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自称元Google竹花貴騎氏の経歴詐称は「やったもんがち日本」の縮図だ=栗原将

経歴詐称疑惑で炎上中のビジネス系YouTuber・竹花貴騎氏の例を見ると、バレても訂正すればいいという「やったもん勝ち」の危険な社会に突入していることがわかる。(『海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』)

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竹花貴騎さん、経歴詐称疑惑で炎上

ビジネスインフルエンサーとして、自称27歳で「資産100億円超え」と華々しくアピールして
いた竹花貴騎さんが、実情をネット民により暴露され、さらにインフルエンサーのイケハヤさんや田端信太郎さんなどからも批判投稿があったことにより、大炎上となりました。

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この件自体は、僕にとってどうでも良いことなのですが、色々と考えさせられたことがありますので、記事にさせていただきました。

何もかも嘘をついても、引退しないで済ませられる時代になった

ネット民の調べによりますと、Google出身と自称し、六本木ヒルズの本社で面接を受けたと言っていたのが、ほかでもないGoogle社から竹花さんが社員であった事実はないとの書面が送られたとのこと。

さらに最近、SNS上での指摘を受けて、竹花さんは「社員でなく、業務委託でした」と訂正、騙す意図はなかったように強調しています。現在でも大炎上していますが、竹花さんは活動継続するようですね(※編注:原稿執筆時点2020年11月1日)。

竹花さんに関わる事実関係には僕は言及はしませんが、他の人でも、ツイッターなどで明らかに「嘘だろう」と感じるプロフィールを多々見かけます。

今後、嘘がバレても「間違いは訂正」で終了させ、活動継続する人が増えると予想しています。

「やったもん勝ち」という風潮がますます広がる社会になってくるという予想です。

表舞台から消えた「ショーンKさん」との違いは大きく2つ

一方、数年前、ハーバード大卒業などの華々しい経歴が詐称だとバレたショーンKさんは、ニュース番組はじめ、すべての番組を降板。表舞台から消えていきました。

なぜ、ここまで違いがあるのか?

理由は2つあります。

1つ目は、テレビ番組にはスポンサーが付いており、経歴詐称出演者がいると「スポンサーのイメージが下がる」ので、テレビ局が使わなくなるのです。

CMキャラクターの高額なギャラが話題になることがありますが、ギャラが高いことの理由のひとつには、スポンサー側からの様々な要求に応じなければいけないからでしょう。単にCM撮影に拘束されるだけではなく、例えば、あるビール会社のCM契約が続いている間は、競合他社がスポンサーの番組には出づらくなったり(ビール飲むシーンがある番組は完全にNGです)、極端な話をすれば、プライベートタイムにレストランで他社のビールを飲むのも控えなければいけない(万が一にも一般人に写真でも撮られたらマズいです)など、制約が非常に大きくなります。その対価として、高額なギャラが発生しているのです。

2つ目は、既存のテレビや新聞は、いろいとと言われてはいるものの「信頼性をウリにしているから」です。うちの媒体は信頼性がありますよと訴えることで、高額な広告料を請求できるわけです。

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バレたら訂正すればいい?「やったもん勝ち」が横行する社会

一方、竹花さんの場合、ツイッターなどのSNSは変わらず投稿しているようですし、YouTubeについても、迷惑系動画の投稿が今でも認められていることから判断すると、まだまだ動画は残りそうです(将来的には、YouTubeの信頼性が激落ちして、広告出稿を控える広告主が多発、みたいになる可能性はありますね)。

さらに、自身のオンラインサロンに至っては、完全な自社メディアですから、外部圧力はなく、
本人さえ平気なら余裕で継続できます。むしろ、最近のネット界隈では、いわゆる「炎上マーケティング」を仕掛ける人が増えていますので、下手をすると「わざと経歴詐称する」みたいな人が出てくる可能性だって考えられます。

若手インフルエンサーの中には、実質、竹花擁護派も存在いるようです(やったもん勝ちの模倣者が大量生産されてくる)。

イケハヤさんや田端信太郎さんは問題提起しましたが、他方、他の若手インフルエンサーの中には、「間違いは正せば問題ないです」というコメントを出している人もいます。

これに影響を受けたフォロワー達の中には、「経歴詐称でも年商詐称でも、やったもん勝ち。バレたら間違いでした、で済ませればいいじゃん」、こう考えて行動する人が多数出てくると予想しています。

すでにツイッター界隈では、本当に実在する人間なのかわからないアカウントが大量にありますこれらが今後、さらに増えてくるでしょう。

経歴詐称でも、年商詐称でも、目立てば勝ち。もしバレても、洗脳済みのフォロワーがたくさんいるから、大した問題ではない。こう考えるインフルエンサー予備軍が大量に出てくるでしょうね。嘘をつくのに罪悪感も反省もないサイコパスとの向き合い方に注意しましょう。

長く活動するには、やはり信用第一

ここまで、今後は経歴詐称などがどんどん出てくるという予想をさせていただきました。とはいえ、そのような輩がビジネス界を支配するとは思っていません。

大体、このような輩は、ほんの2~3年くらいで表舞台から消えていくものです。

ですから、結局は、正直にビジネスを続けていき、5年・10年と活動実績を積み上げていく方が、
長期的には間違いなく、多くの支持を集められますし、幸せな毎日になるのは間違いない。

この原則が変わることはないでしょうし、決して変わらないで欲しいものですね。

「オンラインサロン」がカルトのようになる可能性

そして、今回の件に関連して、もうひとつ懸念される問題があります。一部のオンラインサロンは、将来不安からのストレスで苦しんでいる人たちの新興宗教、さらに言えば「カルト」のようになっているのではないか?ということです。

今回、外野から平和に眺めていて感じたことのひとつに、竹花貴騎さんのツイートに対して、アンチよりも、圧倒的にポジティブなコメントが多いな、ということです。

ここで誤解して欲しくないのは、竹花貴騎さんのスクールがカルトだと僕が言いたいわけでは
ありません。

ただし、たくさんあるオンラインサロンの中で、少数派とは思いますが、カルト性というか、違和感を感じてきたことは間違いありません。

Next: 意識の高い学生が餌食に?オンラインサロンの「カルト化」



オンラインサロンの「カルト化」

特に卒業を控えた大学生さんには極めて厳しい時代ですので、共感します。

僕自身、大学4年生の時、就活はかなり舐めた姿勢で取り組んでいたのですが、気づいたら第一志望だった総合商社にすべて落ち、他に受けていたところも落ち、一瞬、行ける会社がなくなった時の気持ちを、今でも忘れられません。どこも就職できなかったら、オレ、一体どうなるんだろう?3日くらい、食事が喉を通りませんでした。いずれ就活を控えている学生さんは、コロナということもあり、強い不安感との闘いになっているかと思います。

加えて、就職したけれども、雇い止めになってしまった、失職した、という方も多いでしょう。内定取り消しもありました。

先が見えなくてどうにも解決できない状態の中、スパッと、明るい未来を示してくれる存在の
インフルエンサーを崇拝し、教祖様と崇めることにより、今の苦しみを忘れられるかもしれません。

しかし、正直なところ、そのような場に参加して良い方向に行った人はほとんどいません。よくて、傷の舐め合いです。

これで気晴らしになるなら、多少の課金は気分転換コストとして良いとは思うのですが、笑え
ないのが、高額のコンサル(1時間数百万円)とか、高額商材を「リボ払い」や「消費者金融から借金」してまで購入してしまうこと。

さらには、悪質なオンラインサロン運営者の場合、トレーニングと称して自社の商材を知人に売れと命令するケースもあります。以下のような仕組みです。

・100万円の情報商材を友達に売って、3万円のアフィリエイト報酬がサロンから支払われる
・その実績を“アフィリ初月で3万円の報酬達成”とツイッターで宣伝させ、さらに客を集めて来るよう命令される

こんな所が実際にあります。ここまで行ってしまった人は、すでに洗脳されていますね。いずれは借金だけではなく、友達関係も破壊してしまうわけです。マルチ商法とまったく同じ展開ですね。

そのオンラインサロンに価値はあるか?

東大は、入りづらいから価値があります。では、誰でも入れるサロン、スクールの価値は?

オンラインサロンにもいろいろありますが、交流目的なところであれば、会員数が多いことに一定のメリットがあるとは思います。しかし、真面目に学習する目的であれば、まったく違うと考えています。

東大が価値あるのは、入試が難しくて、簡単に入れないからですよね。誰でも入れる大学で、いくら学生数が多くても、評価にはつながりません。

それなのに、なぜ、参加者数が多いオンラインスクールに価値を感じるのかは不思議なのですが、多くの人がひきつけられているようです。

Next: 虚構の成功者を作りあげたのは日本社会。ニセ教祖は次々と生まれる



ニセ教祖は次々と生まれてくる

無宗派が多い日本で、根強い、ある種の宗教とは何でしょうか? ずばり、「会社教」です。

一部、平成まで残っていた部分もありますが、多少、嫌な事があっても、一所懸命働けば、定年までの仕事は保証されていたので、多くの人が会社にすがりました。

ところが、もはや会社が自分の一生まで面倒みてくれることはムリなのが、明確になってきました。

もう会社にはすがれないとなると、他に何があるでしょうか。

日本人は無宗派が多く、週末に教会に行ってお祈りをするような習慣は無い人が多いです。将来への不安とか悩みがアタマの中を占めてくる中で、スパッと、明るい将来を描いてくれる教祖様、インフルエンサーが登場したら、あたかも救世主のように思ってしまう。

自分は正直、中学・高校時代にほとんど勉強せず、Fラン大学で、先輩たちを見ても、とても明るい将来は期待できない。でも、教祖様いわく、「学歴など関係ない。オレのノウハウとマインドを学べば、成功者の仲間入りできる!」と断言されると、そこにのめりこんでいく。

他に救いが見当たらない以上、この流れはまだまだ続いていくと予想しています。

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image by:Elnur / Shutterstock.com

海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』(2020年11月1日・3日号)より
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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9年間のタイ、フィリピンでの海外移住生活から帰国し、北海道暮らしをはじめた50歳男子が、久々の日本生活から感じることや、海外生活のメリット・デメリット、そして、地方暮らしの実際について独自目線で語っていきます。

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