運転免許証が必要とされなくなる日も刻々と近づいているー。数年前から米グーグルが力を入れて研究開発をおこなっている自動運転車。自動車メーカーでもない世界的なIT企業が力を注いでいるとあって、日本国内はもちろん世界では常に注目の的です。しかし、そのグーグルの自動運転車に関して、米カリフォルニア州の車両管理局(DMV)からちょっと気になる報告がありました。それは“272回”というとんでもない数の自動運転車のエラーについてでした。
272回の技術的問題が発生。衝突は13回も
グーグルが自動運転車のプロジェクトを2009年に開始してから7年目。
その技術は世界トップクラスです。
2015年6月には自動運転技術を搭載している小型車「プロトタイプ」が実用化に向けて、グーグル本社のマウンテンビュー周辺の公道でテスト運転を始めました。
しかし、全世界から大きな期待が寄せられる中、安全面で気になる情報が入ってきました。
英ガーディアンによると、米カリフォルニア州車両管理局(DMV)へグーグルが提出した報告書では、2014年9月から2015年11月まで、カリフォルニア州の公道を走行中に技術的な問題が272回も発生したとされています。
テストドライバーが走行中に自動運転モードを解除した341回のうち、272回が技術的なエラーとされていますが、その原因には、通信の遮断、間違ったセンサー読み込みなどのエラーを車が探知したことを理由にあげています。
そして、少なくとも13回の衝突がおきたとされています。
また今回のDMVの報告書では、その341回のうち69回の自動運転モードの解除を報告し、残りの272回についてはこれまで報告していなかったことも判明しています。
つまり、ドライバー自身の判断で自動運転モードを解除した69回のみを報告して、自動車が探知して自動運転モードを解除した272回については報告しなくても良いと思った、とグーグルは考えていたようです。
14ヶ月間における調査結果では、49台のグーグル自動運転車が42万4千マイル以上も自動走行。
ちなみに、報告の対象となったのは、グーグルが開発した“Koala(コアラ)” と、レクサスRX450hでした。
不具合が生じた場合にテストドライバーには、オーディオやビジュアルで自動運転から手動運転への切り替えアラートが通知されます。
グーグルのテストドライバーは0.8秒以内にこのアラートに反応します。そして即効で手動運転に切り替えるそうです。
グーグルの自動運転車はまだ安全面での技術的な改善の余地があるようですが、そもそもグーグルの自動運転の理念はオート化ではなくヒューマンエラーをなくすことにあります。
94%の事故がヒューマンエラーによるもので、自動運転こそが安全であるというのがグーグルの考えです。
グーグルには世界中の天才が集まり、その天才たちのブレーンを駆使して最先端のテクノロジーを生み出してきました。
かつては不可能ではないかとも言われたグーグルのストリートビュー。
360度撮影された45,000枚以上の写真を切れ目がないように繋ぎ合わせ、地道なテストを重ね合わせて可能にしました。
ストリートビューを成功させたように、自動運転の技術でもその確かな技術力を生かして、世界最高水準の自動運転車を生み出すことに成功するかもしれません。今後の動きに目が離せません。
Source : 英ガーディアン
文/MAG2 NEWS編集部