横流しを防ぐなら袋を破れ。ココイチ「廃棄カツ」問題から学ぶこと

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カレーハウスCoCo壱番屋の「廃棄カツ」を、産廃業者が横流していた問題が話題となっています。その後、同じ業者がセブン、ローソン、イオンなどの廃棄食品も横流ししていたことが発覚し、事件は拡大の一途をたどっているようです。食品工場で長年、品質管理を経験してきた河岸宏和さんのメルマガ『食品工場の工場長の仕事』は、食品の廃棄をするために工場側が取るべき対策について詳しく紹介。今回の事件から、食品業者は何を学ぶべきなのかを説いています。

CoCo壱番屋の廃棄カツ転売から学ぶこと

私の最新刊「激安食品が30年後の日本を滅ぼす! 」の内容を地で行っているような事件が発生しました。本来廃棄処理される商品がスーパー、弁当屋で販売、加工され消費者まで渡ってしまったのです。廃棄業者の転売が一番の要因ですが、見た目に問題ない商品を廃棄処分する場合には注意が必要な事を教えてくれた事件です。

悪意を持った方が利用できないこと

スーパーのレジを何故使用しているか考えてみます。

人間は目の前に現金があると、つい出来心でポケットにいれたくなってしまうものです。レジで機械的に金額を入力して管理されているといえば、出来心を抑えてしまいます。

最新のレジは、現金を入れれば自動でおつりが出てくるようになっていて、さらに不正がおきにくくなっています。さらにレジには監視カメラが睨みを効かせています。レジの担当の方が、不正を起こしにくい環境を作り上げているのです。

悪さができない環境を作り上げることが必要

報道を見ていると、壱番屋は被害者になっていますが、転売した廃棄業者を選んだ責任があります。異物混入のロットだけでなく、賞味期限切れのチキンカツの処分も任せていたとすれば、日常的に利用している廃棄業者が、不正を行ったことになります。

産業廃棄物は、マニフェスト制度により、廃棄した現物が本当に処理されたかどうかを、書類上で管理することが求められています。書類上だけの管理ではなく、廃棄処理の状況を定期的に監査すべきと私は思っています。

新規原材料の仕入れ業者を選ぶときには、必ず工場監査を行っていると思います。廃棄業者も、新規時に監査を行い定期的に監査を行うべきです。

廃棄する場合は再利用できない形で廃棄する

金属検出器で排出された商品は、良品に混じってしまわないように、包装を破る、製品をつぶすなど不良品とわかるようにすべきです。

異物が混入した商品、賞味期限切れの商品なども、良品として転売されないような形に加工してから、廃棄処分すべきです。ダンボールから出し、包装を破ってから廃棄する必要があったのです。

今回の商品は凍結商品ですから、完全解凍してから廃棄すれば転売することはできなかったはずです。廃棄する商品をごみ収集車のように回転する機械でつぶして廃棄していても転売することはできなかったはずです。

品質管理は、種からフォークまでの管理が必要と言われています。廃棄物も工場から焼却処分されるまでを確実に管理することが必要なのです。

あなたの工場の製品の廃棄処分は確実に行われていますか。 

image by:Shutterstock

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食品工場の工場長の仕事

著者:河岸宏和
“食の安全”に関する多数の書籍を執筆する著者に食品工場の現場から見た品質管理の方法など、工場に勤務する人には、必読の無料メルマガ。
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