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PayPayもLINE Payも負け組に? 消費増税後はクレジットカード陣営が覇権を握る=岩田昭男

7payの不正利用問題は、コード決済ブームに冷や水を浴びせました。逆に注目を集めだしたのが、10月からの還元策でも優位性のある「クレジットカード」です。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

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プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。

コード決済は下火に?クレカ1枚ごとに上限1万5,000円まで還元へ

QRコード決済のセキュリティの脆弱さが問われる

7payの不正利用は、コード決済を中心に行われてきたキャッシュレス促進のブームに冷水を浴びせました。この事件で合計800名が被害にあい、総額3,800万円の損害があったといわれています。改めてQRコード決済のセキュリティの脆弱さが問われることになりました。

その影響で、キャッシュレス業界には地殻変動が起こっています。

これまでキャッシュレスと言えば「QRコード決済」だったのですが、セキュリティに甘さがあると思われてから、人々の関心が他に移っていきました。

これまでほとんど顧みられなかったクレジットカード電子マネーが、そのセキュリティの確かさから脚光を浴びているのです。

クレジットカードと電子マネーに関心が集まる

例えば、不正利用にあったとしても、クレジットカードなら60日間は補償してくれます。

しかし、QRコードにはそうした特典がほとんど付いていません。

同じキャッシュレス決済を使うなら、一時の「お得」よりも「セキュリティ性」の方が大切であり、より堅牢な方が良いとの意識が高まっています。

そして、クレジットカードへの見直しが急ピッチで進んでいるのです。

「キャッシュレス決済のポイント還元制度」でも優勢か

さらに10月1日からは消費増税に合わせて、「キャッシュレス決済のポイント還元制度」が始まります。

9か月間にわたり、全国の中小店でキャッシュレス(クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード)で買い物をすると、最大5%のポイント還元が受けられるというものです。

これまでサービスの内容がはっきりしなかったのですが、8月1日にかなりの部分が明らかになりました。クレジットカードデビットカードはともに、ポイント還元の上限を1万5,000円とすることが決まりました。

つまり、月30万円使えば上限1万5,000円が戻ってくる計算です。

9か月間毎月積極的に利用すれば、10万円を超える大きなキャッシュバックを得ることができるのです。

Next: コード決済は下火になる? よく考えられた1万5.000円という還元策



よく考えられた1万5.000円という還元策

不正利用排除のために上限を設けてはいますが、最近の「PayPay」や「メルペイ」などコード決済のキャンペーンでバックの上限1,000円程度が当たり前なのに比べると、上限1万5,000円は大盤振る舞いです。

さらに、1万5,000円では転売するには中途半端な額ですから、不正に儲けようとする悪質事業者は最大限排除できるでしょう。

コード決済よりも有利なクレジットカードと電子マネー

一方で電子マネーも、1日のチャージ金額上限に合わせてその5%を還元できるようにしています。

例えば「Suica」なら、2万円チャージすると1,000円バックされます。

もうひとつのプレイヤーであるコード決済の方は、これまで通りに事業者が個別に決めて対応するという方法で行くようです。

つまり、現時点での情報だと、クレジットカードや電子マネーの方がコード決済よりも還元率が高くなるというわけです。

さらに電子マネーとクレジットカードを比較すれば、より利用できる店舗が多いクレジットカードに軍配が上がるでしょう。

お目当ての個人経営の店を発掘する時が来た

さて、このように、私たちにとっ ては、消費税の税率アップ分、ないしそれ以上のポイント還元が受けられるだけに、キャッシュレス決済を利用しない手はありません

特にこの制度が浸透すれば、チェーン店以外にも個人経営のお店など、キャッシュレス決済が利用できる店舗が増えるでしょうから、この機会に「地元のお気に入りの店」を新規開拓することもできます。

ポイントをたくさん貯められるだけでなく、なじみの店を増やせるのです。

Next: 還元額の上限はカード1枚ごと。複数持っていればもっと恩恵がある



カード1枚ごとに設定される上限額

また、還元金額の上限ですが、カード1枚ごとに設定すると決まりました。

カード会社ごとにカウントするという噂もありましたが、結局は手持ちのカード1枚ごとに上限を設定となりましたから、わかりやすく、使いやすく、お得になったといえます。

例えば、クレディセゾン発行のクレジットカードを提携カードを含めて3枚持っていた人の場合は、カード会社ごとに上限が設定されたとすると、月に30万円ずつフルに使ったとしても上限は1万5,000円にしかなりません。それがカードごとに設定となると、4万5,000円に増えます。これは大きな違いと言えるでしょう。

なかなか増えない5%還元の店

しかし、課題もあります。対象となる中小店は独自のマークが貼られるようですが、その店舗数が少なすぎることです。

経済産業省が対象とする中小店は200万店ほどですが、その中でこのキャンペーンに手を挙げているのが、7月末でわずか24万店と1割強しかないのです。

しかも、事務手続きの遅れで正式に登録されたものが4,700店ほど。残りの23万5,000店はまだ処理が間に合わないため登録ができない状態なのです。

経済産業省としては、不正利用や反社的な業者が紛れ込まないように厳しくチェックしているといいますが、 10月までは残り1か月程度しかなく、あまりに締め付けていると、キャンペーン自体が遅れてしまいます。

ここは早急な対応を求めたいところ。経済産業省の10月までの動きは、こまめに確認しましょう。

Next: 10月のポイント還元に備えて勉強しよう



10月のポイント還元に備えて勉強しよう

そんなわけで、今回は1カ月後に迫ったキャッシュレス決済のポイント還元制度に焦点を合わせて、クレジットカードを中心に考えてみました。

知っているようで知らなかったクレジットカードの長所を改めて学んで、10月からのポイント還元に備えてください。

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  • 「5%ポイント還元策」でクレジットカード陣営の反撃か?/キャッシュレス決済の先にあるもの(8/15)
  • 5%還元を邪魔するお役所仕事(8/1)
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    達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』(2019年8月15日号)より抜粋
    ※太字はMONEY VOICE編集部による

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    世の中すっかりカード社会になりましたが、知っているようで知らないのがクレジットカードの世界。とくにゴールドカードやプラチナカードなどの情報はベールに包まれたままですから、なかなかリーチできません。また、最近は電子マネーや共通ポイントも勢いがあり、それらが複雑に絡み合いますから、こちらの知識も必要になってきました。私は30年にわたってクレジットカードの動向をウォッチしてきました。その体験と知識を総動員して、このメルマガで読者の疑問、質問に答えていこうと思います。ポイントの三重取り、プラチナカード入会の近道、いま一番旬のカードを教えて、などカードに関する疑問にできるだけお答えします。

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