韓国が異例の配慮。産経前ソウル支局長の無罪を各紙はどう報じたか?
政治裁判
【毎日】は1面の左肩に少し小さい扱いで基本情報。関連は、2面と社会面。8面には判決要旨。
2面の記事も大きくはない。見出しは「韓国司法 政治色濃く」「異例の政府文書読み上げ」。判決公判の冒頭、裁判長が韓国外務省から出された文書を読み上げることがあった。内容は、「日本各界の人から大局的に見て善処を求められている。12月18日が韓日基本条約発効50周年であることなどを勘案し、こうした要請を真摯に考慮してほしい」という内容だった。形としては、日本側の要請を、韓国外務省が伝えたとするもの。
uttiiの眼
確かに、裁判長が外務省の文書を冒頭で読み上げるというのは、一種異様な光景と言わなければならない。明らかに、この裁判には政治的な力が働いたということを、むしろ、圧力を掛けた側が積極的にアピールしているような趣さえある。毎日が「政治色が濃い裁判」とするこの有り様を、私も、余りに「非常識」だと思う。
だが、これをもって、「三権分立が機能していない」、したがって民主主義ではない、などと大上段から批判するのもどうかと思う。日本の裁判所が行政権(=政府)から独立していると本気で信じている人はほとんどいまい。砂川事件の昔から、近年の「一票の格差」裁判に至るまで、形を変えつつ続いてきた「統治行為論」の隆盛をみれば、裁判所の多数意見のホンネが、「行政権への隷従」を是認するところにあるのは歴然だ。あまりに恥ずかしくて、とてもではないが、「韓国は民主主義国ではない!」と叫ぶ気など起こらない。
2面記事には、近年、韓国で増えている、メディアを名誉毀損で訴える事件について、その具体名が列挙されている。《読売》の韓永学氏のインタビューで出てきた内容が、さらに具体的に書かれている。その中には、セウォル号事故のさいの大統領の弔問は「演出」だったと報道したキリスト教放送や、元側近男性が政権人事に介入したと報じた世界日報が上げられているが、男女関係云々は見当たらない。産経のケースは、韓国政府が名誉毀損で訴えた中でももっとも品のないケースだったということになるのかもしれない。
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