【ゆりかごから墓場まで】消費税25%のスウェーデンは理想の国なのか

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熊本地震の影響などで再延期が囁かれる消費増税。10%という税率に批判的な意見に対しては、25%の消費税を導入している北欧スウェーデンの例がよく挙げられますが、当のスウェーデンの国内事情はどのような状況なのでしょうか。無料メルマガ『国民が安心して生活できる日本にするには』の著者・ドクター国松さんが詳しく紹介するとともに、日本との比較を試みています。

北欧は日本の参考にはならない

日本で社会保障や消費税が問題になると、必ず北欧のスウェーデンが持ち出される。曰く、消費税はスウェーデンと比べて低すぎる。スウェーデンでは消費税が高いが、社会保障は日本より充実している。一方法人税は日本よりはるかに低く企業は元気だ、等々である。そして、結論として、日本もスウェーデンのように消費税を引き上げ法人税を引き下げるべきだと。

しかし、スウェーデンはそんなに理想的な国だろうか。この国では確かに失業者は日本より豊かに生活できそうである。しかし、高い失業率は慢性的なものであり、多くの若者が仕事をもてないでいる。

内需が少ないため、スウェーデンの企業は大企業も中小企業もほとんどEU全体を市場としており、国内市場依存度はあまり高くない。だから、多額の税金や社会保障費で国民が疲弊し、内需が落ち込んでも企業の業績への影響は少ない。しかし、国内への投資需要も少なく、本社や工場をEU圏内の最もコストが安い国に置くため、国内での雇用が不足することになる。

一方、日本では事情が異なる。日本でも輸出企業ばかり目立つ傾向があるが、実際は企業の売上は国内の方が圧倒的に多く、日本企業の業績の良し悪しは、実は輸出よりも、内需の影響を大きくうけている

日本の大企業は伸びない日本市場に見切りをつけ、生産拠点だけでなく、販売拠点も海外市場に重点を移しつつある。この原因を、日本の法人税が高いからだと主張するバカな意見が横行しているが、これは無知による間違いであり、同時に意図的な誘導にすぎない。

日本の企業が、海外に拠点を移す最大の原因は、何時まで待っても日本市場の魅力が向上しないからである。そして、消費税の増税や社会保険の負担増は内需を圧迫し、ますます日本市場の魅力を低下させ、日本企業の海外進出を促進し、失業率を増加させる。

スウェーデンのような、ほとんど内需が問題にならない国のシステムを日本のように内需の比率の高い国に適用することは、大きな過ちである。

北欧の姿は日本には適用できず、全く参考にならない

image by: Shutterstock

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