社員2000人の賞与に直筆の手紙。カリスマ経営者「やる気」引き出し術

 

経営者に個人として知ってもらえ、良きにつけ悪しきにつけ注目されることは「安心感」と「やる気を引き出します。豊臣秀吉が元気なころは「人たらし」の名人で、他の武将の配下でもこれはとおもう武士には功績を褒め称え自分の配下になるよう誘っています。元首相の田中角栄は、2万人の顔と名前が一致したと言われています。

管理は科学でもありますが、集団の感情を揺さぶる熱意でもあります。永守さんは人材を育てるにはどうしたらよいかを考え、行き着いたのは世間で言われている「褒めて育てるではなく叱ることと看破したそうです。しかし、ここからが工夫のいるところで10分叱ったそのフォローを2~3時間かけたと言っておられます。

このようなフォローについては、松下幸之助さんや本田さんも同じように心遣いを行っています。松下さんは結構口汚く罵倒するそうですが、そのフォローは理性的で「あんたが必要だからそうした」とういうこと懇切に言い聞かせたそうです。直に話すこともあれば、奥さんに電話し間接的に伝える場合もありました。

本田さんの場合は、直情的なので気に入らなければゲンコツはもちろんハンマーなどもとんできたのだそうです。しかし、おもしろいのはその後で必ず後悔するそうで、いつもやりすぎたと思い翌日にはきまり悪そうに冗談を無理に言ったりするので、それがなんとなく可愛げと面白味があり一件落着になったようです。

世界ナンバーワンのシェアを持つ空調メーカー「ダイキン」には、経営の基本としている「人を基軸に置いた経営」という考え方があります。その考え方の実践として、鳥取市青谷町にある宿泊滞在型の研修施設「アレス青谷」で行われる5泊6日の「新入社員研修」があります。その研修には、社長をはじめ役員も参加して実践されます。

この研修は約8割の時間をグループディスカッションに費やすのが特徴で、「どのように働きどう成長したいのか」「最強のチームを作るため何をなすべきかなどをグループ間で議論し自身を見つめ直すことを促します。「人を基軸に」が確信になったのは「タイムカード廃止」が切っ掛けで、管理しなくなったと同じくして定時きっかりに仕事を始めるようになりました。

ユニークなのは、会社役員たちとの円卓を囲んでの対話です。そこで交歓される対話は、まったくのざっくばらんな居酒屋トークです。研修の打ち上げにはキャンプ・ファイアーが行われるのですが、そこでの社長をはじめとする役員の役割は「火の番」などのもてなしです。ここで重視されているのは、職制を超えた人の交わり」です。

image by: Shutterstock

 

 『戦略経営の「よもやま話」

著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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