なぜ犯罪は、男子に多いのか?その理由2
2.配偶子をめぐる争い
これは、動物学的視点からみえてくることで、簡単にいうと、「オスの精子が子孫を残すために、高リスクを冒し、競争に勝つための争いをする」からではないか、ということです。
具体的には、
- 精子は小さいので作るのにエネルギーがそれほどかからず、一度にたくさんのメスの卵を受精させることができる
- エネルギーがかからず、精子をつくれるので、どのオスもできるだけ多くのメスを手に入れようとするし、たくさんのメスと交配し、多くの子を残そうとする
- すると、多くの子を残せる強いオスがいる一方で、メスを一匹も得られず子を残せない弱いオスもでてくる
- そこで、子を残せる勝者と残せない敗者という構図が出来上がり、勝者と敗者とはっきりと分けられる。だから、勝つために、優位に立つために、争う戦う、という大きなリスクを冒す
という説です。
そのような遺伝子が、体に埋め込まれているのと同時に、争いや戦うことで、自分が強く優位に立ち、利益になることや役立つことを手に入れられる、ということを学んできているからではないかというのです。
つまり、「大きな危険を冒してでも、大きな利益を狙う」という戦略が、ヒトの男子に植え付けられてきて、それゆえ、男子の方が罪を犯しやすい、のではないかということです(Daly&Wilson 1988a)。