AIIB事変で世界が一変。ウクライナ訪問で問われる安倍外交の真価

kitano20150529
 

日本の総理として初めてウクライナを訪問、ポロシェンコ大統領と会談する方針を固めた安倍晋三氏ですが…、国際関係アナリストの北野幸伯さんは無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』に、ご自身の分析に基づいた「会談の際に注意するべき点とその理由」について書いています。

ウクライナに行く安倍総理に伝えたいこと

安倍総理、ウクライナに行かれるのですね。

<安倍首相>G7前、6月5、6日にウクライナ訪問へ

 

安倍晋三首相は6月5、6日の日程でウクライナを訪問し、ポロシェンコ大統領と会談する方針を固めた。政府関係者が26日、明らかにした。日本の首相がウクライナを訪問するのは初めて。

 

首相は続いて7、8日にドイツで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)に出席する予定だ。

 

ウクライナとの首脳会談では、ウクライナ問題について、欧米各国と連携する姿勢を強調し、平和的・外交的解決に向けて積極的な役割を果たす意向を伝えると見られる。

今回は、この件について考えてみましょう。

激変するウクライナ情勢

ウクライナ情勢ですが、数か月前と今では、全然違うことになっています。安倍総理は、ウクライナに行かれる前に、その変化について知っておくことが大事です。

簡単におさらいしてみましょう。

2014年2月、親ロ・ヤヌコビッチ大統領がロシアに亡命。ウクライナに、親欧米・反ロシア新政権ができました。

2014年3月、ロシアは、クリミアを併合。これで、アメリカは、日本と欧州を巻き込んで「経済制裁」をかすことにしました。制裁内容は、ドンドン強化されていきます。

2014年4月、ロシア系住民の多いウクライナ東部(ドネツク、ルガンスク州)が独立を宣言。ウクライナ新政府はこれを認めず、内戦が勃発します。

2014年5月、大統領選挙でポロシェンコが勝利。

2014年6月、ポロシェンコが大統領に就任。しかし、内戦はつづく。

2014年9月、ウクライナと東部親ロシア派は停戦に合意(=ミンスク合意)。しかし、この停戦合意は、長続きせず、実質内戦状態がつづく

2015年2月、今度は、プーチン・ロシア大統領、メルケル・ドイツ首相、オランド・フランス大統領、ポロシェンコによる2度目の停戦合意(=ミンスク2)。ミンスク2は、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランス首脳による合意であり、ミンスク1よりも強い。

そして、なんやかんやとウクライナの平和は維持されている。

「最近、ウクライナの話聞かないよね~~~~」
「最近、プーチンの話聞かないよね~~~~」

というのは、そういうことなのです。

>>次ページ ウクライナ革命の「黒幕」とは?

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