脱・日本は正しいのか? 日本企業が直面するアジア進出の落とし穴

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メリットばかりがフォーカスされる中小企業のアジア進出。その実態はどうなのでしょうか。元参院議員で国立シンガポール大学リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授の田村耕太郎さんは「世界にパラダイスはない」と警鐘を鳴らします。

アジア進出はバラ色ではない。アジアはパラダイスではない

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」』 Vol.154より一部抜粋

アジアほど多様で様々な課題を抱えた地域はない。同時に、アジアほどチャンスにあふれる場所もない。当校のスタンスも私の考えも、「アジアに進出しようがしまいが、これからの時代、アジアをできるだけ多角的に動態的に冷静に知る必要がある」というもの。なんでもかんでもアジアに出ろというポジショントークのコンサルタントではない。だからアジアの機会を売り込む講師もいれば、アジアの課題を上げながらアジアについて過剰な期待を覚ます講師もいて非常にバランスがとれていた。

致命的な課題を抱えている場所もある。それを冷静に学ぶことになく、イケイケで出て行ってしまっている経営者たちがいる。まあ期間限定でミクロでみたらマクロ情勢と違う場合もあることもある。今までそういうことを学ぶ機会がなく、最新のアジア情勢について日本語で書かれた本もなく、なんとなくそこを訪れ事業を始めてしまうのも仕方ない。

もちろん、背景には日本の課題がありそれに押し出されるようにアジアに出ていくのもわかる。人口が減少し、高齢化し、負担が増え、これらの傾向は加速するばかり。この逆の傾向にあるアジアはパラダイスに見える。

しかし、問題の裏返しが答えではない。世界にパラダイスはない。「たかがアジア、されどアジア」「たかが日本、されど日本」という感じかな。だからアジアを知り、自分の強みを知り、今後の傾向を読み、そこで日本とアジアをどう考えるか?しっかり考えてほしい。

もちろん何事も「先手必勝」なので考えてばかりでもいけない。まずアジアの情勢を正確に知ってほしい。その上でそれをチャンスとみるかどうか。時間とお金とエネルギーが限界まで必要なアジア事業展開を学ばずに決めないでほしい。

 

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」』 Vol.154より一部抜粋

【Vol.154の目次】
1.国立シンガポール大学リークワンユースクールという最強のインフラ
2.燃え尽きました。感謝!
3.アジア進出はバラ色ではない。アジアはパラダイスではない
4.最高に贅沢な教育
5.シンガポールを代表する政府系ファンドのCIOと会食
6.外国人秘書
7.2100兆円が集まる会議の準備
8.目下の深刻な悩み
9.愛国者になるインター生
10.日本を売り込む準備
11.アフリカから農業起業家を生み出せ!
12人間の脳
13.日本人から見た凄い人とアメリカンエリートが見た凄い人の違い
14.素晴らしいアポイントを終えて
15.好きなことを仕事にすることについて
16.アジア各国の学生を日本留学へ
17.Q&A

著者/田村耕太郎(前参議院議員)

早稲田大学、慶応大学大学院、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。シンガポールを拠点に、歯に衣着せぬ鋭い論調で「日本の良い箇所・悪い箇所」を指摘するメルマガは、世界で勝負したいという人必読。
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