天気予報でミリバールの座を奪った「ヘクトパスカル」。名の由来は?

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「人間は考える葦である」の名言で有名な哲学者ブレーズ・パスカルが、単位の名称になっていることをご存知ですか? 気圧の「ヘクトパスカル」という単位、実はこれ「パスカル」の名前由来なんです。メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では、パスカルがわずか39年の短い生涯で残した功績と、同じく気圧の研究に見を捧げた物理学者エヴァンジェリスタ・トリチェリをご紹介いたします。

私たちは海の底に住んでいる!?

「人間は大気という海の底に住んでいる」
(noi viviano sommersi nel fondo d’un pelago d’aria elementare)
トリチェリ(哲学者)

先日、京都市青少年科学センターに行ったのですが、気象コーナーでの気圧の単位が書かれているところに上からシールが貼ってありました。

今の20代の方のほとんど、30代前半の方でも記憶に残っていないかもしれないのが、「ミリバール」という言い方です。これは、1992年12月まで使われていた気圧の単位です。もう23年以上前の話ですね。

今は「hPaヘクトパスカル)」と言っています。92年に「mb(ミリバール)」から「hPa」に変わった時に貼ったシールがそのままなんでしょうが、若い方、特に子供には下に何が書かれてあるのかわからないので、完全に謎のシールでしょう。

さてこの「ヘクトパスカル」という単位の「パスカル」は、「人間は考える葦である」という有名な名言を残したフランスの科学者です。だから「hpa」と全部が小文字ではなく「Paと大文字で表記されているのです(人名の頭文字)。

パスカルは、幼い頃から非常に優れた才能を発揮していたようですが、残念なことに身体が弱く、30代で亡くなっています。物理学では「パスカルの原理」でも名前が残っています。

気圧に関してはトリチェリの水銀柱の実験が有名です。1メートルのパイプに水銀を満たしたものを逆さにすると、もちろん水銀が下がりますが、一定のところで止まることがわかりました。下から約76センチのところで止まるのです。上は真空です。この釣り合いは大気が押しているからだとトリチェリは考えました。そして冒頭に紹介したように「私たちは海の底に住んでいる」と考えたのです。

これを受けて、パスカルは「海の底だとしたら、少しでも高いところに登れば大気圧は変わるのでは?」と考えます。先にも書いたようにパスカル自身は身体が弱く、自分で高い山に登ることはできなかったのですが、その実験を義理の兄のペリエリに依頼して、高い山の山頂では気圧が低くなることを確認しました。

こうした気圧に関する実験からパスカルが気圧の単位に名前を残しているのですが、ではトリチェリは?

もちろんトリチェリにちなむ気圧の単位があります。Torrという表記で「1気圧=760Torr」です。

ba(バール)やTorr(トリチェリ)とある中で、現在はPaパスカルが共通の単位として使われているのです。

image by: Wikimedia Commons

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