右翼よりも重症…日本人ジャーナリストたちの「米国への属国根性」

 

もう1つ、元現場型ジャーナリストの米軍空爆主張に対して残念に思えてしまうのは「なぜ、日本人のお前が米国人を戦争に行かせる主張など言うのか」である。自分の国の軍隊に「行くべき」というならまだしも、他国の兵隊に行かせようとするその根性。これは、カトケンが戦争大好き戦場野郎であるがゆえに嫌いな根性というか、自分の元戦場仲間がそんなこと言うとは、なさけない。

この「米軍に行かせる」に対して、官僚さんの友人は「本人たちが気づいてないうちに、日本人の多くが、米国の属国根性になってるんですね。どちらかというと反米思想である彼らが、そこまで米国の属国民になってしまっているのは、ある意味、保守や右翼が米国属国論的な意見を唱えていることよりも、今の日本人の方向性を表してるかも。無意識に刷り込まれているところが、わかっててやってる右翼より重症ですね」と。

もともと、ジャーナリストというのは、情報を取ってくる人だったはずだが、現実には、自論を主張する評論家のようになり、戦争当事者に善悪の判定をし、一方を支援して一方を叩く審判者になりつつある。ジャーナリスト、評論家、活動家の線引きはかなり曖昧になってきているようだ。

今回、シリア行きによって、行方不明になっている安田純平氏も実は、NGO活動家ジャーナリストかを曖昧にして現地入りを狙ったことによって、今のような結果になり、解放交渉も難しくなっているともいわれている。この事件に関しては、把握できてる情報をどこまで出すかは判断しかねているところだが、長い目で見て最終的には、当事者関係者たち嫌がる事実も含めて公開していったほうがいいのかもしれない。今後の戦場突入志願者が同じ失敗をしないために。

思えば、戦場取材の内容が急激に劣化したのは、2003年イラク戦争が発端だった。戦争のことやイラクのことを取材せず、人間の盾の日本人のこと、人質になった日本人のこと、派遣される自衛隊のこと、自己責任論やバッシング論、政権批判などの主張ばかりが、イラク本の中身の多くを占めて、読者にソッポ向かれたのだ。出版物自体は時の流行に乗って売れたものもあるが、戦場ルポもの全体がソッポを向かれた。

そして、シリアが戦場になると「ヌスラ戦線や自由シリア軍のルポなんか売れない。イスラム国(IS)じゃなきゃ売れない」と。そのため、無理して難関ISへ向かい、人質になったり処刑されたり行方不明になったり。バクチで負けがこんできた人が、最後の一発逆転を狙って、倍率の高いところに大きく賭ける心境に近い。「ヌスラ戦線や自由シリア軍では売れない」という流れは、イラク戦争で安易に日本人ネタで稼ぎまくったツケともいわれている。はい、カトケン戦犯です。

● 戦犯カトケン本「イラク戦争最前線

image by: Shutterstock

 

異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』より一部抜粋

著者/加藤健二郎(建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者)
尼崎市生まれ。1985年早稲田大学理工学部卒。東亜建設工業に勤務後、軍事戦争業界へ転職。1997年より、防衛庁内局OPL。著書は「女性兵士」「戦場のハローワーク」「自衛隊のしくみ」など11冊。43才より音楽業に転向し、日本初の職業バグパイプ奏者。東長崎機関を運営。自分自身でも予測不可能な人生。建設業→戦場取材→旅行業→出版→軽金属加工→軍事戦争調査→探偵→バグパイプ奏者・・・→→次はなに?
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