前回、日本一周の旅に復帰するため大阪から再スタート地点の九州へと向かっていた『ママチャリで日本一周中の悪魔』こと、大魔王ポルポルさん。途中下車した山口県で山賊焼きをほおばっていたと思ったら、いつの間にか青春18きっぷを使って、熊本駅に到着。熊本は4月14日夜と16日未明に発生した大地震の影響で甚大な被害を受け、現在も捜索活動や復旧作業などが続けられています。今回お届けする記事は大魔王ポルポルさんが地震発生の約1週間前に訪れた時のものですが、熊本を応援し元気づけたいというたっての希望で掲載いたします。さて今回、大魔王は熊本のどんなスポットを訪れたのでしょうか?
巨大なメロン型ドームに圧倒される大魔王。内部はもっとメロンメロンだった
「ガッハッハッハッハ!!我輩が再び日本の征服活動を再開したので、さぞニンゲンどもは驚いていることだろう」
我輩は熊本駅のベンチに座りながら思っていた。
熊本と言えばくまモン。
熊本県にはメロンドームというメロンそのものの形をした建物が存在するそうで、我輩は、その建物を支配しようとしていた。
「愛媛県では幻の果実ポポーを食した。ここにも素晴らしく禁断のメロンが我輩を待っているに違いない!ガッハッハッハッハッハ!!」
と、赤信号を待っている間に、スマホを取り出し、熊本駅からメロンドームまでの道順を調べてみた。
すると、メロンドームは山を少し登った所にあった。その場所を見て、我輩は山を登ることに気が滅入ってしまった。しかし、熊本市民に「大魔王なのにヘタレだ」とバレては名が廃る。真顔のまま山を登る覚悟をし、メロンドームめがけてママチャリで山を登ることにしたのだった。ひたすら続く山道。
登っては下って、また登ってという動作を繰り返す。通り過ぎるのはトラックばかりでママチャリで走ってるニンゲンなど誰もいない。
「ガッハッハッハッハ!!コレぐらいの坂、我輩にとったら朝飯前であるな」
しかし押しても押しても前には進まない。体力も消耗されていく。途中にあるコンビニで休憩しながら3時間ほど山を登り続けた。
そして、ついにメロンの形をした屋根の道の駅を見つけたのだった。
「な、な、なんだあれは!!」
メロンドームは緑色の屋根が特徴的で、我輩の心を奪ってしまった。ああ、メロンドーム。神々しい形の建物に驚いた。
「す、素晴らしい!我輩のアジトにピッタリの場所ではないか。美しいメロンであるぞ。ガッハッハッハッハッハ!!」
そして自転車置き場にいき、(邪魔にならないかなぁ・・)と思いながら端の方にママチャリを止めた。
「我輩が全てのメロンを食べ尽くして…」と叫ぼうとしたその時だった。
人1:「あれー、あんた日本一周してるの?」
老人は我輩に動じることなく話しかけてきた。
魔:「あー、はい」
我輩はビックリして普通の返事をしてしまった。
人2:「そんな怖い顔して、あんたどうしたんね?」
すると、また別の人に話しかけられた。
魔:「いや、あのー。まぁ日本一周してまして….。はい」
人1:「ほぇー。日本一周とは感心するねぇ。えらいえらい」
魔:「いや、まぁそんなことはないっすよ。ハハハ」
我輩は早く店内に入りたかったが、老人から話しかけられたら無視できないタイプなのだ。
しばらく話をして、老人たちが立ち去った。やっと、我輩は店の入り口のドアに手をやり、中に入る。
「ガッハッハッハッハ!!この我輩が全てのメロンを食べ尽くしてやろう…あれ?」
店内の忙しさに我輩の声はかき消された。沢山の人が買い物をしている。
店の中はメロンとご当地キャラのくまモン商品がたくさん売られていた。
そして、隣にはパン屋とレストランが完備されている。
しかし、このまま立ち止まっていても征服はできない。
そう判断し、店員を見つけて、恐る恐る近づくと、
「あのー、すみません。記事を書いたりしながら日本一周しているのですが、ここの記事を書いてもよろしいでしょうか」
すると、店員は、
「え・・そんな顔でやってるのかね?ひえぇ。。おっかねえな!」
と笑われた。
しかし、この店員がものすごく優しい人で、事情を説明すると店の中を案内してくれることになった。
「いいよ。店の中をちょっと案内してあげるさ」
我輩は熊本県民の優しさに包まれた。
「ガッハッハッハ!!こりゃあ素晴らしいガイドを見つけたぞ!」
と心で思いながら、普通に「ありがとうございます」と言って店の中を歩き出した。
この道の駅のウリはメロンを中心とした商品。至る所にメロンブッセ、メロンのロールケーキなどが置いてある。
しかし、メロンそうめんやメロンドレッシング、メロン一夜漬けという変わった物まで扱っている道の駅。
中でも1番の人気商品はレトルトのメロンカレーだ。
こんなにたくさんのメロンを見て、我輩は大興奮した。
「ガッハッハッハッハ!!至る所にメロンが溢れている。素晴らしいではないか。ガッハッハッハッハッハ!!まさにメロンの城!」
すると、店員は
「メロンカレー買って帰ります?」と聞いてきたが我輩は、
「す、すみません。。僕、調理器具持ってないのでお湯も湧かせないんです」
と断った。ママチャリで日本一周しているから火がおこせないのだ。
しかし、断るのも悪いと感じたのでメロンブッセを買うことにした。
このメロンブッセは一口食べるとメロンの香りが広がり、大魔王といえどハッピーになる味であった。
続いて、「めろんパンのラスク」で有名なパン屋へと案内された、
ここの「めろんパンのラスク」は、大きな箱に入っており、土産用として扱われている。
「こ、こんなところにもメロンとな!・・な、なかなかやるではないか!!」
すると、またもや店員は
「どうです?メロンパンのラスク」
と聞いてきた。しかし、ラスクはお土産用で大きな箱に入っていた。我輩のカバンの中はパンパンでお土産用のメロンパンのラスクを入れるスペースがない。
「いや、カバンが…」
と、断るのも申し訳ないので、すぐに食べられるクリームチーズサンドを購入した。これがまた美味そうなのだ。
パン屋を出て、ふたたび店員と店の中を歩く。
「ガッハッハッハッハ!!この道の駅は素晴らしいぞ。気に入ったのだ」
と小声で言っていると店員が、
「大魔王さん、普段からそのメイクで日本一周してたら肌荒れ大丈夫ですか?」
と言ってきた。
「ま..まぁ、しっかり顔を洗えば・・大丈夫ですよ」
「どこで洗うんですか?」
「コンビニです」
そんな会話をしていると、次はメロンドームに併設しているレストランへと案内された。
メロンドームのレストランだから、メロンパフェやメロンジュース、
変わった料理でメロンのステーキのようなメロンづくしの料理が出るに違いない。
そんな予想をニヤニヤして店員におすすめを聞いた。
「ガッハッハッハッハッハ!!どれがおすすめですか?」と聞くと、
「だご汁です」と答えた。
「え?・・だ、だご汁・・・?」
「はい。だご汁です」
メロンづくしから解放された我輩は少し寂しくなった。
だご汁とは、熊本弁で「だんご汁」のこと。
大分や熊本でよく食べられる郷土料理の1つで、小麦粉を練った団子のようなものを味噌汁の中に入れて食べる料理だ。
しかし、我輩といえど、このタイミングで郷土料理が出るとは想像していなかった。
「な、なかなかやるではないか。で、で、ではたご汁を頼も..もう。ガッハッハッハッハッハ!!」
我輩は、動揺をうまく隠して注文することにした。
聞けば、このたご汁はこのレストランでは数量限定の料理なのだ。そのため、おすすめの料理になっている。
我輩がレストランに行ったのは開店15分後だったので「まだ注文できますよ」という意味でおすすめだったらしい。他にもステーキや丼物まで扱う普通のレストランである。メロン料理はなかったけど…。
そんなことを考えていると、だご汁が目の前に出てきた。
「な、な、な、なんと!雰囲気漂うたご汁なのだ!!」
今にも魔力が吸い取られそうな優しい一品。ほのかな匂い。パーフェクトではないか!
そして、一口食べると心が一転。田舎に帰った雰囲気が味わえた。
「な、なんと!優しい味なのだ。我輩の魔力がう、失われてしまうではないか!」
それは、豚汁を食べてる気分だった。我輩の体が見る見る健康体になっていってるのがわかる。
「そ、、そうか! 我輩を油断させて天使にさせようとしているのだな」
熊本県の郷土料理だご汁とメロンづくし。これらを一度に味わい、熊本県が大好きになってしまった。そして我輩はだご汁を食べ終わった。
「ガッハッハッハ!!なんと素晴らしい店なのだ。至る所にメロンの愛!そしてだご汁。我輩はとても満足だ」
そして、鹿児島へ向かうためにママチャリに乗り、旅立つことに。すると、店員が我輩に寄ってきて一言、言った。
「ホントにその顔で行くんかい?」
我輩は静かに頷き、
「は、はい。そうです」と答えた。
「肌荒れするからしっかり顔を洗うんやで!」
店員は我輩を心配そうに見送ってくれた。
熊本県民の優しさに心を打たれた我輩は少し涙ぐんでいた。
それはメロンの愛から生まれる「熊本県民の優しさの魔法」にかかってしまったからかもしれない。
我輩は涙がこぼれてしまうから振り向かないようにして、鹿児島県へとママチャリを走らせていった。
(つづく)
●今回の平成28年熊本地震で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、熊本・大分両県のいち早い復興を心からお祈り申し上げます。現在も九州をママチャリで走行中ですので、引き続き取材記事をお届けいたします。(大魔王ポルポル、MAG2NEWS編集部)
DATA:
道の駅 七城メロンドーム
住所:熊本県菊池市七城町岡田306
営業時間:物産館 9:00~18:00 レストラン 10:00~15:30
定休日:1月1日~3日(特別休あり)
『大魔王ポルポルの日本征服の旅』
著者/大魔王ポルポル
日本一周の旅をしている大魔王ポルポルである。旅の裏側、隠れた小話など話したいことは盛り沢山!! だがしかし! タダで公開はできない。メールマガジンで日本のいろいろなことを掲載するのだ。メルマガに記載のアドレスに悩みや質問を送ってくれればメルマガで公開回答するぞ! ガッハッハッハ!!
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