「在日米軍の撤退」は的外れ?米メディアが日本を擁護するワケ

 

日本は、「地政学的」に重要

「日本は十分金を払っている」と解説した後、WSJは、「日本は地政学的に重要だ!」という話に移ります。

冷戦時代、日本は西側諸国にとって、太平洋を潜航するソ連の潜水艦に対する防衛の要だった。

 

今日では、東アジアにおける中国の台頭に対抗するうえで重要な砦(とりで)となっている。
(同上)

中国に対抗する重要な砦

まさにそのとおりですね。トランプさんは、経営者で、金銭的に「損か、得か」しか見ない。だから、「地政学的」な話は、理解できないか、興味がないのでしょう。

WSJは、安倍改革を絶賛する

さらにWSJ、「安倍総理はがんばっている」という話をします。

GDP比1%という防衛費はあまりに少ないが、日本は4年連続で防衛予算を増やしている。

 

改革論者の安倍晋三首相は米国、東南アジア、オーストラリア、インドとの関係を築いてきた。これがなければ中国は地域の覇権を楽に掌握することになろう。
(同上)

まさに、そのとおりですね。アメリカのメディアも、ようやく理解が進んできたようです。

多大な政治的犠牲を払ったうえで、安倍政権は憲法解釈を変更し、集団的自衛権の限定行使を可能にする新たな法律の施行に道を開いた。

 

日本は今や、北朝鮮のミサイルから米国を守ることができる。

 

南シナ海で米軍の艦船がパトロールを行っている際には、中国の政策立案者らは常に日本の海上自衛隊のことも念頭に置かなければならなくなった。
(同上)

安倍総理が「集団的自衛権行使容認」に道を開いたことを正当に評価しています。実際、日米安保が「片務」から「より双務」に変わったことで、中国の攻撃的姿勢は弱まりました。要するに、「日米はより一体化したから、日本に手を出すと、アメリカが出てくる可能性が高くなった」ということなのです。

安倍首相とシンガポールのリー・シェンロン首相はここ数日の間に、アジアにおける米国の役割を称賛し、近視眼的な撤退がもたらすダメージについて警告した。

 

米国民はこれらの国がフリーライダー(ただ乗りする人)ではないことと、アジアでの前方展開が米国の安全保障にとって重要であることを理解しなくてはならない。
(同上)

トランプさんが、WSJの記事を読むことを期待しています。

いずれにしても、今回のアメリカ大統領選で世界は大きく変わりそうです。後から歴史を振り返り、「あの大統領選が分水嶺だった」ということになるでしょう。

image by: R. Gino Santa Maria / Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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