遂に中国に「ノー」を突き付けた台湾。蔡英文勝利が意味するもの

 

変わる流れ

ソ連崩壊で冷戦が終結した1991年末から2008年までを、「アメリカ一極時代」と呼びます。「100年に1度の大不況」が起こった08年から、世界は「米中二極時代」に突入しました。しかし、「二極」時代の中身を見れば、沈むアメリカ昇る中国という関係。

ところが、2015年3月から流れが変わってきます。日本以外の親米諸国がすべて裏切った「AIIB事件」で、アメリカは「真の敵がどこにいるか?」をはっきり悟った。

以後、アメリカは、ロシアと和解し「ウクライナ問題」を事実上解決。シリア、IS問題を他の大国に任せ、イラン制裁を解除した。年初に起こったサウジとイランの「国交断絶問題」に関しても、「仲介するつもりはない!」と宣言している。つまり、アメリカは、中東からはっきり距離をおきつつある

欧州と中東の問題に大方ケリをつけたアメリカは、アジア問題に集中するようになった。去年12月、日韓慰安婦合意を行わせ、「中国の属国状態」にあった韓国を中国からひきはがした。そして、今回、台湾で相対的に「反中」「親米親日の総統が誕生する。「AIIB事件」で世界的に孤立したアメリカは、韓国を取り戻し、台湾を取り戻しつつある。

そして、「中国からアメリカへ」の流れを加速させているのが、中国経済がボロボロになってきたこと。中国政府によると2015年、中国のGDPは、6.9%の成長だったそうです。しかし、この数字を信じている人は誰もいません。なんといっても中国の貿易総額は2015年、前年比で8%減少。輸出は、2.8%減輸入にいたっては、14.1%も減った。

中国政府、GDPについては、いくらでもウソをつけます。しかし、輸出入に関しては、「相手国」がいるので、ウソがつけない。貿易額が8%、輸入が14%減った国のGDPが、「6.9%成長」なんて、ありえないですね。

金の切れ目が縁の切れ目

去年まで中国に「へ~こら」していた世界中の国々も、今年から徐々に態度が変わっていくことでしょう。

馬政権時代、世界もアメリカも日本も、そして台湾人自身も、「台湾独立なんて非現実的すぎる」と考えていた。しかし、風は変わってきています。ソ連が崩壊して、15の共和国が独立をはたした。同じように、中国共産党政権が崩壊する事態になれば、台湾独立も現実味が出てくることでしょう。

しかし、それはまだ先の話。

「独立云々」は抜きにしても、日本は、誕生する蔡英文政権を全力でサポートするべきです。特に経済面のサポートが大事です。

image by: Wikimedia Commons

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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