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ビットコインが周回遅れに。「金本位制」に基づく新・仮想通貨の可能性=高島康司

ゴールドとリンクした新しい仮想通貨のプロジェクトを紹介する。単なるデータに過ぎない仮想通貨に現物資産の後ろ盾を与える、投資対象としても有望なものばかりだ。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2018年6月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。6月19日配信された続編「ゴールドとリンクした仮想通貨のプロジェクトを一挙に紹介」もすぐ読めます。

ビットコイン価格を安定させるのは難しい…生まれた妙案とは?

単なるデータに過ぎない仮想通貨

今回は、金(ゴールド)などの現物資産とリンクした新しい仮想通貨のプロジェクトと、その可能性について解説したい。

かねてから、ビットコインのような仮想通貨には、企業の時価総額といったような株式の価値に相当する基準は存在せず、単に需要と供給で変動する根拠のないデジタルデータにしかすぎないといわれてきた。

それは、17世紀のオランダで大流行したチューリップバブルと同じようなものではないかという指摘だ。チューリップの球根は農産物でしかなく、その基準となる価値は球根の生産費である。この基準をはるかに越えて価格が極端に上昇したチューリップは、典型的なバブルであった。

それと同様に、ビットコインのような仮想通貨に価値の基準があるとすれば、それはマイニング(仮想通貨の生産費)にかかった電力費でしかない。いまの仮想通貨は、この基準をはるかに上回る価格で取引されている。したがってこれは、チューリップバブルと同様のものでしかないという見方だ。

いずれは生産費(マイニングの電気代)まで暴落する?

事実、そうした指摘の通り、ビットコインをはじめとした仮想通貨の価値は、他の投資物件では考えられないような乱高下を繰り返してきた。

数日中で値が3分の1にまで下落したかと思えば、その翌日からは3倍近く上昇したりした。ビットコインが最初に出た2009年には1BTCが0.1円だったのが、8年後の2017年12月には230万円まで高騰した。2,300万倍の高騰だ。

これでは、本当に17世紀のチューリップバブルと同じように、価値のベースとなる電力費のような生産費をはるかに上回っているので、いずれは生産費まで暴落すると見られても仕方がない。

このように、ビットコインのような仮想通貨の価値は、生産費に関係なく、需要と供給だけで変動する。生産費が相場変動の基準として機能していない。

そのため、ビットコインの価値はそれこそ数円から、数千万円を越えるような無限大まで上昇する。つまり、数千万円で投資をしたビットコインが、後には0.1円になることも理論的には可能なのだ。

これは企業が存続している限り、価格が企業の時価総額を下回ることはほとんどない株式との根本的な違いである。

仮想通貨の「金本位制」導入が研究されている

そうした状況で、価値を安定させる方法として、既存の仮想通貨の価値をゴールドにリンクさせる、いわば「金本位制」の導入が真剣に研究されている。

たしかに、もっとも信頼性の高いゴールドと、ビットコインのような仮想通貨の価値をリンクできるのであれば、相場は安定するに違いない。

しかし、これは容易ではないことが分かった。

Next: なぜビットコインの金本位制は難しい? 代わりに生まれた妙案とは



厳格な規制で成り立っていた「金本位制」

戦前まで導入されていた金本位制では、どの通貨も「通貨の流通量は、政府が保有しているゴールドの総量を越えてはならない」とする厳格な規制のもとで成り立っていた。

つまり、どの政府も、保有するゴールドの価値を越える額の通貨は発行できなかったのだ。

こうした規制があるため、ゴールドと通貨の価値はリンクされ、あまり変動することはなかった。極端なインフレもデフレもなかったのだ。

金本位制のこうした通貨発行の原則を、すでに流通している既存のビットコインのような仮想通貨に導入しようとするとき、やはり問題となるのが、どこの誰が保有するゴールドを基準にして、仮想通貨の発行高を調整するのかという点だ。

戦前の金本位制では、通貨を管理する主体は政府であった。したがって、政府が保有するゴールドの総量を基礎に、通貨発行量の調整を行っていた。

ビットコインでの「金本位制」導入は難しい

一方、ビットコインのような仮想通貨は分散型のシステムなので、中央集権的な管理の主体が存在しないことが特徴だ。仮想通貨の価値をゴールドにリンクさせ、それを越えて変動しないように管理する主体がもともと存在しないのだ。

そうした状況で、すでに流通している既存の仮想通貨の価値をゴールドにリンクさせることが本当に可能なのかどうか、疑問が残る。

既存の仮想通貨の価値を安定させるための「金本位制」の導入は、そう簡単ではないようだ。

ところで余談だが、前述の通り戦前の金本位制では厳格な規制があったため、通貨の価値は安定していたものの、政府は保有するゴールドの価値を越える量の通貨を発行できなかった。そのため政府は、財政出動による公共投資、年金、健康保険、失業保険、生活保護などのセイフティネットの導入をはじめとする、お金のかかる出費もできなかった。当時の社会は、戦後の資本主義よりもはるかに不安定であったのだ。

いずれにせよ、このような状況なので、仮想通貨の金本位制はまだ研究段階にあるようで、全面的な実施のメドはたっていない。

後付けが無理なら、新しく仮想通貨を作ればいい

前述の通りビットコインに金本位制を導入することは難しいが、はじめからゴールドの価値とリンクさせた新しい仮想通貨を発行することは可能だ。

それは、仮想通貨1単位の価値を、ゴールド数グラムの価値と固定してリンクする仕組みである。

すでに流通している既存の仮想通貨の価値を、事後的にゴールドと連動することは難しい。しかし、まったく新たな仮想通貨を作ってしまうのであれば問題なく可能だ。

そして、そのようなプロジェクトも数多く出現している。

Next: 実はたくさんある、仮想通貨の価値をゴールドで保全するという試み



仮想通貨でゴールドを買って保管するサービスも

またゴールド関連では、仮想通貨でゴールドをそのまま買い、それを安全に保管してくれるサービスも存在する。

通常、仮想通貨でゴールドを買う場合、いったん仮想通貨を現金化して、そのお金でゴールドを買うことになる。この場合、ゴールドの保管場所が問題になる。

しかし、現金化することなくいきなり仮想通貨とゴールドを交換し、さらにそれを安全に保管してくれるサービスが存在するなら、不安定な仮想通貨の一部をゴールドで保有することができる。

また、税制は国によって大きく異なるので一概には言えないが、仮想通貨を現金化しないでそのままゴールドに交換すると、税制上有利になる場合もあるのかも知れない。

仮想通貨で「金鉱山」を採掘する

さらにゴールド関連のプロジェクトでは、金鉱山を所有する企業が立ち上げたプロジェクトもある。

これは、ICOで集めた資金をもとに採掘を進め、そこから生産されたゴールドの価値を仮想通貨にリンクさせるというプロジェクトだ。

これもすでにいくつかの鉱山会社が実施している。

将来有望なゴールド関連のプロジェクト

いまゴールド関連では、前述のようなプロジェクトが多数出てきている。

今回は、すでに提供されているサービスで代表的なものをいくつか紹介しよう。

<ゴールドを直接売買できる:ヴォルトロ(Vaultoro)>

公式サイト:https://www.vaultoro.com/?a=108244
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=YJxSHKKGNgM

こうしたサービスでもっとも注目されているのが、ヴォルトロだ。使用できる仮想通貨はビットコインに限定されているものの、現金化のプロセスなしにビットコインとゴールドを直接売買できる。

売買はすべてヴォルトロにアカウントを持つユーザー間で行われるので、売買には第三者は実質的に介入しない。そのため、手数料は低く抑えることが可能になる。また一般の市場には依存しないユーザー間の取引なので、24時間、365日、取引が可能になる。

ヴォルトロの保有するゴールドは、スイスにあるドイツ語圏では最大の貴金属保管庫、プロ・アウルム(Pro Aurum)に安全に保管されている。また、各ユーザーが保有するゴールドは、ヴォルトロの保有するゴールドとは切り離して管理されているので、万が一ヴォルトロのゴールドが盗難にあっても、ユーザー保有のゴールドは安全だ。

また、ヴォルトロの大きな特徴のひとつは、購入できるゴールドの最小単位が非常に小さいことである。0.001グラムから購入できる。これは非常に低い金額なので、購入できる人々のハードルはずっと低くなるはずだ。

そして、いつでもヴォルトロは現物のゴールドの引き渡しに応じる。もちろん、送料などがかかってしまうので推奨はしていないが、リクエストがあればいつでも引き渡しは可能である。

ヴォルトロでゴールドの取引を行うためには、ヴォルトロのユーザー専用のウォレットを使用する。このアドレスにビットコインを送金すると、いつでもゴールドを買うことができる。もちろん、自分が保有するビットコインとゴールドは、ヴォルトロのユーザー用管理画面でいつでも確認することができる。

Next: 投資対象としても優秀! ゴールド関連の有望なプロジェクトは?



ゴールドの価値とリンク:カラットバンク(KaratBank)

公式サイト:https://karatbank.io/
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=evZe3WWmWEU
KBCの相場:https://coinlib.io/coin/KBC/KaratBank+Coin

既存の仮想通貨でゴールドを取引するのではなく、ゴールドの価値とリンクした新しい仮想通貨を作るというプロジェクトもある。それがカラットバンクだ。

カラットバンクは、イーサリアムのスマートコントラクトのブロックチェーンに基づいたカラットバーコイン(KBC)を発行する。KBCの特徴は、コインの1単位がゴールドの重量とリンクされていることである。こうすることで、KBCはビットコインのような極端な相場の変動を回避できるので、価値は安定する。そのため、あらゆる方面で使えるデジタルの流通手段になることは間違いない。

カラットバンクは、2020年に仮想通貨の流通で2%のシェアの獲得を目標にしている。ICOは最近終了したばかりで、KBCはいくつかの市場に上場している。

金鉱山の掘削資金を集める:●●●●

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ゴールドのほか主要国の通貨とも交換可能:●●●●

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送金に使うトークンとゴールドをリンク:●●●●

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金鉱山とのリンクで、いつでもゴールドと交換可能:●●●●

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ゴールドマ(Goldma)

公式サイト:https://goldma.io/
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=6w_sW5nrjyc
ICOの期間:2018年6月7日から7月9日まで

ジンバブエにある金鉱山の採掘を目的に発行される仮想通貨のプロジェクト。これは、ゴールドにリンクされたこれまでの仮想通貨とは異なり、鉱山会社の株式のように機能する仮想通貨だ。

ジンバブエにある金鉱山は62億ドルの価値があると見られ、採掘の利益率は20%である。ゴールドマが発行する仮想通貨、ゴールド・マイニング・アセット(GME)には、この金鉱山の採掘から得られる利益の5%が配当として支払われる仕組みだ。したがって、もし鉱山の利益が増大すればそれだけ配当額は大きくなる。この配当がGMEの価値の基礎になるので、安定した相場が期待できる。

いまゴールドマはICOを行っている。これで得られた資金は鉱山の採掘に使われる。評価も4.4ポイントとかなり高い。

このように、現物資産であるゴールドを基礎にして、仮想通貨を発行するプロジェクトが進行中だ。次回はこの分野で注目されているICOを一挙に紹介する。

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※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2018年6月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。6月19日配信された続編「ゴールドとリンクした仮想通貨のプロジェクトを一挙に紹介」もすぐ読めます。

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ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』(2018年6月12日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

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昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。

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