日本マクドナルド、「史上最大の赤字」を分析して発覚した異常事態

 

マクドナルドの最新の貸借対照表はどうなっているのか?

さて、それでは最初にマクドナルドの貸借対照表から見渡していくことにしましょう。

まず、目につくのがキャッシュ残高の減少です。

2014年12月末時点では286億円のキャッシュがありましたが、2015年9月末には132億円にまで減少しています。つまり、この9か月間で154億円もキャッシュ残高が減少しているのです。しかも、このキャッシュ残高の132億円はマクドナルドの1ヶ月分の売上にも満たない水準にまで落ち込んでいるのです。

次に気になるのが借入金の増加です。

2014年12月末現在では、マクドナルドは短期と長期合わせてわずか5億円しか借入はありませんでした。ところが2015年9月末には、短期借入が25億円、長期借入が188億円とわずか9か月で208億円も借入が増えています。しかも208億円も借入を増やしておきながら、現金残高は逆に154億円も減少しているのは非常に気になるポイントです。

これらの数字を見てもこの9か月間で巨額のキャッシュが流出していることが読み解けます。

最後に安全性の指標となる自己資本比率を見てみましょう。マクドナルドの2014年12月末時点の自己資本比率は78.5%と非常に高い水準にありました。ところが、2015年9月末は過去最悪の赤字を計上した影響で利益準備金が843億円から506億円まで337億円減少し、66.2%まで急落しています。

今後赤字を食い止めることができないのなら、債務超過の心配はまだありませんが、益々自己資本比率が減少して経営の危険性が高まってくることにつながるでしょう。

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