机上の空論はもういらない!すぐ実践できるコンテンツマーケティング

2015.10.22
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by gyouza(まぐまぐ編集部)
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ネットやスマホの普及により、消費者の購買活動は大きく変化しています。物を買うにも第三者の口コミを調べる、広告バナーはクリックしない、ソーシャルメディアで欲しい情報だけを受け取る等など、従来のマーケティングでは消費者の心を動かすことは難しくなっているようです。多くの情報があふれ返り、自分たちにとって価値のある情報だけを取捨選択する時代になったいま、国内外で注目を集めているのが「コンテンツマーケティング」。表立った宣伝せず価値ある情報コンテンツを提供することでファンを増やしていくという、この古くて新しい手法を、どうすれば自分の業務に活かせるのか? このたび、新刊『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本 人気講師が教える宣伝せずに売れる仕組み作り』(インプレス刊)を上梓したばかりの、株式会社イノーバ 代表取締役社長CEOの宗像 淳氏、同マーケティング部リーダーの亀山 將氏に、コンテンツマーケティングをいますぐ実践するためのポイントをお聞きしました。

 

日米のマーケティング手法がここまで違う理由

まぐまぐニュース!編集部(以下、編):このたびは新刊『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本』の出版おめでとうございます。前回の著書『商品を売るな コンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる』(日経BP社刊)は「コンテンツマーケティングとは何なのか」という概要事例の部分が多かったと思いますが、前著の内容を踏まえながら、新刊の狙いをお聞かせください。

宗像淳氏(以下、宗像):今回の新刊は、コンテンツマーケティングを実際にやるための実務的な本、という点が前著と一番違う点ですね。インプレスという出版社の「いちばんやさしいシリーズ」という実用書的なシリーズの一つなので、パソコンの横に置いてもらって、パラパラめくって必要な時に読んだりできる、そういう本です。前著は、あまりマーケティングを行っていないような中堅の会社の部門長や経営者がターゲットだったんですが、今回は会社で直接現場に関わっている担当者の方、あるいは自分で小さな会社を経営しているような個人事業主の方などがターゲットですね。

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株式会社イノーバ 代表取締役社長CEO 宗像淳氏

編:発売前に「立ち読み」機能で少しだけ中身を読ませていただいたのですが、今回の新刊は現場若手社員にも役立つ内容だと感じました。宗像さんは以前、アメリカでマーケティングを学ばれて、アメリカ企業についても熱心に調査をされていたそうですが、アメリカでのコンシューマーとのコミュニケーションと、日本のコンシューマーとのコミュニケーションの違いはありますか?

宗像:そうですね、日本は良くも悪くも、とても「出来上がった市場」じゃないかと思うんですね。消費者は洗練されていて目が肥えている。いい商品を作って、テレビでCM打って、棚に並べるという黄金方程式があります。それに比べて、アメリカは移民の国ですから、人種豊かさも服の好みもみんな違うわけです。そこで、アメリカでは商品を売る前に、Sセグメンテーション)して、Tターゲティング)して、Pポジショニング)を確認するという「STP」と呼ばれるものを必ず実践します。でも、日本はこの辺をすっ飛ばしても何とかなってしまうんですよ。

亀山將氏(以下、亀山):日本人は買い手のリテラシーレベルがほとんど同じなので、メッセージを発信したときの解釈の仕方が均一なんですよね。だから、ワンメッセージでマスに届けるという手法がとてもやりやすい。それが「出来上がった市場」ということなんです。アメリカはそこが多様なので、受け手が誰なのかを考えてメッセージを作る必要があります。そこが一番の大きな違いですよね。

株式会社イノーバ マーケティング部リーダー 亀山將氏

同マーケティング部リーダー 亀山將氏

編:そういった日米の背景や習慣の違いはあると思うのですが、今回の新刊でアメリカの手法を参考にした部分はあるのでしょうか。

宗像:これは当然ですが、アメリカのほうが日本よりもネットが早く発達していますから、EC市場の最新動向やSNSを使った宣伝方法やファンづくりといったものはとても参考になります。

注目すべき国内企業の取り組み

編:アメリカにおけるコンテンツマーケティングの事例については前著でも触れられていましたが、日本で注目すべき企業取り組み最新事例などがありましたら教えてください。

宗像:最近注目しているのは、ニキビケア製品の「プロアクティブ」で有名なガシー・レンカー・ジャパン社の「ニキペディア」ですね。美容業界に長年勤めていたライターによるニキビなどの肌荒れの悩みをもつ方に向けたコラムや、ニキビ治療の過程をうつした写真等をふんだんに使って、スキンケアについて詳しく解説した本格的な読み物を掲載していて、とてもよくできている情報サイトです。

編:注目されているという「ニキペディア」の取り組みについて、ポイントをいくつか教えてください。

宗像:たとえば「背中ニキビ」の治し方について、という話があります。これは、どういうシチュエーションで治したくなるかというと、たとえば結婚式の二次会に呼ばれてドレスを着なきゃいけないとき。「あ、背中ニキビがある、どうしよう!」といったことがあった場合、まず最初にネットで検索するそうなんです。このキーワードで検索をかけたときに、ちゃんとこのページが上に出てくるようにコンテンツ群を増やしている。どういったキーワードで見に来るのか、どういうシーンで情報を探しているのか、ということをきちんとリサーチしているんですよね。そういった取り組み方は、このサイトの大きなポイントですね。

編:先ほど、アメリカの事例でお話しいただいたときの「STP」に近い取り組みですよね。

宗像:その通りです、そういったことをしっかり押さえれば、消費者と良いコミュニケーションが取れるということですね。

亀山:外資系の会社は、もともとコンテンツマーケティングの取り組みを積極的におこなっているところが多いんですよ。でも、最近では今まで本格的にマーケティングをやってこなかったBtoBの企業や中堅の国内企業が始めている傾向は嬉しいですね。

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成功する企業、失敗する企業

編:こうした動きが国内にも広がりつつあるなか、今までイノーバさんが支援されてきた国内企業でも成功した例と失敗例があると思いますが、成功と失敗それぞれの具体的な事例をお聞かせください。

宗像:成功例では、BtoBの事例になりますが、セールスフォース・ドットコムがうまくやっていますね。実際に数字も上がっていますし、サイトのアクセスも問い合わせも増えているそうです。それは、同社のマーケッターが、コンテンツ作りにかなりの時間をかけていて、どういったテーマがクリックされるのか、次に注目されるテーマはなにか、といった具合に、とてもよくリサーチされているんです。そうした取り組みのなかで、私たちとも一緒に協議しながら作り上げていくという感じですね。つまり、どこかに「丸投げ」じゃない。そうした姿勢が結果につながっているんじゃないかなと思います。失敗例は名前を出せませんが(笑)、ブログをたくさん作ったはいいが、問い合わせにつなげるための動線やリードを獲得するためのコンテンツがなくて、集客だけで終わってしまった企業がありました。他にも、私たちのソフトを入れてもらったのはいいんですが、自分たちでどういったコンテンツを作っていいのかということがわからず、手も回らず、サイトの更新がされずに終わってしまった企業もありましたね。

編:先ほど成功例に出されていましたセールスフォースさんのような「一緒に作っていく」という姿勢は両者ともに必要だということですね。検索キーワードのリサーチや消費者のニーズに応えることもそうですが、少し一歩先のニーズを予測して、それに応えるコンテンツ作りを考えることも重要になってきますよね。

宗像:とても重要だと思います。昨今は情報があふれているといわれますが、その状況のなかで、どのようにして見てもらうかという工夫として、まずは情報の「速報性」と「先進性」、この2つが最も重要だと思いますね。

メールマガジンは死んでいない

編:イノーバさんと弊社(株式会社まぐまぐ)の共通点として、「メールマーケティング」というものがありますが、コンテンツマーケティングにおけるメール、あるいはメールマガジンの役割についてお聞かせいただけますでしょうか。

亀山:メルマガは開封率が落ちているとか、見られなくなっているという話はよくあると思いますが、それは情報の総数が多くなった上に、みんな仕事が忙しくて毎日何百通というメールを受け取っているわけですから、そう簡単には開かなくなっているというのが現状ですよね。ただし、自分が欲しいと思っていることがあるタイミングで、その情報を目の前に提示されれば確実に見るわけです。つまり、コンテンツを用意するときに、「どのような」状態の、「どの」人たちに、「いつ」見てもらうのか、ということをきちんと設定して、それをデリバリーする手段として「メールマガジン」というものを使えば数字もついてくると思います。だから、私たちも欲しい情報を確実に届ける手段として、メールマガジンは死んでいないし、今でも「使える」と思っていますね。

編:それを踏まえると、先ほどアメリカの事例であった「STP」のTに「タイミング」も入りますよね。

宗像:そうですね、まさに、メールマガジンの「タイミング」という役割はマーケティングにとって重要だと思います。また、私たちが自分でメールを送るとき、あるいは受け取るときにも思うのは、受け取る側との間にどうやって」を芽生えさせるか、「いい関係性」を作るか、ということが大事だと思うんですよね。メールの送り方頻度中身も気を使った方がいいと思いますが、メール以外にもイベントなどで直接対面して接触する機会を作ることも重要だと思いますね。

編:メールの話になると、必ずソーシャルメディアの話が出てきます。コンテンツマーケティングは基本的にページへ来てもらったり、情報を発信している場所にユーザーを連れてくる形がメインだと思いますが、ソーシャルメディアの役割についてはどのように考えているのでしょうか。

宗像:企業がソーシャルメディアを利用することは、すでにユーザーが盛り上がっているところに「間借り」をすること、と私は思っています。ユーザーとの距離感を近づけるために、嫌がられない程度にさりげなく情報を出したり、Facebookの「いいね!」などを通じて、企業ユーザーお互いに仲良くなっていく、という役割があると思います。簡単に言えば「思い出してもらう頻度を増やす」という感覚なんですね。ソーシャルメディアを見るたびに、会社名を頻繁に目にすることで、社名なりブランド名なりを記憶するわけです。そのときにポジティブな印象が強ければ、思い出しやすくなりますよね。それを実現できる場がソーシャルメディアだと思います。ただし、プライベートな場ではあるので、情報売り込みバランスを考えなければならない。もちろん、自分たちで流すより、第三者の口コミで「このブログいいよ」と流してくれるのが一番説得力が増すわけですから、みんながシェアしたくなる情報流すことが一番ミソかなと思いますね。

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では、実際にコンテンツマーケティングをやるには?

編:今回の新刊を読んで「コンテンツマーケティング、やってみたい!」と感じる方が多くいらっしゃると思いますが、私たちが実践するためには、まずどのようなことからはじめたら良いのでしょうか?

宗像:まずは「何を発信したいか」「何を発信しなければならないのか」ということを明確にすることが第一ですね。私たちのところに相談にやってくる企業でも、「何を」の部分がボンヤリしているケースが多くあります。だから、最初は本を読みながらでもいいですし、自分と同業種の会社がどのようなものを出しているかをリサーチすると、なんとなくイメージが湧いてきますよね。そのようなことを繰り返しながら、「何を発信すればいいのか」ということを具体化していくところから始めればいいと思います。そういった意味では、企業の広報に近い役割ですよね。広報も企業のアピールでありながら、その情報を誰かに拾ってもらわないと意味がないですから

亀山:「何を」というところも大事なのですが、コンテンツマーケティングは、マーケティングの取り組みなので、「何のためにやるのか」というところが明確になっていないと意味がないわけです。企業側が「これを言いたいから言おう」という、発信したい側の視点になってしまうと誰にも読まれないし、指標がないので辛くなって途中でやめてしまうということに陥りがちなんですね。そもそも「何のためにやるのか」「何のためのコンテンツマーケティングなのか」というところを考えていくと、必然的に「誰に」「何を」というものが出てくると思います。だから「何のために」というところは、当たり前のことのように聞こえますが、最初にきちんと設定しておくことは大事なことだと思いますね。

編:途中でやめてしまう企業も多いとのことですが、成功と失敗を分けるポイントはどこにあるのでしょうか?

宗像:コンテンツマーケティングは「トライアンドエラー」なんですよ。正解というものがなくて、やりながら試行錯誤していかなきゃいけないところがあるんですね。それがあと3年くらいしたら「」みたいなものが出来てくるのかもしれませんが、現時点ではそういった「型」みたいなものはないので、どれだけ試行錯誤を繰り返していけるかがポイントだと思います。普通の広告とは違うので、お金払えば何とかなるでしょ、と思っていると失敗します。逆に、自分がユーザーだったらどんなものがいいのかということを常に考える「編集マインド」みたいなものは必要ですね。

編:ユーザー目線になって、根気強く続けていくことが大事だということですね。

亀山:新刊の中にも書いていますが「継続する」ということが一番のポイントで、継続するために何が必要かを考えることです。続いているところと続かないところの差は「戦略があるかどうか」、それと「責任を持つ人がいる体制が整っているかどうか」です。責任を持つには、評価の基準が必要になってくるので、それには戦略が必要になってくる。その両方がないと続かない。続かないともちろん成功はしないわけです。そのためには、続けられる体制を作ることは重要だと思います。

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 編:最後に、イノーバさんおよびコンテンツマーケティングの今後の展開についてお聞かせください。

宗像:いま、オウンドメディアづくりがとても流行っていますが、必要なものではあるけど、それだけではすべてを解決できないと思っています。コンテンツをユーザーに届けるには、まぐまぐさんがやっているようなメールマーケティングをきちんと運用する必要がありますし、ユーザーデータを集めて分析することも必要だと思います。あとは、ここ数年で企業の活用が一般化してきたネイティブアドをうまく使って、ユーザーにコンテンツを届けていくことですね。これから環境も整っていくでしょうし、すでに成果が上がっているという話も聞いています。そのあたりは要注目ですね。

編:本日はありがとうございました。

《インタビューを終えて》最近よく耳にするものの、言葉ばかりが先行して、まず何をしたら良いか、すぐにできる方法はないか、という具体的な実践法が見えにくい印象の強かった「コンテンツマーケティング」。しかし、今回のインタビューを通じて、目的とターゲットと見せ方を考えるだけで、魅力的かつ実際に役立つコンテンツづくりによって従来の広告よりも大きな効果を得られ、企業とユーザーとの間に良い関係が構築できる可能性を感じました。いますぐ実践したいと思った方は、まずは宗像氏らの新刊を参考に、コンテンツマーケティングを自分の業務でどう活かすか、検討してみてはいかがでしょうか。

 

取材協力:株式会社イノーバ

聞き手:まぐまぐニュース!編集部

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『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本 人気講師が教える宣伝せずに売れる仕組み作り』
宗像 淳、亀山 將・著
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