誰もが知っている神様「ヤマトタケル」の誰も知らない実像

 

では、このヤマトタケルとは一体何なのか? これは個人的な憶測を踏まえれば出雲国との関係が大きく影響していると考えています。事実、ヤマトタケルの伝承は関東を中心に強く残り、その中の埼玉を中心とした武蔵国には出雲族が来たことを伝える神社がいくつかあります。

いや、そもそもこの武蔵国でさえ、最初の国造はエタモヒという出雲出身の人物とさえ言われておりますので、その関係は意外に深く、関東を中心に大きく展開する氷川神社にしても、その氷川とは島根県の簸川郡から来ているとか、その名残は至るところにあります。

そうした中で見えるヤマトタケルの実像とは、実は出雲族そのものではないかということ。少し分かりにくいかもしれませんが、ヤマトタケルという名前は固有名詞というには非常に曖昧で特定性の低い名前ということが上げられます。例えば、「タケル」という名は「ヤソタケル」「クマソタケル」に見られるように、古代史ではよく見る名で、これはその土地一番の英雄を意味することがあります。つまり、ヤマトタケルという名は、「大和の英雄」という意味にも置き換えられ、関東に不自然に広がる足跡も実は朝廷側が天皇の威光を高めるためヤマトタケルという存在にリライトしたのではないかと考えられるのです。

もちろん、これは勝手な想像話ですので、話半分以下に収めていただきたいものですが(笑)、多くの伝承とはそんな不思議と浪漫を掻き立てる魅力的な素材であるのは確かです。そういう意味ではヤマトタケルの存在というのは古代の浪漫を掻き立てる極めて魅力的な存在であるのは間違いないでしょう。

image by: Takamex / Shutterstock.com

 

『東條英利の「日本の見方」』より一部抜粋

著者/東條英利
いわゆるA級戦犯とされる東條英機は私の曽祖父でありますが、その直系の長男のみが、この「英」の字を継いでおります。私もその継承者として、時にはこの名を疎ましく思ったこともありましたが、戦後70年を迎える今こそ、この名前がもたらした様々な事実や経験、考えを語ってみたいと思っております。
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