韓国が異例の配慮。産経前ソウル支局長の無罪を各紙はどう報じたか?

 

産経とは一線を画す姿勢…

【読売】も1面トップ。関連は3、8、9、38の各面。注目記事は9面の論点スペシャル。北海学園大学教授の韓永学氏、前駐韓大使の武藤正敏氏、青山学院大学教授の大石泰彦氏の三人が、それぞれの立場から興味深い話をしている。それぞれ別の記者が聞き取りをしたもの。

韓国のメディア事情に詳しい韓永学氏は、朴槿恵政権下で「政府機関公職者中傷したとして報道関係者一般人捜査を受けたり提訴されたりしたケースは、市民団体の調査で今年8月までに22件」に上り、しかもほとんどが政権側の負け戦」なのだという。要は、メディアの萎縮効果を狙っての行動らしい。政権側は特にネットに神経質で、検察が名誉毀損の専門チームを編成した翌月に支局長が起訴されたという。他方、前支局長による取材のいい加減さについて警鐘を鳴らした上、「報道機関は複数の情報源に十分な取材を行った上で、ひるまず果敢に報じる姿勢を堅持してほしい。正確性の高い報道は、日本の人々が韓国について正しい理解をするために大きな意義がある」と結んでいる。

武藤前大使は、日韓関係難しくしているのはいつの時代も両国の国民感情であり、この裁判日本の嫌韓感情高めることにつながっていた、とする。そしてこの判決で、韓国が日韓関係を改善したいと真剣に考えていることが明らかになったとする。

大石氏はメディア倫理が専門。全体に亘って、産経前支局長取材姿勢に対する強烈な疑問が突きつけられている。「外電インターネット上の噂話を集めるだけでは、真のジャーナリズムではない」と断言。必要な取材を怠ったのは明らかであり、教訓を残したとする。

uttiiの眼

情報という意味でも、ものの味方という意味でも、《読売》の「論点スペシャル」は非常に有益韓国内のメディア状況が相当に憂慮すべき状態にあること、前支局長のコラムジャーナリズムとして極めて大きな問題を抱えたものであったことなどがよく分かる。

さらに、8面の記事にはまた興味深い内容が載せられている。韓国国内では、産経新聞は「日本国内の嫌韓反韓世論を主導し、絶えず韓国を刺激するメディアと捉えられていること、今回の裁判を巡っては「(前支局長を)言論の自由の守護者英雄にしてしまった」として、政府の過剰反応を批判する論調が目立っていた、という。やはり、「相手にする値打ちもない」記事に過剰反応してしまったということのようだ。

print
いま読まれてます

  • 韓国が異例の配慮。産経前ソウル支局長の無罪を各紙はどう報じたか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け