「イスラム国」、現在の資金源
何度も書きますが、アメリカは2013年9月、「アサド政権攻撃」をやめた。「アルカイダ系」で「反アサド派」の一派だった「イスラム国」は、独自の動きを強めていきます。
そして現在。
「イスラーム国」の著者アトワーンさんは、「イスラム国」が「大きな脅威である3つの理由」をあげています。
1.「イスラム国」は経済的に自立している
彼らの収入源は?
イラク中央銀行から、5億ドルを強奪した。石油販売で、1日200万ドルの収入を得ている。支配地域の住民約1,000万人から税金を徴収している。
2.「イスラム国」は武器を大量に保有している
なぜ?
イラクとシリア両国政府軍拠点を制圧し、アメリカ製、ロシア製の武器を大量に鹵獲(ろかく)した。2,700を超える、戦車、装甲車、軍用車両を所有している。
3.「イスラム国」には、支配した地域を統治する能力がある
というわけで、「イスラム国」が資金と武器をもっているのには、それなりの理由があるのです。
しかし…
しかし、「イスラム国」の進撃も、つづきそうにありません。
1つ目の理由は、9月30日にロシアが空爆をはじめたこと。ロシアには、親ロ・アサドを守りたいという切実な動機があります。だから空爆も真剣。1か月半の空爆で、アサド政権は、息を吹き返しました。
2つ目の理由は、「パリ同時多発テロ」です。アメリカやフランスを含む「有志連合」には、なんやかんやと、「イスラム国を使ってアサド政権を倒したい」という不純な動機がある。それで、空爆もダラダラやっていた。しかし、パリのテロで、もう少し真面目に「イスラム国」と戦う必要が出てきました。「イスラム国」は今後、かなり苦しい状況におかれることでしょう。
とはいえ、彼らは、欧州を中心にひろがり、「テロ」を行うことでサバイバルをはかるでしょう。
image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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