成功者の分析…大経営者になるために必要だった3つの「T」

2015.10.13
by NozomiK
 

専門家の役割

経営者には誰でもなれます。

しかし、他の人を雇用とするとなるとマネジメントが必要になります。
企業にはその仕事の中身によって、適切な規模があります。仕事の性質により大規模になることが求められると、経営者としての考え方とマネジメントのスキルが必要になります。

ホンダでは、マネジメント自体は副社長の藤沢武夫氏が行ってきました。

しかし社長は本田さんでした。

本田さんは大好きな技術に専念し、経営は好きではありませんでした。会社の顔である社長の役割と、経営者の役割は少し異なります。ホンダでは、別な人格が担当してうまくいったケースです。

経営には絶対的に必要な2つの要件があります。

一つは「価値観」で、もう一つは「マネジメント」です。絶対に社長が人に委ねてはいけないのは「価値観」です。マネジメントは、一定の目標と基準と範囲のもとに委ねます。ホンダの場合「価値観」では、本田さんと藤沢さんの合作という形です。

パナソニックの場合、松下さんが徹底した「価値観」を構築しました。
また、マネジメントについてもその根幹のあり方を作り上げています。
そうしたらすべてのマネジメントも行ったかというと、パナソニックにもマネジメントの専門家がいました。会計基準、目標管理制度をつくった松下教の伝道師の高橋荒太郎さんです。

経営は経営者のみ能力で行えるような単純なものではなく、多くの専門家の協力を必要とします。

「価値観」構築は経営者が行わなければならない独自職責ですが、コンセプトとして名言化してその軸に社会変化の読み解きを組み込み行動指針となる「ビジョン」にまでつくりあげて行きます。

ビジョンの骨格と基礎判断は経営者が行いますが、実際的な構築は専門家と現場の協力のもとにつくり上げて行きます。
さらに、目標と課題に合わせて各部署の行動計画に落とし込んで行きます。そして、行動計画の目的と目標と評価基準を明示したうえで適正人材を配置し、現場で実行計画をつくらせるとともに必要な権限を委譲します。

土光さんが、東芝再建に乗り込んで重視した行動がありました。一つは誰でもが直接話ができる「オープン・ザ・ドアー」で、もう一つは供を連れずの現場巡りです。それは、直に情報を収集することと励ますためです。現場の従業員こそが、“専門家”であり最大の経営資源であるからです。

最後に、ホンダの副社長の藤沢武夫さんの生き方を少し考えてみます。
藤沢さん自身の性格をロマンチストと定義しています。自分の夢を適えたい、その時の最高の経営資源が「本田宗一郎」でした。また逆も真で、本田さんの夢を適えるマネジャーが藤沢さんでした。

二人の夢見る“専門家”の幸運な結合から「ホンダ」が生まれました。

image by: Shutterstock

戦略経営の「よもやま話」
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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