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「欧米経済はコロナで沈む」天才投資家ジム・ロジャーズが見据える次の覇権国とは=花輪陽子

世界三大投資家のひとりのジム・ロジャーズ氏にインタビューを行い、『ジム・ロジャーズ 大予測:激変する世界の見方』(著:ジム・ロジャーズ/翻訳:花輪陽子, アレックス・南レッドヘッド/刊:東洋経済新報社)を出版しました。コロナ危機により変わり果てた世界経済を天才投資家はどのように見ているのか。ロジャーズ氏は「コロナ危機で欧米経済の凋落が決定的になる」と言います。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)

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プロフィール:花輪陽子(はなわ ようこ)
外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。

国を閉じて繁栄した例はない

天才投資家ジム・ロジャーズ氏は、新型コロナ感染拡大後の世界経済について、こう発言しています。

「数十年後に現在を振り返ったときに、多くの出来事が今回の危機が分岐点だったと記録されているだろう。長期的な視点に立てば、世界経済の成長が大きく減速し、アメリカや欧州の凋落が決定的になる」。

ロジャーズ氏は、その理由は歴史にあると言います。

「人々が豊かになるのは国を開いて、人々の往来や交易がさかんになるときだ」。

例えば、大航海時代や19世紀の「第1次グローバル化」と言われる時代、コロナ前のグローバル社会における経済成長が、それを証明しているということです。

「しかし、第一次世界大戦を受けて、あらゆる国が国境を閉じ始めると、すべてが逆回転するようになった。その結果、第二次世界大戦という惨禍を引き起こしたのだ。その反省として、1945年に各国が二度と国境を閉じるような過ちをしないようにと、国連やGATTが設立された。しかし現在、1920〜30年の教訓を覚えている人の大半は亡くなってしまっている」。

image by:原隆夫

現在、感染が収束している中国やニュージーランドなどでも、国境をすぐに開けることは難しい状況です。一部の国では重要なビジネスミーティングを中心に人的交流を再開しようとしているものの、監視システムをどうするかという問題もあります。

「近年、国際社会に過去の教訓を無視するような問題が生じている。アメリカには貿易戦争で勝利できると考える大統領が誕生した。歴史を見れば、貿易戦争に勝者など存在しないことは明らかだ。国を閉じて繁栄した例はない。しかし、アメリカの大統領は、歴史より自分自身のほうが賢いと思っているようだ。とても愚かな考えだ。そこへ今回のコロナ危機が追い打ちをかけた。アメリカはますます自分本位になり、国境に壁をつくるようになるだろう」。

コロナ危機で欧米経済の凋落が決定的になる

米政府は新たな対中関税措置を検討すると同時に、世界の産業供給網から中国を排除する取り組みを加速させているようです。

しかし、2018年から始まった米中関税戦争ですが、当時はアメリカへの輸出が減ってもEUやASEANへの輸出が増えており、中国の全世界への輸出は減っていませんでした。今回も同じことが起きるだけかもしれません。

ロジャーズ氏は英国を始めとした欧州経済の見方もネガティブです。

「経済的に疲弊した国民もまた自己中心的になる。イギリスでは国民の半数以上がEUからの離脱を望んだ。排外主義やポピュリズムの蔓延が起こったのは1930年代で、歴史は繰り返されるわけではないが、歴史は韻を踏む。これはアメリカの文豪マーク・トウェインの言葉だが、世界の出来事のほとんどは、まったく同じではなく、少しだけかたちを変えてくり返される、という本質を突いた言葉だと思う」。

Next: 「今回の危機が起こる前は、どちらかに賭けろと言われたらトランプ再選に――



コロナショックがトランプの再選を脅かす

「今回の危機が起こる前は、もし、どちらかに賭けろと言われたらトランプ再選に賭けていただろう。なぜなら、90年代以降、現職の大統領が再選されているケースが多いからだ。現職の大統領はホワイトハウスから、自身が再選するためにいろいろな手段を行使できる。地方の公共事業を許可し、株価を上げることで、再選に近づくことができるのだ」。

しかし、コロナショックによって株式市場が崩落し、株価や経済の落ち込みを食い止めるのは並大抵の努力ではできないと言います。

「アメリカはこの10年間、経済は好調で、株価もほぼ右肩上がりに上昇し続けてきた。アメリカ経済の好調を支えてきたのは、新興国など海外経済にお金を投資したリターンによるものだ。金融立国と言えば聞こえはよいが、投資の上がりで食べていく国に成り下がってしまったのだ。

また、もう1つの要因は、シェールガスやシェールオイルなどエネルギー産業が、バブルと言ってよいほどの好景気にあったことによる。しかし、ここへ来ての原油価格の急落で、その好景気も終焉を迎えてしまった」。

コロナ前は再選に絶好な環境が整っていたにも関わらず、危機によって窮地に立たされてしまったと言うのです。

「トランプ大統領誕生の立役者と言われる中西部の白人たちの多くは、老後の年金資産を株で運用している。そのため、株価の下落は再選を目指すトランプにとって大きなダメージとなる」。

最大級の危機が中国覇権を後押しする

ロジャーズ氏は危機からいち早く立ち直るのは中国だと主張します。シャドーバンキングなど負の面も抱えるものの、長期的に考えると中国は覇権に向けて前進していくと考えています。

「中国は何年もの間、7%~10%を超える高度成長を続けてきた。そのような高度成長が何年も続いた社会においては、人材はものすごく強くなる。私が初めて中国を訪れた頃に比べて、明らかに人材のレベルは上がっている。豊かになって子どもの教育にも投資するし、企業も研究や開発に多額のお金を投じている。いま世界でもっとも研究者・技術者を輩出している国は中国だ。アメリカではない。この事実が重要だ。中国はますます豊かになる。多くの企業もまだまだ拡大する。国の体制、政治制度は関係ない」。

「テマセク・ホールディングス」というシンガポール政府が所有する投資会社のポートフォリオの内訳で投資地域をみると、中国が26%と自国と同じ割合が組み込まれており、北米とヨーロッパを合わせた割合よりも高くなっています。
参考:https://www.temasek.com.sg/en/what-we-do/our-portfolio

テマセクは1974年に設立されてからの平均年率リターンが15%、20年平均7%という実績を出しています。

「現在、中国経済を牽引しているのは、ファーウェイやテンセントといったニューエコノミーのビジネスで、ITや通信分野で優れた技術をもつ企業だ。日本はもちろんアメリカよりも優位にあることを認識すべきだ」。

投資で利益を出すためには、投資対象の好き嫌いよりも、成長性や割安かなどを見極める必要がありそうです。新型コロナが後押しをし、デジタル人民元の導入が大詰めとなっていますが、中国経済からますます目が離せなくなりそうです。

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ジム・ロジャーズ 大予測:激変する世界の見方
著:ジム・ロジャーズ/翻訳:花輪陽子, アレックス・南レッドヘッド/刊:東洋経済新報社

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image by:原隆夫, マネーボイス編集部

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年6月8日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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