生活保護受給者のパチンコ問題。国はなぜギャンブルと認めないのか?

 

両市の措置に反対する人は、おそらく27条の指導等につき同条2項が指導等は「被保護者の自由を尊重し、必要の最小限度に止めなければならない」との条項からして、行き過ぎの措置だと主張するのだろう。

しかし、自由や権利は義務と一体をなしているのであって、自由や権利ばかりを主張するのはいかがなものかと思う。生活保護法60条にも「支出の節約を図」るとの努力義務が定められている。パチンコと支出の節約は相反するものであろうことは、社会的常識といっても過言ではないと思う。

前に述べたようにパチンコの実態はギャンブルであって、だからこそ、両親が幼児を車の中に放置したままでパチンコに狂い、幼児が熱中症で死亡するなどという悲惨な事故まで発生しているのである。

また、パチンコ狂いで消費者金融からの借金が嵩んで破産をした人を幾人も見てきている。両市の措置を問題視した弁護士は、パチンコ狂いでの破産事件を扱ったことがないのだろうか。結局のところ、パチンコは、一攫千金を狙った射幸性の高い遊びであって、この点からしてもギャンブルということである。

幼児死亡事例や破産事例を見ると、パチンコに対する依存症はかなり強度のものがあると思われる。抜け出せないのである。税金を使った生活保護費について、濫費を防止するために、依存症が進行する前で食い止めたり、依存症を治癒する結果になるかもしれない措置がそんなに不適切なのだろうか。

そのような依存性の高い、また射幸心を煽るようなパチンコをしてはいけませんよ、もししたら生活保護費をカットしますよというのが、「被保護者の自由を尊重し、必要の最小限度に止めなければならない」との条項に定める「必要最小限度」を超えていると、私には到底思えないのである。

image by: Lewis Tse Pui Lung / Shutterstock.com

 

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