間軸で、システムの劣化を回避できる可能性が高そうです。

今年からそのような考えに立ち、相場予測やアドバイスの軌道修正を行おうと思っています。

<(4)今年の懸念事項>

ここまでお話ししてきましたように、僕は今年の世界経済に対して楽観しているのですが、それでも好事魔多し…どんな好環境であろうが、常に悪い想定は持っておくべきだと思います。

今年の悪い想定として筆頭に挙げておきたいのは、やはり昨年同様に中東や北朝鮮発の「地政学的リスク」です。

例えば、ISは制圧できたといわれておりますが、逆に潜在的なリスクが拡散しただけという見方もあります。昨年末もリビアで原油のパイプラインが爆破されたそうですが、この種のテロが中東のアチコチで起きる可能性はあるのではないでしょうか。この場合懸念されるのは原油価格の意外な上昇です。

次の懸念事項として「北朝鮮問題」も気になります。最悪の場合、米朝が戦争状態になった場合のことも、少しだけ頭に入れておきたいと思います。

アメリカの国際政治での孤立も少し気になります。エルサレムの首都認定問題や地球温暖化に関するパリ協定の離脱など、トランプさんの個人的な性向から来ている「揺らぎ」もあるのではないでしょうか、

たった1人の個性が世界を揺るがす…。あってはならないことが今年も起きようとしています。アメリカの政治的な孤立が、世界経済に悪影響を及ぼさなければいいのですが。

3つ目の懸念は「アメリカ発の経済バブル」です。本メルマガ前半でお話ししたように、来年就任予定のFRB次期議長は、おそらく利上げに対して消極派ではないかと思います。

イエレンさんの時代には、(すでに退任した)元副議長のフィッシャーさんという重鎮がいらっしゃいましたし、オバマ政権時代からのタカ派理事もいました。ですから、FRB全体で見るとうまくバランスがとれていたように思うのです。

2月に発足する新体制下では、新任の議長、新任(される予定)の副議長も含め、ハト派に偏りすぎている気がいたします。適切なタイミングで利上げを実行できない場合、短期的には経済にとってプラスでも、あとで振り返れば「あの時がバブルの起点だったな」とならないとも限りません。

株にしても不動産にしても、現状ではバブル状態ではないと思いますが、今年はもしかしたらバブルの芽がアチコチで育ち始める可能性はあると思います。

原油や貴金属、非鉄金属、穀物など、国際商品市場で、実需による均衡相場を超えた高騰が、年内のどこかで始まってしまう可能性もあると思います。

Next: 各種相場の流れと投資スタンス~先進国・新興国ともに順調に拡大か



各種相場の流れと投資スタンス

<(1)株式>

先進国・新興国とも経済はおおむね順調に拡大を続けると思いますので、株価に対して僕は強気です。

ただしアメリカ株に関しては、すでに減税による効果(企業利益に対するインパクト=6~10%)を先食いしており、特に年の前半は現状程度、もしくはやや下げたところでボックス圏入りとみております。

逆に日本株はやや評価不足ではないでしょうか。現状の日経平均は2018年3月期予想ベースでPERが15倍台に過ぎず、仮に2019年3月期に10%増益が期待できるなら、株価が同時期の収益を織り込み始める夏以降、10%程度の上昇はあっていいと思います。その場合、例えば来年の今頃の日経225は26,000円です。

ただし日本株に関しては「円高要注意」ではないでしょうか。

アメリカの利上げ速度が想定を下回り、逆に日本のインフレ率が例えば年央1.2%程度まで上昇すればどうでしょう、その場合、年後半のいずれかの時点で黒田さん(もしくは次の総裁)は、金融引き締め(※注)に転じることになるでしょう。(※注:目標金利の引き上げ、国債やETF買い入れ額の抑制などですが、年明けすでにその傾向が出始めたようにも見えます。)

つまり、「アメリカの金融政策は緩め、日本の金融政策は引き締め方向」という組み合わせで、この場合ドル円は円高方向です。あえて言えば、一時的にではありますが、1ドル=100円を超えて円高が進む可能性もあると思います。

このような前提に立てば、上場企業全体でみた収益は悪化し、もしかしたら10%の増益ではなく、例えば2018年3月期並みにとどまるかもしれません。その可能性は30%程度あると僕は思います、

仮にこの想定のような円高→株安があるとすれば、それは今年の秋口から年末にかけてではないでしょうか、ちょっと気を付けておいてください。

新興国株にも強気です。繰り返しになりますが、アメリカの金融政策はハト派傾向で、利上げのピッチは想定を下回る可能性が十分あると思います。さらにアメリカの大規模減税は時間差で新興国の実体経済を持ち上げ、同地域の株は買われやすい状態が続くとみております。

<(2)商品相場>

一般的なシナリオでは原油相場の下は40ドル、上は70ドルだと思いますが、さきほど申しましたような中東リスク米国発のバブル懸念もあり、今年はどちらかといえば、上記レンジの上のほうでとどまる期間が長いと思います。したがって、40ドルに接近したところで買いを入れ、70ドル近辺で手放すという、小刻みな売買が有効ではないでしょうか。

銅やアルミなど非鉄金属に対しても引き続き強気です。最大の消費国である中国経済に対する減速懸念はありますが、環境規制から同国で生産が減る可能性が高いでしょう、さらに2番目の消費国であるアメリカの減税やインフラ整備政策の推進も、非鉄金属の需要を高めるでしょう。

貴金属相場も今年はおもしろそうです。儲かる・儲からないという問題以上に、パラジウムはどこまで上がるのか、プラチナとの価格差はどうなるのか…。このような興味からです。僕のような昔を知る人間にとって、パラジウムがプラチナを上回る状態は異常です。いったいこの異常事態はどのような形で終息するのか、それともこれが新常態として定着するのか…。いずれにしてもこのような変化の場面には、そうそう出くわすものではなく、大変良い勉強の素材になります。

もちろん両社の関係性に賭けてみるのも一興です、かつての旧常態に戻ると予想するならプラの買いとパラの売り、新常態が定着すると予想するなら逆です。需給の方向から想定し、僕は両者の価格差は目先さらに広がると思いますが…。EV(電気自動車)は増えるといっても台数は知れており、新興国ではまだまだガソリン車が主流です。ヨーロッパではEVへの傾斜が早く、ディーゼルエンジン車はますます影が薄くなるでしょう。

Next: 各種相場の流れと投資スタンス~現物資産、債券、仮想通貨



<(3)現物資産とヘッジファンド>

アメリカは、市場に供給してきたQEマネーの回収をやっと始めましたが、ここまで述べてきた理由で、その回収速度を上げるとは思えません。ヨーロッパではテーパリング体制に入りましたが、マネーの供給量を減らすにすぎません。日本に至ってはテーパリングすら禁句の状態で、いまのところQEを停止できるめどすらたっていません。

重要なのは現在のように世界経済が順調に拡大を続ける環境下ですら、このような状態にあるという点ではないかと思います。このような状態で、仮に世界が再び循環的な(あるいは何らかのショックによる)経済下降期に入ってしまえばいったいどうなるのでしょうか。

日米欧は再びゼロ金利とQEに逆戻り、世界はさらにペーパーマネーであふれることになるはずです。

このような懸念によって、すでにペーパーアセットの対する信認は低下しつつあり、紙幣をたくさん持っている人たちは、その一定部分を中央銀行の政策から隔離された資産、すなわち現物資産への分散しておこうと考え始めているように見えます。

そのような観点で、今年1年という短期の時間軸ではなく、長期的な視点での現物資産への分散は、私たちにとって大きなテーマであり続けるでしょう。

具体的な対象物を挙げるとすれば、多くに人が持ちたいと考える現物資産…実は現物資産はペーパーアセットに比べ種類や量が限定されるのですが、例えば都心の優良な不動産貴金属コインジュエリーなどです。

なかでも僕がお勧めしたいのは「中国人が好む資産を先回りして買う」というスタンスで、これは本稿の前半に書いた『僕は最近中国経済が(僕が以前予想していた崩壊もなく)、順調に拡大を続けるというシナリオも持つようになりました。』という考えに基づいています。

確かにアチコチ移り気な人たちのように感じますが、彼らのお金儲けに対する執着心は、私たちのような生ぬるい隣人とは違ってケタ外れです。通貨に対する信認が低いせいか中国人の現物志向は強く、ヒスイやルビー、スピネルなどのカラーストーン、あと中国コインや紙幣なども好みます。

今年1年という短期の時間軸ではなく、長期的視点でこのような現物資産に、今年も注目してゆきたいと思います。

ヘッジファンドに関して言えば、今年もマネージド・フューチャーズはあまり期待できそうにありません。

どれをとっても同戦略にとってマイナスです。

一方でボラティリティから収益を上げるタイプの戦略や、裁定取引型の戦略が優位を維持する可能性が高いと思います。

<(4)債券>

アメリカ経済に対する期待のふくらみや、FRBの利上げ継続予想などもあり、昨年末以来ジワジワ米国債の利回りが上昇しており、現在の長期債(10年物国債)の利率は2.5%を超えてまいりました。

一方で政策金利(銀行間で資金を融通しあうための超短期金利)のほうはといいますと、直近6回の利上げの結果1.5%まで上昇しており、その影響もあり例えば米国債(3年物)金利は直近で2.1%に接近中です。

長短金利の逆転もありえますが、おそらく政策金利の上昇に引っ張られ、長期金利もある程度は上がるのではないかと思います。10年債利回りで申し上げるなら、今年中に2.8%はあると思います。

もしそのようなピッチでアメリカの金利が上がれば(債券価格は下落)私たちの運用にどのような影響があるのでしょう。

例えば、すでに米国債をお持ちの方は、債券相場の下落によって含み損状態になります。特にETFや投信経由で米国債をお持ちの場合、少し精神的にきついかもしれません、もちろん定められた利子は、債券の時価とは関係なく支払われますが…。

このような環境下では、時間的な分散投資が有効でしょう。日本人の生活にも影響が出てくるかもしれません、さきほどもお話ししましたが、今年の特に年末あたりには日銀の政策変更があるかもしれません。例えば、量的質的緩和(QQE)の出口の模索、あとは金利の誘導目標の引き上げです。

仮にこのような政策変更が起きた場合、金利の(緩慢な、あるいは急速な)上昇が起きるでしょう。例えば、多額の住宅ローンを変動金利で借りている人たち、あるいは身の丈を超えたアパートローンを借りている人たち…。このような方はチョットまずいことになります、そろそろ対策を持っておくことをお勧めいたします。

<(5)仮想通貨>

最後に仮想通貨について少しだけ。「ビットコインに代表される仮想通貨バブルがいつはじけるのか?」。よくこのような質問を頂きますが、僕には予知能力はありません。いつバブルがはじけるかはわかりませんが、ビットコインバブルは過去の同様な現象と比べても、相当大きな規模に達していることは確かです。

小さく膨らんだ風船は小さく破裂し、大きく膨らんだ風船は大きく破裂する…。少し予言めいた表現になってしまいましたが、この簡単な物理現象は、金融の世界でも当てはまります。

Next: 2018年型推奨ポートフォリオのまとめ



2018年型推奨ポートフォリオ

ここまでお話ししてきたような見通しに立つなら、2018年型ポートフォリオ

という考えに基づいて必要最小限の組み換えを行う、というスタンスでいいと思います。

具体的には、下記などです。

以下は推奨ポートフォリオですが、毎年申し上げていますように、これは1つのサンプルで、実際にはおひとりおひとりの経済状況やライフプランによって異なります。あくまで、1つの投資のヒントとしてご活用ください。

<2018年型ポートフォリオ(サンプル)>

・先進国株(20%)
1. 日本株ETF
2. 欧州株(ドイツや北欧株)ETF
3. 世界先進国株ETF

・新興国株(15%)
1. ASEAN株ファンド
2. インド株ETF
3. 世界新興国分散ETF

・コモディティ関連資産(15%)
1. 非鉄金属ETF
2. 貴金属ETF
3. MLP

・債券(0%)

・不動産系資産(30%)
1. 日本不動産現物
2. ヨーロッパ現物不動産

・オルタナティブ(20%)
1. クラシック・コイン(中国、ヨーロッパ各国、アジア)
2. カラーストーン(非加熱ルビー、非加熱サファイア、スピネル、ヒスイ)
3. ヘッジファンド(裁定取引型、ボラティリティ運用型)

今年は株やコモディティなど、サイクル性資産のウエイトを50%とし、昨年に対し10%上げました。内訳は株を30%から35%に上げ、コモディティも10%から15%に引き上げました。

先進国の株を20%で維持したのは、アメリカ株に少し過熱感が見られるからです。

これに対し新興国株のウエイトは昨年に比べ5%あげ、15%といたしました。今年の新興国経済に対する明るい見通しや、アメリカの利上げが緩やかなものにとどまるとの予想からです。

内訳は先進国株の筆頭が日本株です、昨年ずいぶん上昇しましたが、企業業績との見合いでまだ評価不足感が残っているとみています、ただし本稿前半でお話ししたように、年後半あたり日銀の政策変更の可能性があります、そのあたりをふまえ、年央あたりに一度レビューし、持ち高を機動的に見直すべきなのかもしれません。

日本株以外ではヨーロッパ株を次点に挙げさせていただきました。政治的な不安定さやテロのリスクもありますが、ECBの金融政策がうまく機能しているようで、経済自体は順調に回復中です、そのあたりへの期待からです。

新興国株では筆頭にASEAN株、次点がインド株です。アメリカの金融政策が予想の範囲に収まるなら、割安感が残るこの地域の株価は期待できるでしょう。

コモディティでは筆頭に非鉄金属を挙げさせていただきました、銅やアルミはすでに高値圏にありますが、アメリカの金融政策次第で、一時的にバブル状態になる可能性は十分あると思います。投資されるなら目標上限を決め、あまり欲をかかないようにお願いいたします。

貴金属もいいと思いますよ、世界経済が順調なら貴金属は売られることが多いですが、ペーパーマネーバブルが起きれば、話は変わってきます。保険として持ち高を増やしてみてはいかがでしょう。

非サイクル資産(現物系資産およびオルタナティブ)も昨年同様50%の配分です。なお金利上昇(債券安)を予想し、今年は債券への投資を見合わせます。

非サイクル資産の内訳は不動産が30%で、オルタナティブが20%です。これは昨年と変わりませんが、中身は少しいじりました。

アメリカ不動産にやや過熱感が出てきたことから今年は外し、次点にヨーロッパの不動産を挙げさせていただきました、イギリスは地域によってバブルが見えますが、適正相場を維持している地域や国もあります。少し面倒な部分もありますが、今年はギリシャやポルトガルの不動産など少し研究したいと思っています。

筆頭は昨年に続き国内の現物不動産です。バブルではないかとのご質問もよく受けますが、本当のバブルはこんなものじゃあありません、東京中心地のワンルーム物件ですら、収益率がネットで4%を上回る現況は、どう考えても適正相場といってよいでしょう。

最後はオルタナティブです、ヘッジファンドは昨年同様中期のトレンド・フォロー型ファンドから、裁定取引型やボラティリティから収益を挙げるタイプのファンドへ、徐々にスイッチを促してまいりたいと思います。

そのほか現物資産では、僕の好きなクラシック・コインジュエリーなど引き続き推奨いたします。

昨年「おあり系コイン商」のあおりで、ホンの一部のコイン、例えば現代エリザベス2世の5ポンド金貨や、同ジョージ5世、同ジョージ6世の5ポンド金貨、最近ではイギリスの試鋳クラウンなどが驚くほど値を上げました。が、早くもイギリスの5ポンドをはじめ急速に下げつつあります。化けの皮がはがれたといったところでしょう。

今年も昨年同様、このような「あおり系コイン商」の商材になる領域を避け、賢明な投資を皆さんに推奨したいと思います。例えば、ヨーロッパ近代の金貨・銀貨。ここのところより希少性が高く、状態の良いコインが値を上げつつありますが、今後もこの傾向は強まるでしょう。「今高い」ことは、価格上昇の必要条件ではありません。中国コインにも注目しています。そのこころは「中国人の好む資産を先回りして買え」です。ここでも希少性の高いコイン、状態の飛び切りよいコインはねらい目でしょう。

同様のことがジュエリー、特にカラーストーンにも当てはまります、ヒスイは現地ミャンマーでもめっきり見なくなりましたが、歴史的に中国人はヒスイを好んできました。あるいは彼らが好む「赤い色」をした石…非加熱かつミャンマー産が絶対条件ですが、ルビースピネルもいい投資になるでしょう。

例年、高い精度で予想できている

長い長い僕のお話しもこれでお終いです。もし最後までお読みいただいた方がいらっしゃったら、本当にありがとうございました。さぞお疲れになったのではないでしょうか。書いている僕もけっこう疲れました、でも書き上げたといいう達成感はあります!

例年、この年頭のメルマガは、自分で言うのもナンですが、高い精度で予想できていると思います。昨年は銀の予想を外してしまいましたが、株や為替、ヘッジファンド、コモディティなどほぼすべての予想を、その理由も含め言い当てられたと思います。もし本当にお暇な方がいて、昨年の本予想を見ていただけるなら、おわかりいただけると思います。

では、今回はこのへんで。今年も皆さんにとって素晴らしい1年になることをお祈りしております。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2018年1月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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