NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回はドラマ本編の内容を離れ、同時期の東国情勢について。天正壬午の乱で家康と和睦し、北関東で攻勢を強め始めていた北条氏。彼らを秀吉が敵対勢力と見なすきっかけになった「一連の動き」とは? 『真田丸』の戦国軍事考証を担当する西股総生さんが詳しく解説します。
今回のワンポイント解説(4月10日)
今回は、ドラマでは描かれていない、同時期の東国情勢について説明しておこう。第1次上田合戦の前の年、つまり昌幸が室賀正武を粛清して小県を統一しつつある頃、家康と秀吉は小牧・長久手の役で対陣していた。この戦いは、尾張における秀吉と家康の対峙に注目が集まりがちだが、 実際には広い範囲で複雑な作戦の駆け引きが展開している。
そうした意味で、この戦いは戦役(キャンペーン)として捉えるべきだから、僕は「小牧・長久手の役」という言葉を使う。あっ、戦役(キャンペーン)の意味が知りたい人は、僕の『戦国の軍隊』か、『東国武将たちの戦国史』第8章を読んでね!
一方、天正壬午の乱で家康と和睦した北条氏は下野方面で攻勢を強め、宇都宮氏・結城氏・佐竹氏を中心とした「北関東連合」を圧迫。小牧・長久手の役と同じ頃、両軍は下野の沼尻というところで対陣していた。結果として、沼尻では大きな決戦が起きることもなく、小牧・長久手の役の収束と併行して、グズグズのまま講和してしまう。
けれどもこの時、氏直と家康は同盟関係にあったから、「北関東連合」は北条・徳川同盟に対抗するために、秀吉に接近していた。そこで、秀吉はこの戦いを境にして、北条家を敵対勢力と見なすようになった。小田原の役にいたる動きは、実はここからスタートしていたのだ。
ちなみに、北条氏政という武将は、生涯を通じて大きな決戦で華々しく勝利したような戦歴に乏しい。でも、氏政の時期になると、戦いは長期間にわたる複雑な戦役(キャンペーン)の形を取ることが多くなり、決戦一発でカタがつくほど単純ではなくなっていた。それに、関東では北条家は着々と一人勝ち体制を固めつつあった。そんな立場にある氏政の戦略は、勝つことより、負けないことが基本。リスクを取って決戦に打って出るのはチャレンジャーの戦略であって、この頃の北条家はチャレンジャーではなかったからだ。(西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
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今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
信繁殿の夕飯のおかずがめざし三匹だったのも信繁殿を蔑ろにしているのではなく、あれは石田家の夕飯なのです。主である三成様も同じ内容の夕飯を召し上がっているのです。いや、もしかしたら三成様はめざし二匹かもしれません。石田三成とはそういう男なのです。 #真田丸
— 渡辺勘兵衛(新之丞) (@Kanbe_Watanabe) 2016年4月10日
登場最初からいかにもな冷徹ぶりをみせてくれた石田三成だが、きりを納戸に閉じ込めたのには「よくやった」と思った人も多かろう。 #真田丸
— 佐藤大介 (@dadaemonsan) 2016年4月10日
酔って人んちの廊下で寝こけはじめた加藤清正の面倒をなんだかんだで見てるっぽい三成を見て思いましたよね、ああこいつ絶対セコム直江と気が合うなと #真田丸
— いが(たろに) (@iga_iganao) 2016年4月10日
ぎゃああああああ…
ス ト ラ イ ク … ! #真田丸 #丸絵ああああそうなんだよぉぉぉ、今までの「素材」程度の登場は、大仰に構えて偉そうにしてたのに、キャラとしての初登場はこのちょこまか感、めっちゃたまんねぇ…!!!すき! pic.twitter.com/UX2lxxgm1H
— 高枝景水@若旅コミック乱連載中 (@namazudou) 2016年4月10日
数正が徳川を裏切りましたが、ここで家康とハイキングを楽しんでいた頃の彼をご覧ください#真田丸 pic.twitter.com/fAJjnQzk2Z
— だれんす (@D4Lns) 2016年4月10日
「人を不快にする何かを持っている」石田三成(笑)みんな思っていたけどついに大河で明言されちゃった(笑)#真田丸 pic.twitter.com/3B0PYuaCJy
— 名前はまだ決まらない (@namaehamada_nai) 2016年4月10日
上杉景勝様の信繁への「儂が成し遂げられなかったこと、そなたが成し遂げよ」は、そのまま大坂の陣・信繁の最期に直結するのですね。#真田丸
— ぬえ (@yosinotennin) 2016年4月10日
大阪編の見どころ①はこの直江と石田三成の間に友情は成立するのか?!という点だと思い、非常に期待しています。#真田丸 pic.twitter.com/e1izJH6725
— 名前はまだ決まらない (@namaehamada_nai) 2016年4月10日
今週のスリーアウト #真田丸 pic.twitter.com/iWjAoM0veb
— 久世番子 (@bankolan) 2016年4月10日
「だまれ小童!」に続いて期待したい「うるさいわ!!!」 #真田丸
— まう@みゆ:次回歴☆女子会は4月19日 (@mau_miyu) 2016年4月10日
信繁、冷静と情熱の間…。三十郎はいい家臣だなぁ…。 #真田丸 #丸絵 pic.twitter.com/CO3EjLRe0P
— 高枝景水@若旅コミック乱連載中 (@namazudou) 2016年4月10日
真田丸は信繁と景勝に絞って見ると、
守りたかったものを守って死んだ男と、
守りたかったものを守れずに生き残った男の話なのか。
いや、前者はこの先三成にも当てはまる描写があるかも知れないし、
後者は信幸にも当てはまるのかもしれない。
氏政も死ぬよな、家康は生き残るよな…#真田丸— ゆーにー@GULYの中身 (@SBmeganekarubi) 2016年4月10日
守るためには頭を下げなければならない景勝様。上に立つ人ほど自由がきかなくなるなり生きにくくなるなあ…。一緒に生きにくくなる道をいく直江様ではなくまだ若くて真っ直ぐな信繁に自分の出来なかったことを託す場面が、大坂の陣に至るまでの信繁の心情に関わってくるのかな…#真田丸
— ヒイラギ (@bbsaywinter) 2016年4月10日
しかしまぁ土方歳三(新選組!)藤原頼長(平清盛)石田三成(真田丸)と
ある意味人を不快にさせる何かをもってしまった大河における山本耕史であるw#真田丸— R.K (@ryutark) 2016年4月10日
本日、上田に行ってきました( ´ ▽ ` )ノ桜満開春爛漫 #真田丸 pic.twitter.com/nu787uyv5W
— 香椎未羽 (@miu_kashii3A) 2016年4月10日