現地在住の日本人が報告。テロ以降、フランスに何が起こっているのか

 

彼女は、いったいどの生徒が、教師が、今日のような日登校するのだろう、開校するなんて、ディレクターの気が知れない。自分は当然休ませてもらう。と決めたそうです。私はそれを聞いて、おそらく教師陣は、電車が動いていれば、全員登校するだろう。生徒が登校するかどうかはわからないが、少なくともフランス人生徒から、開校することへの文句は出ないだろう。出るとしたら日本人(ハーフの子供向け日本語教室の親御さん)だろう、と考えました。自慢じゃないですが、見事に、全面的にあたりましたね。その日の出席率6~7割、メトロ閉鎖で登校不可能だった1名を除いて教師陣全員登校クレーム1件、子どもクラスの日本人お母さんからだったそうです。だって、在仏4年目の事務局の彼女とは違い、教師陣は全員、私同様、長期在仏人なんですもの。1995年、96年の高速地下鉄RERの駅でのテロも経験しています。こんなことでいちいちびくびくしませんよ。

ただそのあと、レピュブリック広場の東または北と、西または南でパリは二分された感があって、東北側はテロ以降レストランやカフェは開店休業状態が続き、つい最近まで、街は砂漠のようだったと聞いていますが、西南側は、月曜日以降はほぼ、何事もなかったかのように、元に戻ったんです。庶民の感覚の温度差も大きくて、東北側のフランス人は、11月13日以降、国粋主義的な考えを持つようになった人も多いようですが、西南側はテロがあったからと言って自分の政治的な思考変えることはなかったように見えます(私の職場は15区、住居はベルサイユの近く、つまり西南側です)。

私個人の考えを少し述べますと、ISISとはイスラムの名を借りた狂人殺人集団であり(多くの善良なムスリムの人たちがお気の毒で仕方がないです)一刻も早く壊滅してほしいけれど、11月13日以降、オランド大統領が声高に、断固として闘うと言い放ち空爆強化し、二重国籍者テロ行為を行った場合の国籍はく奪を決定しようとしていること(憲法改正)には、両方とも賛成できません

空爆にも一定の効果があるのかもしれないけれど、それより、奴らの資金源を断つ方法を国際間で協議すべきだと思うし、国籍はく奪については、百害あって一利なし、死ぬことを恐れないテロリストに国籍はく奪なんてなんの効果もない生き延びたテロリストを、とにかくフランスから追い出すための作戦ですか? 他の国に住んで、フランスに潜入すれば済むだけのこと。意味なし。それより、国籍はく奪が可能になると、今は、二重国籍限定、重大テロ行為を犯した者限定でも、今後は限定解除すればいいだけになります。政情に合わない者国籍はく奪、どこかの国で言う「粛清」のようなことも可能になり得ます。絶対ダメでしょ。

わたしは渡仏以来、一貫して社会党支持してきましたし、どんなに支持率が低くても、オランド大統領は決して間違ったことは言ってない、と思ってきたのですが、空爆開始以来、とくに11月13日以降のオランド大統領にはがっかりしています。

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