【世界遺産推薦】天草四郎の夢の跡。長崎の教会群とキリスト教関連遺産をゆく

2015.05.20
by kousei_saho
長崎県観光連盟長崎県観光連盟
 

今年中の世界遺産登録がほぼ決定的となった「明治日本の産業革命遺産」。8県、23の資産で構成されるこの「遺産」の中で最多となる8つの資産を擁する長崎県ですが、実は県内にはもうひとつ、登録準備が着々と進んでいる遺産があります。それが「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」。今回はその構成資産の中から、普段あまりメディアに載らないスポットをご紹介します。

世界遺産リストに登録された、長崎の教会群とキリスト教関連遺産を巡る

長崎の教会群とキリスト教関連遺産を巡る旅、まずご案内したいのが、県の北部、平戸市の田平(たびら)に建つ「田平天主堂」。1918(大正7)年、信徒たちが開拓した土地に、彼らの寄付や労働奉仕により建立されたこの教会、現在は国の重要文化財にも指定されています。

田平天主堂 長崎県観光連盟

田平天主堂 長崎県観光連盟

特徴的な赤レンガの目地に用いられているのは、コンクリートではなく「アマカワ」と呼ばれる赤土と石灰を合わせた素材。その石灰すら、信者たちは貝殻を焼き自ら作ったといいます。そんな彼らが静かに眠るのが、すぐ横に広がる瀬戸山墓地

瀬戸山墓地  長崎県観光連盟

瀬戸山墓地 長崎県観光連盟

主により永遠の安息を与えられた信者たちは、今も天主堂を見守っています。

田平天主堂から南東へ約100km、南島原市の「原城跡」もまた構成資産のひとつ。厳しい迫害や年貢の取立てに耐えかねたキリシタンたちが立ち上がったといわれる「島原の乱」終焉の地です。

原城跡 長崎県観光連盟

原城跡 長崎県観光連盟

この城に籠った天草四郎率いる3万人以上の反乱勢は、投降の呼びかけにも応じることなく信仰を貫き通そうとしますが、3ヵ月後、幕府軍の威信をかけた総攻撃についに落城。籠城した全員が殺されたと記録に残ります。

原城跡の石像 長崎県観光連盟

原城跡の石像 長崎県観光連盟

城跡の海沿いに立つ小さな三体の石像。その目の先には、四郎の生まれ故郷・天草の風景が広がっています。

さて、登録名こそ「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」ですが、実は1カ所、長崎県外の構成資産が含まれているのをご存知でしょうか。ゴシック風の先津教会を含む「天草の﨑津集落(熊本県)」です。

崎津教会

崎津教会

1569(永禄12)年に宣教師により建てられた崎津教会を中心にキリスト教が大きく広まった天草地方。しかし上述の島原の乱以後、弾圧はいっそう苛烈に、そして全国規模で徹底されるようになっていきます。天草も例に漏れず、この教会でも禁教時代には、幕府による悪名高き「踏み絵」が行われていたといいます。

教会内部

教会内部

それでも「隠れキリシタン」として信仰を守り続けた信者たち。彼らが残した有形無形の「資産」は、今を生きる私たちが信じるものを超え、後世に伝えていかなければならないものなのかもしれません。日本が世界に誇る「遺産」として。

※写真撮影・掲載に当たっては大司教区の許可をいただいています。


<オススメ旅情報>

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長崎県世界遺産登録推進課によるページ。構成遺産などの情報はこちらでどうぞ。

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