アメリカとロシア、両国との関係を悪化させる外交
さて、外国には「理解不能」な日本外交は、今も続いています。5月、安倍総理はロシアに来られるのだそうです。これ、オバマさんから「今はまだその時期じゃないから、行かないでくれ」と止められたのですね。しかし安倍総理は、「ロシアとの平和条約は大事だから」といって、無視することにした。
これだけ聞くと、「おお! 『自立外交』ですね、総理!」と思うでしょう? しかし、わざわざアメリカとの関係を悪化させて訪ロしても、ロシアとの関係は良くならないのです。
なぜ? 話のテーマが、「平和条約締結」だけだからです。「平和条約締結」といえば美しいですが、要は「北方領土返しやがれ!」ということです。
ところで、「4島」を返すことは、ロシアやプーチンに「お得」なのでしょうか? もちろん「お得」ではありません。逆に「大損」です。だってそうでしょう? 戦争で奪った土地を、実質「無料」で返すわけですから。だから、プーチンは、「北方領土問題」の話は全くしたくないのです。
※ この部分、「ロシア政府は何を考えているか?」を話しています。「私の考え」ではありませんので、「北野さんあなたは間違っている!」などと批判メールを送らないでください。
しかもロシア経済は、「経済制裁」「原油価格低迷」「ルーブル安」の三重苦でボロボロになっている。だから、「経済協力」の話がしたい。要は、ロシアが儲かる話をしたい。ところが、日本政府から人が来ると、いうことは、「いつ島返してくれますか?」だけ。だから、ロシア側も「日本政府の人とは会っても損するだけ」という認識になっている。最近、ロシア側が強硬になっているのは、こういう背景があるのです。
つまりこういうことです。
- 安倍総理は、プーチンと仲よくするために、オバマの警告を無視し、ロシアに来る
- しかし、プーチンに会って、「島返せ」というだけなので、日ロ関係はよくならない
- 結局、安倍総理は、米ロ両国との関係を悪化させる
プーチンと仲良くしたいのに、ウクライナ大統領を歓迎?
もっと最近の話に入っていきます。安倍総理は4月6日、ウクライナのポロシェンコ大統領と会談しました。毎日新聞4月6日から。
首相は会談の冒頭、「日本は情勢の平和的解決に向けたウクライナの改革努力を後押しする」と発言。国別で最大規模となる約18.5億ドル(約2,040億円)の経済支援の継続を表明し、引き続き2国間で緊密に連携する方針で一致した。
ポロシェンコ氏は会談後の共同記者発表で、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の編入について言及。「日本とウクライナは国際法に違反した力による国境の変更は容認できない立場を確認した。ロシアによるクリミアの違法占領について、日本の立場を発言してもらったことを高く評価している」と述べ、ロシアを強くけん制した。
これ、どうですか? 安倍総理は、プーチンと仲良くしたいんですよね?
ところで、プーチンは、ポロシェンコのことをどう思っているのでしょうか?
「親ロシア派ヤヌコビッチ大統領をクーデターで追放した、アメリカと欧州の傀儡政権で、ロシアの敵である!」
その敵に、2,000億円もの血税をプレゼントする。ご理解いただけると思いますが、私はウクライナとの関係を深めることや支援に反対しているわけではありません。「プーチンの敵ポロシェンコと一緒にプーチンを批判し、2,000億円をプレゼントし、来月にはロシアを訪問し、『島を返してもらおう!』」と。そんな「虫のよすぎる話」が、この世にあるかというのです。
最近の日本外交の結果をまとめてみましょう。
- 安倍総理は、オバマの警告を無視し、訪ロすることで、日米関係を悪化させる
- 安倍総理は、プーチンにあって、「島返せ!」というだけなので、日ロ関係はよくならない
- 「プーチンと仲良くしたい」といいながら、敵ポロシェンコに会い、ともにロシアを非難し、2,000億円をプレゼントしたので、当然プーチンは、「安倍は信用ならん奴だ」と思っているはずである
結局、
- 日本は、アメリカとの関係を悪化させる
- 日本は、ロシアとの関係を悪化させる
良好になったのは、小国ウクライナとの関係だけという、なんとも寒い結果なのです。