万が一、キャメロン政権が崩壊した場合、習近平はヨーロッパにおける拠り所を失ってしまいます。AIIBは、イギリスが参加を表明したから箔がついたようなものの、もし反キャメロンを掲げた政権が成立し、中国の人権問題や南シナ海での暴挙を問題視してイギリスがAIIBと距離を置くようなことになれば、AIIBは壊滅状況に陥るでしょう。人民元の国際化も破綻し、ドミノ倒しのように中国経済は袋小路に陥る可能性があります。
ただでさえAIIBの起債は無格付けで信用力が低いのですが、それでもイギリスがメンバーにいるからまだなんとかなると中国は思っていたはずです。しかしイギリスが抜けるようなことがあれば、これが根底から覆ります。ちなみにこの最初のAIIBの債権は、設立準備担当幹部によれば、韓国が引き受けることになっているとも言われています。しかし、とんだババを掴まされることになりそうです。
次第に化けの皮が剥がれ始めている習近平政権ですが、それだけに中国は情報統制に神経をとがらせ、パナマ文書に限らず、習近平を批判するものはすべて国内では閲覧禁止にするつもりのようです。米紙タイムや英紙エコノミストも、習近平批判がらみの記事があるためWEBで閲覧不能となりました。なりふりかまわない必死さが滑稽です。
さらに、先日の先進7カ国(G7)外相会合の声明に、東・南シナ海の状況に対する懸念と一方的な行動への反対が明記されたことについて、中国外務省の陸慷報道局長は、G7が一部の国の私利によって動かされるなら「G7自身の影響や役割、将来の発展に必ずしも役立たないだろう」と反論しました。国内経済が混乱し、自身の身にも疑惑が噴出しているとなれば、習近平は対外的に強気に出て、強いリーダー像を国内に喧伝するしかない、ということなのでしょう。
このように、様々な危険な要因を孕み、叩けばホコリが出る習近平政権ですから、せめて人民の愚民化で保身を突き進もうというわけですが、このインターネット時代において情報のシャットアウトはなかなか難しいでしょう。となると、いずれパナマ文書の内容が中国民衆に伝わることは避けられないということになります。アメリカも習近平に関する情報を入手し、これを脅しの武器として習近平政権を揺さぶろうとしてくることは目に見えています。
はたして、習近平政権はどこまで対外的な強硬姿勢を貫けるのか見ものです。