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日米株価のピークは過ぎた? 米長期金利の上昇、米中覇権争いの激化が招く大調整=藤井まり子

投資家の皆さんはしばらく様子見が吉かもしれません。今回の「押し目」はそこそこ深く、もしかしたら「そこそこ大きな調整局面入り」の可能性があります。(『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』2018年10月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

年内のピークは10月第1週だった?聡明な投資家は「様子見」が吉

好調すぎる雇用統計

10月5日に発表されたアメリカ雇用統計では、失業率が3.7%と、1969年12月以来の驚異的な低い数字となりました。なんとなんと49年ぶりの低さです、市場予想を「良い意味」で裏切りました。

平均の賃金上昇率のほうは、市場予測通りに2.8%増しと安定。平均の賃金上昇率は鈍化はしませんでした。

この日の雇用統計は、かねてからパウエルFRB議長が指摘するように「アメリカ経済は、低インフレと低失業率が共存する、類いまれな景気拡大期にある、この景気拡大期は長く継続するだろう」ことを、しっかりと裏付ける形になりました。

利上げ路線は継続か

この日の市場関係者は、「今後kのFRBの利上げ路線(今年残り1回、来年3回から4回)は、FRBの見通しどおりになるだろう」と、予測を改めるようになりました。

大方の市場関係者や当メルマガの予測は、一部修正を迫られる結果となりました。マーケットは「パウエルFRBの見通し」のほうを信頼し始めたわけです。

その結果、アメリカの長期金利は「上昇」しました。

長期金利上昇が株価を下げる

アメリカ経済は「低インフレ・低失業のたぐいまれな景気拡張」を続けるでしょう。ところが、長期金利の上昇は株価にはマイナスです。

長期金利の上昇は企業業績を食います。具体的には、住宅ローンの金利の上昇や自動車ローンの金利の上昇、社債の金利の上昇を伴って、企業業績を圧迫します。

この日のアメリカ株式市場は、FAANGなどのモメンタム株を中心に、「下落」で反応しました。

Next: 米国株の今年のピークは10月第1週? 中国「ハードウェア攻撃」の真相は…



米国株「今年のピーク」は10月第1週か

アメリカ株式市場は今年に限ってみれば、10月第1週あたりが「頂点」だったかもしれません。

ただし、アメリカの株式ブームがこれで去るというわけではなく、当面、アメリカ株式市場は行ったり来たりの横ばいになる可能性があります。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

ここまでは、「アメリカの景気が良いので長期金利が上昇する。けれども、長期金利の上昇は株価にはマイナス」というお話でした。

ここから、もっと深刻な話をお伝えします。

中国がApple・Amazonに「ハードウェア攻撃」の真相は…

10月4日の夕刻、ブルームバーグは「中国がAppleやAmazonなど30社以上の米企業のサーバーにアクセスできるチップを取り付け、機密情報を取得している」という、とてもショッキングなニュースを大きく報道しました(編注:米国国土安全保障省、被害者とされるApple・Amazonおよびチップを埋め込んだとされる中国企業のSupermicroはこの報道を否定しています)。これはかなりショッキングなニュースです。
※参考:中国、マイクロチップ使ってアマゾンやアップルにハッキング-関係者 – Bloomberg(2018年10月4日配信)
※参考:米政府、AppleとAmazonに同調、Bloombergの「スパイチップ」報道を事実上否定 – TechCrunch Japan(2018年10月8日配信)

米中の「経済覇権をめぐる戦い」は、今後さらに本格化・長期化するかもしれません。

アメリカは、中国製のパソコンや半導体などの部品に25%の関税をかけるどころか、「輸入しない」方向へ向かうかもしれません。

各国経済に広がる波紋

週明け、上海株式市場は大幅下落で始まることでしょう(編注:原稿執筆時点2018年10月7日)。

上海総合指数 日足(SBI証券提供)

今後の中国の出方がとても気になるところです。新興国株式市場もまだまだ下落を続けるかもしれません。

Next: 日本株のピークも同時に終わったか。今後の見通しは…



日本株は当面「横ばい」か

今後の日本株式市場は、アメリカ株式市場と上海株式市場の中間的な動きをする可能性があります。

アメリカの長期金利の上昇による「ドル高・円安」が日本株を下支えするかもしれませんが、日本株式市場も今にして思えば、10月第1週が「頂点」だった可能性も否定できません。

と言っても、これで「アベノミクス」が終わったわけではありません。黒田日銀の金融緩和は継続されています。また10月24日に召集される予定の臨時国会での「補正予算」も期待されています。

今後は日本株式市場も当面は行ったり来たりの横ばいかもしれません。

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資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』(2018年10月8日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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